06
創造主の事だから、普通に空を飛べるように設定しているかもしれない。
さて、飛ぶにしてもどう飛べばいいのか?
イメージだろうか?
『残念ながら、そんな性能は盛っていないよ』
なぬ?
『それくらいは自分で開発できるんじゃないかな? 修行が必要かもしれないけどね』
今すぐ修行なぞやっている時間がないし、他の方法で行くしかあるまい。
そうだな。衛星がある場所まで飛び上がればいいのではないか?
どれくらいの高度だろうか?
俺にそこまで飛び上がるだけの身体能力があるのか?
試してみるべきか、どれくらいまで飛び上がれるのかを。
もしダメだったら、その時はその時で他の方法を試行してみればいいか。
「アーリ、ちょっと降りてくれ」
「ふんっ! この私に命令をするのか? そのような命令……聞くわけが……分かった。私は降りる」
アーリは俺の首に回していた腕をほどき、俺の腕から逃れるようにして、ひょいっと飛んで地面に降り立つなり、俺の事を恨みがましく見つめていた。
俺に抱きついていたのがそこまで嫌だったのか?
「もう少しくらい……もう少しくらい……」
アーリがうつむき加減で、何かぶつくさ言っているが、やはり恨み言か。
嫌だったみたいだし、後でフォローできたらフォローしておくか。
「さて……」
俺は空を見上げて、衛星が肉眼で確認できないかどうかもう一度確かめるも、目を細めて見てもそれらしき影さえ捉える事ができなかった。
「どうする気なのである?」
俺がしようとしている事を察してか、ワーキュレイが興味ありげといった様子で問いかけてくる。
俺は視線を一旦ワーキュレイに向けてから、空へと顔の向きを戻した。
「ひとっ飛びして空を観察してくる」
腰を屈めて、踏ん張って、踏み込む力を足の下へと貯めていく。
この方法でどれほどの高さまでジャンプできるかは推測できない。
やってみなければ分からないのならば、やってみるのが一番である。
「ワーキュレイはどこに衛星があるのか知っているのか?」
上空からの攻撃を察知していたのだから知っているかもと思い、そう質問してみると、
「圧巻されるほどのエネルギーが上空に発生したのを感じ取ったまでである。しかも、お主に向けられているのを察知し、テレパシーを送ったまでである」
「上空……ね」
衛星があるのは、この世界における宇宙空間ではなさそうだ。
成層圏とかその手前辺りだろうか?
成層圏だとか、宇宙空間だとか、地球とそっくりな環境とはとても思えないが、あると仮定すれば、その辺りなんじゃないかな。
「ちょっくら偵察してくる」
貯め込んでいた力を地面へと向けるように思いっきり跳躍した。
その力に地表が耐えきれないように悲鳴に上げた後、地震に似た何かが起こったような気がしたが、それは俺のきのせいだろう。
いや、きっと俺の思い違いか、思い過ごしだ。
ぐんぐんと俺の身体が空へと迫っていく。
想定していたスピードよりも遙かに早く、雲を抜けた。
「ッ!」
その先に存在していたのは、俺の想像力の範囲外のものであった。
衛星らしき影を肉眼で捉える事はできる事はできた。
しかし、その衛星の手前に数隻の宇宙戦艦のようなものが衛星を守るかのように立ちはだかっていた。
異世界転生十二戦士って奴らは、俺がいた地球よりももっと科学力の発達していた世界から転生してきたのか。反則しすぎるだろうが!
その艦隊が俺の存在を感知したのか、俺の方へとその巨躯を向ける。
そして、装甲をパッと開いて、アニメだとかでよく見かけていた大量に収納されているミサイルを披露する。
「これは防衛システムか。こいつらを破壊しないと、衛星には辿り着けませんよってか!」
俺の言葉が正解だと言いたげに、一斉にミサイルが放出された。
もちろん、俺に向けてだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます