第6話 現れたの死と創造の王国 2


 静寂の中、三人は少し…また少しと近づいては離れを繰り返していた。




「さっさと動けよ…怖気づいたか?」


「あいにくと、お前の戦闘スタイルは俺たちが一番良く知ってるからな…月光!」


「そうだね…10年前は凄い痛い目にあったからね。僕達は、今度こそお前を倒す!」


 日光と月光は、オルハリアンの言葉に対してそう言うと、日光はブレスから自分の身長ほどの細い長剣を、月光は手に魔導の力を込めたグローブを装着した。

 三人の周りに吹いていた風が止んだ…そして…再び強い風が吹いた瞬間!!




「てぇぇぇやぁぁぁ!!!!」




 風が吹いた刹那…日光は一瞬で姿を消すと、オルハリアンの後ろに周り勢いよく斬りかかる。

それは普通の人間なら動き自体が見えないほどの速さだった。だが、オルハリアンはその動きをすかさず読み取り、手の甲で攻撃を受け止めた。



「なにっ!?」


「…さすがだよ。だがな…お前の動き…見えていだぞおぉぉぉぉぉぉ!!」



 そう言うと、オルハリアンは受け止めた剣に向かって、魔力を込めた拳をぶつける。

日光は、その衝撃で民家の壁に突き飛ばされる。民家の壁を突き破り、瓦礫の下に落ちていった。



「兄さん!!」


「よそ見しているんじゃねぇよ…ヒヒヒ…お前も兄貴の場所に行けえぇぇぇぇぇぇ!!」



 日光が飛ばされた民家を見ていた月光に、いつの間にかその後ろに回っていたオルハリアンは、再び拳を今度は月光に向かってぶつけた。

 言葉を発する間も無く、月光は日光と同じく民家の壁に飛ばされていった。







「なんだぁ??俺を倒すと言っておいて…この程度じゃ話にならんぞ…もっと…もっと俺を楽しませろよぉぉぉ!!」






 そう言ったオルハリアンは言葉を荒げながら、空に向かって吠えていた。

崩れた民家の壁からできた土埃が止んできた。そこには日光、月光の姿は見えなかった…




「だから…昔と違うと言っただろ!!!!!!」


「!?」



 オルハリアンの両側面の右から日光が、左から月光が拘束魔法をかける。

お互いの魔法が、オルハリアンの両腕と両足を拘束して動けなくする。

その拘束力は、魔法少女の方程式が使っていたバインドを超える強力なものだった。



「これは、なるほど…確かに強くなったと言うことか…フフッ」



「そういうことだ…!!広域魔導犯罪対策組織M'sKの権限において我ら、STAR☆DROPが…職務を執行する!言っておくが、マスタークラス魔法使いは各々で執行許可権限がある!」


「オルハリアン!僕たちは10年前のキングダムペインと時の大量虐殺を絶対に許さない…悪いけど、死んでもらうよ」




「フフフ…そうだな…俺を殺せるものなら…全力で殺してみろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」




 オルハリアンは再び暴れだす。その凄まじい力は拘束魔法を砕きそうになるくらいの強大な力だった。

日光と月光は再び、自分の武器に魔力を溜めた。




「兄さん行くよ!!」


「おう、月光行くぞ!」


「ムーンライトーーー!!!」

「サンライトーーー!!!」



『ブラスターーーーーーーーー!!!!!!』



 二人の武器から放たれた魔導砲がオルハリアンに当たる。そしてもがきながらも、2つの属性の魔法により押しつぶされながらオルハリアンは灰になった。

 魔導砲から放出された、魔導の波が落ち着いた時…そこには灰だけが残っていた。



「はぁあ…はぁぁ…倒したか…?」



 強大な魔力を使い、体力を摩耗した日光のその言葉に、急いで月光がオルハリアンがもといた場所に向かった。

 そして、その灰を見ながらため息をついた。



「兄さん…やられたよ…これは…」



「俺の作った泥人形だよ…フフフ」



 日光の言葉を遮るように、二人が声のした後ろを振り向くと、そこにはオルハリアン本人が立っていた。

 それをみた日光は、足を少し交代させた。月光も、少し引きつったような顔をしながらも相手を睨んでいた。



「オルハリアン…きさま…」


「まぁ、慌てるな…今回のは人間ではなく、正真正銘の泥人形だよ…お前達の実力を見るのに俺自身が出なくてもいいようにな!!だが、お前たちが泥人形を倒したことで、操っていた魔力路を通って俺にまで魔法ダメージが来たんでね、今回は俺も貸しで帰るとするよ…」




 そう言うと、オルハリアンは後ろを振り向き、帰ろうとする…

それを見て、少し落ち着いた月光はオルハリアンを追おうとする。



「まてっ!オルハリアン!」


「あ、そうそう…俺たち兄弟の末っ子がな…お前たちの可愛がっている愛弟子に興味があるみたいだ…もう遅いかもしれないが、注意しておいたほうがいいぞ…じゃあな!」



 オルハリアンは月光の言葉を遮り、その言葉を残し再び吹いた風とともに消えていった…

そして、月光は少しの間の後に、何かに気づきながら大声で日光を呼んだ。



「兄さん!!早く戻ろう!魔法少女の方程式が危ない!!!」





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