第13話~ラッキースケベ~

 付き合い始めて早三ヶ月。俺としては、そろそろキスの先に向かいたいところだが……俺の彼女はどうにもガードが固い。



夏樹なつき、私お風呂入るね」


「おー」



 風呂場に向かう羅々ららの後ろ姿を見送った。すらっとした細身の体。まだ下着姿すら見たことない。



「二十八にもなって、まさか三ヶ月も待つことになるとはなあ」



 風呂に入っているだろう羅々の裸を思わず想像してしまった。その罪悪感を拭おうと、冷蔵庫から缶ビールを取り出した。そして、ソファに腰かけたその瞬間。



「痛ってー!」


「どうしたの?!」



 俺は手で足の甲を押さえながら、顔は声のした方を見た。そこには羅々の下着姿が。



「い、意外。水色か……」


「えっ。あっ」



 顔を真っ赤に染めた羅々は、脱兎の如く風呂場に戻っていった。


 俺は、同じく赤くなった甲を涙目になって見つめた。



「下着の代償が、これかよ」



 あーあ。風呂場に乱入でもしちゃおうかな。どうせもう見たし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る