レベル39怨念に支配されし勇者

教会内は、見事に焦土と化した。


一部だけ床、装飾品など

きれいに残っているのがある。

しかも、汚れもないと異様は際立つ。

それも、そのはず見えない障壁で

護られ被害を免れた。


「来る・・・二人は、他を」


「分かっているよ」


「理解しているです」


最後まで言わずとも理解する

フェアリーとフタリ。

倒れる亜人達を護るため防御魔法の

維持してくれる。

僕は、ただ命を奪わず倒していく。


(こ、この禍々しい殺気は!?)


迷いない刃のような殺意、

そして静かな憤怒に感知して

恐怖を覚えた。それは、初めて戦いを

強いられた時よりも魂を震えさせた。


「はぁ・・・はぁ・・・・・」


ダメージでも攻撃でもない。

ただ、殺気という曖昧模糊あいまいもこなもので屈そうとしている。


「僕を待っている人がいる!」


同じ境遇の元勇者やティファニーが

戻ってくるのを待っている。

僕が、この剣や戦う目的はあの頃の

奪うことや死なないことではなく

守って救うために戦うんだ。


そう心で強く決意すれば、

震えは収まった。


(来た!)


煙が晴れ、青空の下に僕らを

大軍が包囲していた。

そして、あらゆる方向で敵が僕を

目掛けて走り始めた。

煙が、晴れたのがエデン教会の

集めた大軍との激戦の火蓋を切る。


「「「うおおぉぉぉぉ!!」」」


「ハアっ!」


拡声スキルレベル200を発動させ

畏怖スキルレベル188を付加させた

僕は一喝する。

なんと、攻めてきた敵は次々と

倒れていく。

とくに危ないと思えたのが騎馬隊。

フルプレなので

落下しても大丈夫だろう。

馬も一緒に失神しているし。


「なっ!我が精鋭部隊が」


「これが、魔王も伝説の勇者を

倒した世界王の力なのか・・・」


声だけで倒れていく仲間を見て

戦意喪失する騎士と・・・盗賊?

いや、ギルドの冒険者だろう。

だとしたら、教会は冒険者を

招集させたのか。


「され!我が名は世界王。

あらゆる万象をつかさど

理を操作する異能を持つ。

今の我の力は、その一片にすぎぬ」


ここは、世界王として振る舞わないといけない。相手をスキル以外で

屈服させる必要性があると考え

僕は知識で知っている王など

なりきる。


「なら、救世主がそれを断たせて

もらおうか!」


右から、高魔力反応!

振り抜く前に黒い揺らめくほのおの奔流が僕を呑み込む。

そして焔の勢いが落ち消えると

僕は、身が焼かれる痛みも姿も

一切なく無傷。


「・・・正直、レベルが高いと

混乱してくる。チートって

手に入れてから混乱するもの

なのかもしれないなぁ」


「バカな・・・魔剣を手にした

必滅ひつめつの焔を」


どよめく敵さん達。狙いが完全に

僕だったため、フェアリーとフタリ

が展開している場所へは誰もこない。

そうされたら、亜人達を

守らないといけないし。


さて、魔剣の使い手はどんな

悪人かと見ようとしたが

次の大軍の渦で見えなくなった。


「考えなしです突撃など、甘い!」


拡声スキルと畏怖スキルをブースト

した発声に倒れていく敵達。

しかし、今回は耐性が強いのが

多く気絶させたのは、せいぜい

1割のみだけ。


「ふん!」


(あれは、確か稀代の勇者!)


名前は確かアーサー。

倒れた仲間を目にせず駆け

大軍の中に見つけた。そして、

稀代の勇者が握る剣は神々しく輝き

最強で最も有名な聖剣エクスカリバー

ではなく、禍々しい漆黒の剣。


(奴がここにいるとなると、僕の

声で倒れないのは、

その仲間達なのか!)


彼我の距離は30メートル。

アーサーは、前足を蹴る次の瞬間に

前方へ意気に加速した。

アーサーは、漆黒の剣を後ろへ

隠すように、

そして横一文字斬りの構えだった。

僕は、別世界の白銀の剣を

右下のななめに構える。

逆袈裟斬りを放つために。


「ガッガアアァァァ!!」


獣のように吠えるアーサー。


「うおぉぉぉぉぉ!!」


負けず劣らずに僕は、

声を大きく叫ぶ。


アーサーの横一文字斬りを

僕の白銀の剣で受け止める。

鍔迫り合い。剣と剣でぶつけ力押しに

アーサーは、「チッ!」と

舌打ちして後ろへ、跳び下がる。


「シン!ザル!」


アーサーが叫ぶと、矢が性格的に

僕の心臓部へ狙おうとしていた。

その矢を素手で掴み折る。

危ないし。


「凍てつく、つちアイスメイス」


氷塊が狙ってきた。僕はその

中級氷魔法を左から袈裟斬りで

破壊する。

どんな敵か、確かめる。

矢を放ったのは、軽そうな性格の

印象の茶髪の青年。

魔法を放ったのは、紫色の短髪

の鎧は軽装で剣を持つ20代後半ぐらいの男性。

その支持をしたアーサーを向けると

両手で剣を向けて構えていた。


怨嗟えんさの声を力と化し

復讐の焔に灰燼かいじんとなれ

デビルフレイム!」


漆黒の焔が柱状ちゅうじょう

僕へ襲ってくる。これは・・・

黒い焔の奔流が放ったのは、

アーサーだったのか。


(だけど、この攻撃ぐらいなら)


「剣よ!」


スキル剣の召喚権限レベル190起動!


