1‐4 夜

バイト終わりの君と待ち合わせをした午後10時。

お風呂に入ってきたのか石鹸のいい匂いがしていた。

「たのしみだね。」と君が言った。『うん!』って答えた。

私は少し緊張しながら君の横顔が夜の電車の窓に写ってるのを見ながら

あぁ、私いま幸せだなって。


ホテルも何にも予約してなくて、不運なことに最終電車で降り立ったその駅は催しがあったみたいで辺りには、空になった缶ビールがたくさん落ちていた。

今夜泊まるところを探しながら、横目で酔っ払いの若いお兄ちゃんとこれからお仕事に行くようなお姉さんたちを見送った。それにどのホテルも満室だった。


君が、「…ラブホテルでもいい?」と私に聞いてきた。私は『うん』といった。

ちゃんとした下着も着てきていた。

だけど、そのホテルすら空いてなかった。


結局ネカフェのカップルシートに3時間。

私の緊張はピークにきていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る