第3話 総監と師匠と・・・

 ゴブリン討伐事件から数日後。三人は首都アルストフィア内のM'sK本部に来ていた。

 今回の事件の報告をするためだ。


「ハァ…憂鬱だわ…総監になんて話そう…」

「ルナは考え過ぎだよ。もうちょっと明るく行こうよ」

「そうよ♪リオみたいには言えないけど…もうちょっと肩の力を抜いて行きましょ♪」


 三人は適当な会話しながら建物のエレベーターに乗り込む。

 一人は憂鬱、一人は気楽に、一人は空気を呼んでフォローを入れる。

 今から向かう先はM'sKの最高責任者である。

 20階建ての建物の19階までエレベータが登ると扉が開く。


 中央通路を渡り、奥にある扉にたどり着くと、ルナが一息の深呼吸をすると「トンットンッ!」っとノックをする。


「どうぞ~~」


 男性の声が聞こえると扉の鍵が開く音がする。

 三人は扉を開けて部屋へ入るとそこは見通しの良い大きな窓から澄み切った青空とその下には町並みが見え、

 その右側には20代後半程度の短髪爽やかな男性が立っており、その横の机の上にはショートボブで赤ぶちメガネとロングコートが目立つ男性と同じくらいの年齢の女性が座っていた。


「いらっしゃい♪魔法少女の方程式のみんな…任務お疲れ様。ルナ!報告をおねがい♪」

「ありごうございます。クレハ・ドールテン総監…こちらが今回の任務の報告書になります。」


 ルナは報告書をクレハに渡しそれをクレハが確認する。

 その間、三人は応接用のテーブルに座っていた。

 するとさきほどクレハの隣にいた男性が三人にお茶を出してきた。


「どうぞ♪リオさんはオレンジティー、ルナさんはレモンティー、ミアさんはストレートです♪」

「シオンさんありがとう♪」

「ありがとうございます。」

「さすが分かってる~」


 シオンと言う男性が出したお茶を飲んで一息ついたのか、簡単な会話をシオンを含んだ四人で会話をしだす。

 その間に、クレハは提出された報告書を余すところなく確認していく。

 一通りの確認をすると、その報告書を机におろし、報告内容について話しだした。


「今回の報告、確かに受けました…ですが、内容にあった生存者とその親族の身元確認を怠ってしまっているのは痛いところですね。」

「はい。それは私の不足の致すところでございます。」


 クレハの言葉に返す言葉が出てこないルナに対して、クレハは更に言葉を続けた。


「ですが、まだ現地に出たばかりの新米としては頑張ってくれたと思います。それに今回の案件、もっと深い案件になりそうだからそのままマスタークラス魔法使いが引き継ぎます。」

「ありがとうございます。ちなみに、今回の…深い案件というのは…?」


 クレハの発言に安堵するとともに、疑問になった事を質問すると少し顔色を変えて口を開けようとした。

 そのとき、クレハの言葉を遮るかたちで男性二人が扉を開けて入ってきた。


「そこは俺達が引き継ぐし、ことが大事になるから今は秘密だぜ!ルナっ子!」

「そうだよ。それにこれは僕たちマスターランクでもなかなか厳しい案件になりそうだからね。…でも三人共よく頑張ったね。お疲れ様」



 二人はそう言うと三人に優しい顔を向けた。

 その瞬間リオは太陽のように明るい顔になり二人に近づいていった。


「日光師匠!私頑張りましたよ。師匠から教えてもらった魔法剣…うまく使えたと思います。ブイッ」

「師匠方がここに来たという事は、やっぱり今回は大変なことなんですね…とりあえずは頑張れたですかね?♪……それはそうと…ルナ~~」

「はっ!?ひゃ!!はい…」


 ミアの言葉に今まで顔を赤くしてボーッと二人を見ていたルナが慌てながら我に帰ると、二人に近づいて行き、日光とは別のもうひとりの男性のもとに近づいた。


「あ…あの…お久しぶりです…月光さん…」

「…うん。ルナちゃんも久しぶりだね。ちゃんと魔法の勉強続けてる?」

「は、はい!私は月光先輩のように魔法を誰かを護るために使えるように頑張ってます」


 普段とは違い、見たことないような慌てようで顔を赤くしているルナをリオとミアの二人は微笑ましい顔で見ていた。

 クレハもその微笑ましい顔を見ながらも、少しの間をおいて真剣な顔に戻り日光と月光を机の前に立たせた。


「それではこれより本案件はSB(スーパービギナー)ランク【魔法少女の方程式】よりマスターランク【STAR☆DROP】へ移行します。日光さん、月光さんお願いします。」

『はっ!総監より任命承りました。』

「そして、魔法少女の方程式!あなた達の次の任務があります…」

『はい!』

「…学校から成績が悪いから追試だそうです。これから1週間は勉強に励みなさい!」

 [ズコーーッ]


 クレハとシオン以外の五人がズッコケた…

 二人は呆れ笑いながら頑張りなさいと言いつつ三人を部屋から退室させた。


「さて…日光、月光、今回の剣なんだけど……」

「分かってる。今回の件…キングダムが絡んでるんだろ…お前らが俺らを呼んだ時点で察しがついたわ。」

「なら…話が早い…どうするか分かるよね…」

「総監命令ならやるしかないですね~僕も日光兄さんもキングダムには借りがあるからね…決着を付けないと…」


 そう話をすると日光と月光は部屋から出ていった。


「…二人共、何があっても絶対死ぬな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る