空いた手に、柄頭や剣先まで銀色の

剣が出現。別世界での剣だと

しか知らない。


「二刀流のドラグーンストーム!」


高速連続上級剣技を使う。

目にも見えむ高速で剣の乱激。

アーサーは、漆黒の剣で砲撃を

剣だけで相殺しようとする。


「ふん。バカが!この程度で

テイルウイングを最強の攻撃が

防げるものか」


「残念だけど、僕はできるよ!」


最後にX状に二刀流の袈裟斬り。

闇の焔は消滅させた。


「クソ!ばけものが!!」


悪態をつくアーサー。


「アーサー。ここは仲間の

セレクトブレイブ達に」


真の勇者の一人が案を持ち出したのは

前に神創山に参謀の人だった。


「黙れ。我に邪魔など

たとえ貴様でも許さんぞ!」


「アーサー・・・!?」


まさか信頼されていたアーサーに

邪険に扱われ絶句する参謀。

もはや、稀代の勇者の清廉さは

消えていた。今のアーサーは・・・


「我よりも強い敵が・・・いる。

くっくく、はっははははは!!

たのしい、愉しいぞ。

血湧ちわ肉踊にくおどる。

蹂躙され悲鳴を上げる無辜むこの民のために聖剣を振るったこと

よりも、この焦がれるような

焔の感情が生きていると実感できる。

そうだ!絶対的な存在の前で

我は楽しくて仕方ないのだ!!」


狂気を孕んだ言葉をして、嗤う。

少し前のアーサーは、使命に淡々と

完遂していく清廉で善悪という

測る思考を使わない冷酷な人だったが

・・・人はここまで変わるのか。


「あんた、変わったよ。悪い方に」


「知った事か!不様に負けてから

失い強さを渇望した。

こんなに力を没する清々しい

ものは、知った」


アーサーは、次に背後にいる味方に

振り返る。


「援護は遠距離だけだ。

世界王に接近戦するのは我のみ。

破れば斬る!」


(結局は一対一の戦いじゃないのか)


一人で倒そうと思わず、味方に遠くから援護するよう号令したことに

僕は、少し軽蔑した。

もしかして、手柄を一人で手に入れる

ためなのだろうか。


「ハァッ、ハハ!」


アーサーは、魔剣を右肩に乗せ

身体を真っ白に輝き異常な速度で

前進。アーサーには進んだ後ろに

残像も起こしての突撃。

残像スキルと突撃の上級剣技

レイジング・ブレード。


間合いは一気に縮まれ右肩に乗せた

剣を袈裟斬り。


「アアァァ!」


歓喜を含まれた声を出すアーサー。

僕は右に移動して回避。

次は逆袈裟斬り2撃目は知っている。

使い手の右に避ければ攻撃モーション

も大きくなり命中するのに数秒も掛かりかなり不利になるのた。


「イトゥダー」


アーサーは、両目から中級レベルの

雷魔法を放つ。

魔法詠唱も速い。

いかずちよ、[トリプルサンダー]と

唱えたとしたら、スゴイ技能だ。


この魔法を手のひらで放つのだが、

時々、別の部位からでも放つ

ことも可能だが針の穴を通すよりも

遥かに難易度が上がる技術。

それを簡単に・・・放たれる

3つの雷の矢。


ここは、あえて全部を受け止めると

判断。最初は頬に2本目は額に。

最後は口に命中。

痛みよりもチクッと程度で済む。

これも、レベルの恩恵。


「ハッ!」


(これは、動揺なのは分かりきって

いる。時間を稼ぎために使い

狙いは逆袈裟斬り)


