レベル36悪魔との宴

上空にひしめく禍々しき

魔の軍団。

角を生え冷笑するゴブリンや

わらう黒い羽を羽ばたかせる

ガーゴイル。


「くくっ、世界王は下等生物、

人間の戦いにより疲弊ひへい

しきっている。

魔王様の威信のため一身を捨てる

覚悟で挑めよ!」


「「うおぉぉぉぉ!!」」


晴れ晴れとした、折角の天気が

悪魔の大軍が原因で黒い。


「うわあー、千載一遇せんざいいちぐうとか、考えるよあの悪魔。

状況を知らないのは愚鈍?

知らぬが仏?」


「騒ぎたくなるのは理解しますが

落ち着くのです妹」


「だあー!誰が妹よ。

この才色兼備で歩く姿は百合の花と

皆が讃えられる私に」


僕達の頭上で妖精バトルが

繰り広げようとする

フェアリーとフタリ。


「ダメだよ二人とも仲良くしないと」

「「はーい!」です」


ティファニーのゆるふわな仲介に

より、妖精バトルは発展させずに

和平させた。

虎視眈々と漁夫の利を狙う魔王軍が

出現してあまりにも緊張感が

なかった。


「わあー、ザ・デビルが

飛んでいる。あそこは、竜。

飛竜とか呼ぶのかな?」

「シゲザネと乗りたいなぁ・・・」


まぁ、僕もそうなのだけど。

隣で呟く最愛の人。

デートにいいかもしれない。

よし、野生の竜を仲間にして乗ろう!


「う、うわあー悪魔だ!?」

「か、勝ってるのかよ。

俺たちの実力で」


周りの勇者や先、戦っていた

勇者達も上空に

攻め滅ぼそうとする

魔王軍におののく。


「あー、皆さん。絶対安全だから

笑いたまえたまえぇー!

あの程度の敵は伊達が一人で

十分・・・ちょっと違うねぇ、

十二分以上にぜよ」


「そうです。わたしとシゲザネ

ついでにかまびすしい妹が

いれば、天下無双です」


フェアリーとフタリが、おののく

勇者達に優しい笑顔を向ける。

ざわつきは全部ではなかったが

減っていく。


二人の妖精は僕の肩へ座り、

未来型のデザインと何世代、先にいく

デバイスとコンソールのような

ものを出現させる。


「そうだな。教会が原因で

攻撃できなかったが・・・」


僕は、右手を斜めに滑るように

動かす。そして虚空から

一瞬で現れる漆黒の剣。

パラレルワールドの世界に繋ぐ扉を

広げ別世界の伝説の剣を呼び出し

その剣を握る。


「なんの縛りがないなら、僕は――

無敵だからね。なんだって

世界を統べ支配者の世界王が!」


「っー!?な、なんだ・・・

この威圧感は!!」


「伊達!炎の上級魔法を譲渡許可」


「氷属性の上級魔法を拝借です」


「オーケー。それじゃあ僕は

雷属性の魔法になるか」


フェアリーとフタリはコンソール

正方形の真中に取り付けた球体を

触れ操作をする。

僕も魔法を放つため両手を握る

漆黒の剣先を雲霞うんか

大軍に向ける。


「くらええぇぇぇぇーーーー!!」


固有スキル(自称)の

[想像自動構築]を発動。魔法使用ための詠唱やこの漆黒の剣に付属する

魔法強化の手間など全て固有スキルで

演算して処理する。


剣先に、雷上級魔法

[シャドーサンダーブレイド]

