第6話 ハジメテレミー

 住宅を兼ねた小さな旋盤工場で、血まみれの少女は機械に隠れてちょこんと地べたに座っていた。彼女の横には内臓を引きずり出され、あらゆる箇所を噛み千切られた中年女性の死体が横たわっていた。

 少女が生者か死者か、引き金にかけた指が迷っていた。

 すり足で少女に接近すると、直ぐに彼女は気付き、俺を見つめた。

 少女は、口の周りが血で汚れていた。

 けれど、大きな瞳から、大粒の涙が頬を伝っていた。

 だから、俺は、銃を下げた。

「こちらは、君のお母さん?」

 あの日、俺はなんて間抜けな質問したのだろうな。

 あの時、レミは頷いたっけ。

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