読みは当たり逆袈裟斬りを右後ろへ

軽く跳び回避。

最後に大上段斬り。斬った勢いを無駄にせずにジャンプして大上段斬り。

最後に相応しい映えがあり威力も

小さなクレーターができるほど。


しかし、逆にいえばアクションが

読まれやすく回避されやすい。

そして、敵が前方ではなく

左右、背後にいれば動きも変えないといけないので、隙と回避はさらに

しやすくなる。


「レイヒョフフズム」


しかし、動作が早く

さらに左手を向け追加攻撃に

氷の上級魔法を高速詠唱で放つ。

[フリーズタワーブルーム]。

左の手のひらに大吹雪を引き起こし

瞬時に凍結させる強力な魔法。

動きを封じ、大技を

決めるためだろう戦法だろう。

この必殺コンボも冗談のような

数値があるステータスを持つ僕には

凍らせることも、ダメージすらも

微々たる以下に過ぎなかった。


「なに!効いていないだと」


「わるいけど、もうあらゆる攻撃も

トリッキーも通じないよ」


左へ軽くジャンプ。僕が少し前にいた

位置に魔剣が振り下ろされた。


「ま、まだ終わっていない!」


おそらく、この技を費やした時間と

努力はそうとうだろう。

僕には、思いつけないものだった。

だが、僕には多くの人から託された

力を持つ。時間と努力と想いは

総合的に上だ。


「わるいけど、もう終わりだよ」


左右から、上級魔法の連射が来た。

アーサーが支持した魔法援護射撃。

ドラゴンのブレスを思わせる焔。

最も速度がある荒ぶる雷。

氷柱つららを飛ばす砲弾の雨。水害を起こすほどの威力の奔流。

光と闇の光学兵器ごとく攻撃。

あらぬ方向に行き、命中する、惜しくも外れるなど苛烈を極めていた。

しかし、攻撃を受けても

体力の1割も削らないだろう。


「ハァッ!」


僕は、まずアーサーが握る魔剣を

袈裟斬りで手放せることに成功した。


「魔剣が無かろうがぁぁ!!」


「もう一度、言うけど終わりだよ」


僕は、右手にある白銀の剣を逆に

構える。剣先を後ろに柄頭を前に。

握るための柄を一番後ろの部分を前に

してアーサーの鳩尾に加減して

やや強めにぶつける。


「ガハアァ!!」


アーサーは、地面に膝をつき

なんとか意識を失わいように

踏ん張る。手を伸ばすアーサーに

それは、執念に思えた。否、そうだ。

だが、届く前に手は落ちる。

アーサーは、倒れ気絶した。


「・・・我の勝ちだ!」


僕は手をかざし勝利を宣言する。

ここまで実力の差を見せつけば

叶わないと強く心に刻んだ

ことだろう。


「アーサーが負けた・・・

こうもあっけなく」


「終わった・・・人類は負けた」


「に、にげろおおぉぉぉ!!?」


アーサーの集った仲間らしき人達は

クモの子を散らかすように

逃走していく。もちろん諦めずに

いる者がいるが人数は少なく

逃げる方は多かった。


(次は、教皇に直談判して

平和的に解決策だが・・・っ!

背後に敵意が!?)


背後に振り返りざまに二刀で

X字にして、攻撃を防ぐ。

武器は黒い短剣。

攻撃を仕掛けたのは、

召喚して捕縛した、あの

アサシンの青年だった。

黒いフードから銀髪と黒目。


「よく、不意討ちを狙っているけど

スキルも多種多様でもう

諦めてはどうだ?」


「それは、無いな。俺は生まれてから暗殺を生業としている」


「なら、倒れてもらう!」


短剣を力で弾き飛ばし、無詠唱で

初級魔法の威力を抑えたファイヤーを

僕とアサシンを真ん中に生成させ

爆発させる。


「ぐわああぁぁぁぁ!!」


吹き飛ばされるアサシン。

放射線を描くように落ちているけど

フードの中から頭を守る防具も

あったので、頭から落ちても

恐らく大丈夫だろう。


「それにしても・・・」


矢が飛ぶ。さきアーサーが名前を叫び

放ったあの仲間の一人。

とうやら、他にも戦おうとする

者はまだまだいるようだ。


「長い戦いになりそうだけど、

エースやあのアサシンを倒せば

心配はないだろうね」



――――マーシャル暴走――――


「ハァ・・・ハァ・・・・・ぐっ!」


身体が痛い。それに全身に焼かれる

ように暑く痛い。


(このまま死ぬのか・・・)


諦めようとしたとき、いきなり焦がれる暑さは消えた。

痛覚は、残っているが焼かれる

痛みのみだけ感じなくなった。


(これは・・・なんだ?

手にはやけどして箇所がない。

確かに全身に焼かれた強烈な

記憶は味わった。幻覚なら

解かれることはしていない。

なら・・・奴のミスか?)


理由は、どうでもいい。

戦えるなら戦うまで。

奴が俺に目覚めたことを気づかせない

ため静かに立ち上がり移動する。

獲物が落ちた場所に行くと。


(ヒビが入って使えないか)


使えなくもないが、せいぜい強い

衝撃を一回でガラスのように壊れる。

何か、無いかと周りを巡らすが

ほとんど損傷されているものばかり。


「くそ!使えねぇ。

・・・んっ?あれは・・・ 」


唯一、壊れていない武器があった。

アーサーが使っていた魔剣だったか。

聖剣を失って飾っていた魔剣。

使い手の精神が弱いと支配される

法律では使用を禁止されている魔剣。


(これが、あれば勝ってかもしれない)


俺は迷わずに音を立てずに走る。

剣は地面に突き刺さて、

剣の傷は一切ない。いや再生している

のか、この剣は。


「禍々しいが、それだけ価値のある

剣だな。俺には精神がすでに

壊れている。支配されることない」


魔剣に対して呟き、柄を握る。


「な、なんだこれは・・・

蹂躙される心が!?ぐわあぁぁ!!」


甲高い叫び声を叫びマーシャル。

魔剣テイルウイングは、黒い輝き

使い手を黒い瘴気が溢れる。

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