黒きイカズチを収束した砲撃。

禍々しい巨大な柱状のイカズチは

拡散する。複数へと分かれ

敵を貫き、爆破、バタバタと

落ちていく。


「な、なんだこれは・・・

魔王様以上イヤ比較できない!」


茫然自失ぼうぜんじしつ

なる少し前の強気だった悪魔。


「これだけじゃないよ。

戦っているのは一人だけじゃない」


「あらゆる万物に赤き怒りを与えよ

[サンクチュアリフラッシュフレア]」


「冷気よ!の者に溶けぬ氷獄を[フリーズタワーブルーム]です」


右から神々しい巨大な炎の球体。

左から白い結晶と荒々しい氷。

炎の球体は、右の軍勢に直進し

大爆発が起き敵を灰燼かいじんす。


左の氷の粒それを激しい風で

留まる。形を変えて左の敵へ

向かう大吹雪をした竜巻の行進。

その渦へ呑まれた上空の敵は

凍結となり、氷の棺桶かんおけの完成だった。


「バカな・・・バカな、バカな!

一万も近い大軍がこうも。

我はエリートの悪魔だ。

ソロモンナンバー14の

レラジェだぞ!」


大将クラスが乱れれば周囲も感染

され混乱で整った陣形も崩壊。


「火蓋を切る攻撃がまさかの

試合終了ようだね、これは」


フェアリーの言葉通りもはや

戦うための心は折れた。


「グウオォォォォォォーー!!」


地面を激しく揺れる・・・

叫び声だけど揺れるなど脅威の存在の

敵意を感知した。


「「わ、わああぁぁぁぁーー!?」」


「「キャアーーーー!?」」


この世とは思えないおぞましい声に

見守っていた脱退した勇者達が

震撼し、悲鳴を上げる。

それで、不利になるわけではないが―


「フェアリー、フタリ。先の声は?」


「まぁ、ヤバイ奴だとしか」


「同じく・・・です」


「そうか、ありがとう・・・

さて、飛んで迎撃するか。

ここで待ち受けるか」


この破格すぎるレベルで敗れるとは

思えないが、十全で戦いたい。

それが本音だけど、離れると

護りきれるか自信がない。


「信じよう」


この声は、赤髪の美少女

ティファニーの声だ。


「シゲザネがみんなを護って

くれる・・・その、わたしも

頑張って護るから・・・ねぇ。

だから、落ち着いて」


ティファニーが、励ましていた。

奴隷から解放された勇者達は、

ティファニーの微笑みに心を奪われたようだ。 男女関係なくに。


「ここは、ティファニーに任せて

僕達は空の敵を駆逐くちくに行きますか」


「おう!」「はいです!」


二人の妖精は快く返事した同時に

飛行スキルを発動する。


「ぐっ、竜騎兵よ迎撃せよ!」


初めての空の戦闘。

激しく襲う風、手足ではなく想像で

飛行操作に爽快感を感じながらも

気を引き締めないと気をつける。


「これが、初めて戦闘だから

サポートよろしく」


「へい、へい」「任せてです」


「は、はや――ギイァァァァ!」


まずは、飛竜にまたがる

黒騎士を一太刀で気絶させ落下。

続けて肩に乗る妖精達の魔法乱舞。

規模は下がるが中級魔法の炎と雷、

氷、土の複数からの同時連射。


「か、回避せよ。おそるべき

魔法の乱射だ・・・・・」


「た、隊長ーー!!」


「か、勝ってねぇ・・・」


剣を落とし完全に戦意喪失の騎士。

イモづる式に諦観していく者。


「我の命令を聞けぬ者は不要だ。

3頭竜さんとうりゅうえさになれ!」


「ズルアァァァァッッ!」


手綱を握り啞然としていた竜騎兵達の 背後に漆黒の3頭竜が翼をはばたかせ

口を大きく開け・・・らった。


「「ひっ!?」」


「アッハハハ!我は、まだ終わって

いない。魔王様の特別な許可を

いただき与えてくださった。

この、エンペラードラゴンなら!」


頭が3つの竜。視覚だけ判断すれば

体長は10 メートル巨体で、

翼は2対4枚・・・

左右に翼が2つずつか。

