#2 独り言

「おはよっ!」

「いてっ…んだよ、いのりかよ…」

いつものように家を出ると、毎朝いのりがチョップをかましてくる。あれから三ヶ月、マンションの部屋が自分の二つとなりだったことから一緒に通っている。今までと変わったのはそれぐらいで、コンビニにも毎朝行く。…いや、まだある。それは…。

「二ヶ月記念としてカツサンド買おうよ!!」

「カツサンドでいいのかよ」

「うん!美味しいしね~!」

「…本当いのりって変わってるよな」

「そうかな?まっ、恋人と食べるものは特別美味しいからね」

「う、うん…やめろよ大声で…」

そう。実は付き合うことになったのだ。嬉しいことに、向こうが僕を好きすぎて、ここに飛んできたということだったのだ。僕はつくづく幸せ者だと思った。


「あー、橋本!何イチャついて学校来てんだよ~」

「ん?あ、おはですとーるくん!」

「葉月会長は相変わらず元気っすねー」

「ん、おはよういのりん。てか橋本、棒読みやめてっ?てか会長呼びもやめてっ??他人感すごくて悲しい」

「ごめんごめん、ふざけた」

「だろーな!…んじゃあ教室帰るわー」

「じゃーねー!」

「…あれが会長とは未だに思えんわ」


_それからというと、 昼食をいのりと食べるはずが仕事が溜まり、昼放課の最後まで透流と二人で生徒会室に籠っていた。

「ごめんな、橋本。いのりんとの二ヶ月記念日だというのに」

「大丈夫だよ、透流。あいつも理解してるから」

「橋本…!いいやつだなぁもう!」

「お、おいくっつくな…!早く作業終わらすぞ!」

一方その頃いのりは、ケータイでネット巡回をしていた。

「今日は何処のお店に行こうかな~!」

しばらくして、カレンダーに目がいったいのりは少し悲しい表情をして、何かを呟いていた。

「_もう少し、か…」

しかし、当然ながらその言葉はクラスの雑音に消されて、誰にも届かなかった。

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