不思議な光景を、主人公の独白の中で驚きながらも淡々と描いています。美しくて幻想的な瞬間を、静かな気持ちで受け入れているようでした。最後の一文も、心にじんわり沁み込んでいきます。
歩んだ道が一冊の本なんだねって。綺麗。とにかく胸に突き刺さる。ざあっと風が吹いて無色の本がぱらぱらとめくれて、刹那に色づいていく情景が脳内で再生されました。本の色、装丁、文字、エンドページ、そのすべてが自分を構成していると考えたら感慨深いものがあります。もし私ならどんな本ができるんだろうと、あらゆる面でイマジネーションを刺激する素敵なお話だと思います。