08
「俺の好みとか今はどうでもいい。いや、誤解されたままなのはどうでも良くないので説明させてもらう。初潮が来てようが来てなかろうが、俺には関係のない事だ。つまりだ。そういう嗜好は俺にはないのだよ。分かったか、ワーキュレイ」
訂正しておかなければ。
誤解されたままでは、俺の沽券に関わる。
俺の好みは女児ではなく……ええと、なんだったかな?
十年以上もひきこもりをやっていたし、俺の傍には女なんて近づいてこなかったし、あえて言うのならば、こんなダメ人間でも好きになってくれる人といったところか。
痴漢のえん罪事件のせいで『女の敵』みたいな扱いを受けていた。
このせいもあって、俺と目を合わせるような女は周囲には皆無であった。
だからこそ、俺の事を拒絶しないというのが好みと言えるのではなかろうか。
「分かったのである。お主は初心なのであるな。女児の胸を見ても赤面してしまうほどの初心なのであるな」
「……そ、そうなのか」
ワーキュレイの言葉に何故かアーリが反応を示して、ホッと胸をなで下ろしている。
今の言葉のどこに安心する要素があったのだろうか。
「アーリはある程度の高さまで飛翔したら、俺の踏み台になってくれ。俺はお前を踏み台にして、衛星兵器を目指す」
話が脱線したままではらちがあかないと、俺は話を軌道修正した。
「踏み台だと!? 私を踏み台にするというのか!」
綽然としないといった目で俺を睨み付けてくる。
予想通りの反応だ。
隷属させているとはいえ、俺の踏み台にされるのは不服に違いない。
「私は踏み台になどはならない。お前が望むのであれば、私は全身全霊でお前を受け止める」
隷属させられているとは思えないほど澄んだ瞳で俺の瞳を見つめながら、アーリはそれがさも当然だといった様にそんな言葉を俺に投げかけてきた。
「言ってくれるな、アーリ。ならば、俺の本気を受け止めてみせろ」
「お前は忘れているのではないか? 私は第四魔王なのだよ」
すっかり忘れていた。
確かにそんな設定であったはずだ。
ブルーになって俺のデコピン一発で瀕死の重傷を負った第四魔王ではあったが。
「元、だろう、元第四魔王だろ?」
「元であろうとも、私が第四魔王である事を放棄したり捨て去ったりしない限りは、私が第四魔王である事には変わらない。」
「そうか。元とか言って悪かったな」
「分かればいい」
アーリは目を閉じて満足げに頷いた。
三人が本気を出し切れば、あの衛星を撃墜することも可能かもしれない。
いや、『かもしれない』じゃ弱気すぎる。
撃墜する、あの衛星を。
この連係プレイを成功させて。
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