学年順位:3年1組 サカキバラ ユイ
うちの高校では、定期テストの順位を廊下に張り出すとかそんなことはしない。張り出されるのは外部の模試や試験、大学からの広告、あとは委員会の通信と、小テストの範囲くらいだ。だから、周りの子の学年順位が本当は何位かなんて知りたかったら実際に成績表を見て確かめるしかない。が、それでも大体の順位が分かってしまうのは皮肉なもんだと思う。
順位が一桁の人たちはそれとない噂と普段の出来の良さでなんとなく勘ぐれるのが実情なのだ。
例えば4組のオオクラチハルって子は高校に入ってからずっと一桁順位で、旧帝大受験組の1人だ。2組のミゾグチヒロヤって子は高校に主席合格して以来5位以下になった事が無いとか。
そんななか、私は安定の中間層。平均点が取れたら安心、届かなくても補習対象にはなり切らない中途半端な成績表。
帰宅の電車の中で、膝の上に抱えたリュックサックに顔を埋めて、やりきれないぐちゃぐちゃな気持ちに必死で耐える事20分、塾の最寄り駅で下車した。塾講師にまた溜息を吐かれることを分かっていながら、それでも行かなきゃ家で親に怒られる。
沈む一方の内面はひた隠して、自動ドアのエントランスをくぐった。
***
世の中での価値は数字じゃないとか、中卒でも社長になれるとか、点数が全てじゃないとか。綺麗事しか言わない大人は大嫌いだ。
「学校」という小さな社会において相手を決める尺度の一つは頭の良さだし、「塾」という組織において利益を生み広告塔となり得るのは賢い奴らなのだ。
それに「学年順位」を目安に使わないで、どうやって相手を判断し対応するのだろう。
それほどの意味を持つ無機質な数字が「学年順位」じゃないの?
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「せかい」の数字依存に嫌気が差す少女の話
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