04
アーリの唇が俺の唇と重なり合っていた。
俺は目を瞑ってはいなかったし、アーリも目を瞑ってはいなかった。
見つめ合ったまま、俺達は唇を重ね合わせていた。
憂いとも、喜びとも取れる瞳でじっと俺の目を見つめてくるのはなんだか嬉しい。
そういえば、俺はアーリを隷属させたのだけれども、俺についてこいだとか、俺の部下になれだとか、そんな言葉を投げかけてはいなかった。
なんで俺はそんな言葉一つをアーリに言ってあげていなかったんだろうか?
アーリが魔王だからなのか、途中から隷属が完全はなくなってきていた。
それでも俺に付いてきてくれていたのだから、何かしらの言葉をかけてやるべきだったのかもしれない。
元いた世界ではただの糞ダメなニートだった、こんな俺に付いてきてくれていたのだから。
衛星兵器を墜とす時には、自分が死にかねない事も分かっていながらも手助けをしてくれていたではないか。
「……アーリ」
俺は唇を離すと共に、アーリの肩に手を添える。
魔王と言いながらもやはり少女であった。
俺に比べると、やはり身体が小さくて、ついつい守ってやりたいと思えてくる。
「俺に付いてこい」
「それは隷属させている者に対して言っているのか?」
アーリは試すような視線を俺に送ってくるも、その瞳には迷いの色が見られた。
「……違うな。隷属なんてどうでもいい。解けかけているんだろう? 隷属の効果が」
「……多少は解けている。だが、完全ではない」
「なら、改めて言おう。隷属の効果でなくていい。俺に付いてこい。俺の傍にいろ」
俺の好みは『こんなダメ人間でも好きになってくれる人』だ。
アーリの好意がどこまでなのかは計り知れないが、俺を好いていてくれているように思える。
そうじゃなかったら、ハーブに嫉妬して押し倒してきたりはしないはずだ。
しかし、ちょっとした時間しか一緒にいなかったはずなのに、どうして俺を好いたりしたのだろうか。
分からないが、なんだか嬉しい。
こんな俺が人に好かれるだなんて。
こんな俺を手に入れようとしてくれているだなんて。
「ふふん、いてやっても良いぞ」
アーリは照れ笑いを浮かべて言う。
その返答を受け入れるように俺はアーリを抱き寄せ、その唇を奪ってやった。
奪われた以上、奪い回さねば。
今度はアーリが目を閉じ、俺に身体をそっと委ねてくる。
肌と肌とが触れあい、相手の体温が伝わってくると、何故か安心してきて、俺もようやく目を閉じてキスをし続けた。
肩に回していた手を腰へと回す。
ビクッと身体を震わせるも、アーリは拒まない。
唇に舌を差し込んでもアーリは拒まず、むしろ舌で俺の舌を触れてくれた。
感覚がとろけそうになる。
俺はそれだけに留まらず……
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