あの、声と姿で魂を震わせる声を

発したのは、あの竜だ。

あの、レラジェと呼ばれる悪魔が

息を吹き返した気持ちが理解できる。


「フェアリー、フタリ僕は

接近して倒してみせる」


飛行スキル最大レベルで真っ直ぐ

向かって突撃する。

凄まじい風が、景色が消える速度で

変わっていき・・・って、


「早すぎるぅぅぅぅ!!だけど、

頭や身体が覚えているようで

記録ないのにこれもレベルの恩恵か」


至近距離になり、

3頭の真中にある首に袈裟けさ斬り。真中の首は地上へと

落ちていく。よし、この調子で

他の頭を斬っていこうと加速発動を

停止する。


「真中の首が、戻って・・・」


「ありゃ~、再生持ち主ですか。

エンペラードラゴンの名は伊達じゃないことだね」


「それに、教会側の援軍や魔王軍の

士気が戻ってきていますので

すぐに倒したいところです」


真中の竜は再生。フタリの推測に

考えすぎだと一蹴できない。

この異世界で学んだことは、

用意周到の大事さを。


「それじゃあ・・・魔法で

集中攻撃を仕掛ける!」


「あらゆる万物に赤き怒りを与えよ

[サンクチュアリ

フラッシュフレア]!」


「冷気よ!の者に溶けぬ

氷獄を

[フリーズタワーブルーム]

・・・です!」


漆黒の剣先から放つ一点に集まった

膨大な雷が真中の竜に、

右は熱量の塊が右に向かい爆炎が

包みその余波がこちらまで感じ、

左からは、絶対零度のハリケーンが

竜の頭を凍らせ砕く。


時間差があったとはいえ、3頭を

一撃必殺レベルの威力で倒した。


「・・・やったか!」


「「あぁぁーー!」です」


「なにかあったのか!?」


危機感のある叫び声を上げて

不吉な予感を覚えた。

二人が異口同音なのが

一抹の不安は倒した竜からだった。

無くなった3頭が、再生したのだ。


「あー、まだ終わっていない

フラグをやらないでよ!」


「そうです。バカですか、です。

この定番フラグを狙っているなら

迷惑千万めいわくせんばんです!」


「・・・いや、セリフにそんな

力があるとは思えないんだけど」


まさかのフラグが立ったことに

憤激したのか・・・此方の方が

驚きたよ。


「グオォォォォ!」


「うわあ!口から火を吐いてきた。

外敵を防ぐ絶対なる護り

[リフレクターフィールド]」


僕を四方八方に包む球体型の障壁。

3頭からのブレス攻撃はこの障壁に

突破できず霧散する。


「さて、物理攻撃や魔法攻撃も

倒せないとなれば状態攻撃か

宇宙に連れるか・・・」


「それなら、あらゆる状態異常を

込めた不可視の斬撃とかは?」


「・・・フェアリーその攻撃や魔法

なんて無いと思うんだけど?」


「いやいや、創るんだよ伊達がねぇ」


「固有スキル・・・

想像自動構築です。

それがあれば、新たなる技が

できますです!」


「僕が・・・創る。やってみる」


目を閉じ想像する。

この固有スキルは、字面通りの力。

不可視攻撃と複数の状態異常デバフ、思いつく限りの最強要素を

イマジネーションを考え可能な想像。


「グオォォォォ!」


3頭のブレス攻撃に対して

慌てる必要はない。


「「[リフレクター]!」です!」


初級防御系の魔法で防いでくれる。

そして、速度と発動動作を想像・・・

イメージ完了。目を開き深呼吸、

構える。右足を引き両手を握る剣を

胸の高さ剣先を後ろ下げる。


「さあ!」


「技の命名めいめいはシゲザネに委ねるです!」


「ああ、この最強の技は――――」


剣を前へ素早く斬撃・・・横一文字。


「究極奥義にして、超絶剣技ちょうぜつけんぎ

超絶スラッシュ!」


「「うわぁー」です」


横一文字・・・しかしはたから見れば空振りした斬撃。

竜の3頭同時に斬られた。


「アッハハハ!

これは、驚きの芸当だな。

しかし、エンペラードラゴンは

これぐらいでは・・・どうして

再生しない!?」


哄笑こうしょうするレラジェ

だったが再生しないことに

悲鳴に近い声で叫ぶ。


「僕が作ったのは、再生を発動

しないだろう限りを込められた斬撃

・・・状態異常、視覚情報に

捉えない、魔力枯渇などなどですよ」


毒、麻痺、倦怠感、魔力ダメージ、

不可視、攻撃力など。

欠点もない最強の一撃を受けた

エンペラードラゴンは、毒によるか

切断ダメージなのか魔力が枯渇

したのか巨体身体は黒の粒子と

なって空へ流れ消滅していく。


「あっ、ああぁぁぁーー!!」


「ひい!?エンペラードラゴンが!」


「あ、あんなの勝ってるかぁ!!」


「ひいぃーー、悪魔!?」


「に、逃げるなぁお前ら」


レラジェの静止を無視しクモの子を

散らすように逃げていく。

今度こそ終わったようだ。

もう、

ソロモン72はしらであろう

レラジェの一体になった。


「どうする降伏しますか、

逃げますか?」


「バ、バカにするなよ!

最後に一矢を報いさせてくれるわぁ」


レラジェは両手を天に向けると、

禍々しい隕石いんせきを創造する。


「ま、まずいよね。あの大きさは」

「油断したです」


フェアリーとフタリが驚愕すると、

エンペラードラゴンのブレスよりも

比較できない威力を見ていて分かる。


「ははは、あの世で会おうぞ!

ははははは・・・は・・・・・」


レラジェの哄笑が途絶えた。

粒子となって還っていき消滅。

同時に街や首都を巻き込むほどの

物量した巨大隕石いんせき


「フェアリー、フタリ忘れた?

創造自動構築そうぞうじどうこうちくを。この超絶スラッシュで!」


右足を引き剣先を後ろへ構え放つ。

不可視の飛ぶ斬撃が、隕石に命中

するが、破片がいくつか落ちるだけ。


「・・・大きすぎるだろ」


「あの、悪魔が生贄いけにえで発動する大技でしょうねぇ。

スゴく迷惑だよ」


「わたしらは、当たっても

体力の半分さえ減らないです。

ですが・・・ここの下は・・・」


「伊達の妻ティファニーと

他の人達は・・・どうする。

転移を使って救える者だけ

助けるのは」


フェアリーの提案に僕は首を横へ

振り拒否。


「いや、それじゃあティファニーが

悲しむ。全員が救えないって

フェアリーのその言葉には。

それに、僕もその選択は二度と

したくないんだ!」


教会の勇者ときは生き残るために

必死になっていた。

見捨てる選択もした・・・するしか

なかった。そんなのは2度としない!


「だから、次に僕がやるのは

最上級魔法のさらに上に行く」


星と変わらないサイズの隕石が

迫ってくる。破壊できる魔法を創る。

目を閉じ、すぐに完成させ開き

てのひらを前へ向ける。


魔法の属性は全部で7つ。

炎、氷、雷、土、水、光、闇、

これを7つの軌跡と呼ばれる。

最上級魔法よりも上位を創り

それを同時に全部を放つ。


「いけええぇぇぇーー!

[レクイエムバースト]ォォォー!!」


虹色にじいろの全属性の魔法。

一つ一つが、最上級を超える力。

7つの奔流は隕石を貫き、

そして・・・破壊できなかった

部分は破壊していく。


炎が勢いよく燃え灰となる。

凍ると同時に砕き消える。

荒ぶる雷が破壊を続け細かく消え。

水しぶきが、周囲の岩石を破壊。

土塊が隕石を雨霰あめあられに貫く。


聖なる光が落ちていく破片を消滅。

強い衝撃で数多魔剣が現れ攻撃開始。

追加攻撃はあまりにも多く

星サイズの隕石はあっけなく

一片も残さず破壊した。


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