第7話〜いかついカップルの話〜
私のクラスに、校内でも有名なカップルがいる。
五十嵐くんは、髪を少し伸ばしてハーフアップにしている。ピアスにネックレス、着崩した制服。
桃内さんは化粧が濃い。白い肌に赤リップが映える。スカートが短く、シャツの胸元を大きく開けている。おっぱいがやたらとでかい。
「これでホームルームは終わりね。あ、そうだ、五十嵐くんはこのあと職員室に来てね」
続々と部活に向かうクラスメイトたち。五十嵐くんを盗み見ながら、教室をあとにした。またケンカでもしたのだろうと、私も彼を横目に、教室を出ようとした。
桃内さんが彼の机に駆け寄るのが見えた。
この時期に毎年行われる「秋の遠足」。遠足当日は、数日前の残暑と打って変わっていい感じに気温が下がり、秋らしい日になった。今年のテーマである「秋の訪れを感じる写真」に従って、配られたインスタントカメラのシャッターを切っていく。
「よし。撮り終わったし、解散でいい?」
何故かこのグループに入っていた桃内さんの合図で、私たちは解散した。
「えっ。ねえねえ、あれ見て」
顔を上げると、合流したらしい五十嵐くんと桃内さんの姿が。
かっ、可愛い……!
お揃いのベージュのパーカーと黒のパンツ。ペアルックだ。集合した時はグループごとに点呼したから、気がつかなかった。
それにしても……。
「可愛すぎるんだけど」
いつもインパクトのある二人がペアルックなんて。どっちの希望なんだろう、と想像を膨らませた。
小耳に挟んだ話では。あるクラスメイトが「ペアルックなんて意外だ」と言ったところ、本人たちからはこんな返事が返ってきたらしい。
「はあ? カップルなんだから当然だろ?」
「ね〜。カップルって、同じ服着るもんでしょ」
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