自己嫌悪:2年2組 イイヌマ リンカ
周りが高スペックなのが悪い。
どの科目も好成績のクラスのあいつ、気遣いが細やかな部活のあの子、塾に部活に生徒会にと色々な事に完璧に取り組んでる先輩、偏差値は十分高いのにまだまだ勉強が足りないといって猛勉強する後輩。
このクラスでも部活でも、周りの人たちはこれ以上ないくらいに全力で高校生を生きているのに。
「あー、また順位落ちたー」
「またまたー。そういってリンカは高いくせに」
「いや、これガチだから。マジで低いから」
友達が目の前でファイルにテスト結果を仕舞うのと同時に、私も半分に折り畳む。そこに並ぶ無機質な数字は前回よりも随分と出来の悪い結果を羅列させていることをいくら話しても、誰一人としてそれを信じようという素振りを見せてくれない、そんな気持ちと一緒に畳んで、鞄に突っ込む。
「本当に頭悪いんだけどなぁ……」
吐いた言葉にレスポンスはつかない。さっきまで話していたあの子は、ほら、クラスの『学年順位が良い頭良い集団』に混じって笑ってる。賢い人たちとの空気の方が楽なんだろうな、知ってたけど。
持ち前のネガティブ思考は考えだしたら止まらない。
さて。
私の落ち込む気持ちは、残り5分の休み時間を寝る事で消費しようかな。
***
スマホ我慢しても、嫌いな数学頑張っても、中学まで得意だった英語で背伸びしても、お菓子我慢しても、ちょっと高いコスメに手を出しても、苦手な筋トレを自主的に取り組んでも。
なんで周りが器用にこなしていることが自分は出来ないの。
なんで周りは私を過大評価するの。
だって自分は、勉強も出来ないし、努力もしないし、見た目はダサいままで変えようとしないし、部活だって中途半端だし、夢が無いから行きたい大学も無いし。
ずぶずぶ沼に嵌まって死んじゃいそう。
__________
「せかい」を変えたがってる少女の話
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます