レベル33 ブレイブウォー2

悪意は、うごめき決して平穏を

与えようとしないのか・・・。

僕はレベルオーバーした。究極を越えて

それで全てを救えるだろうと思っていた。

しかし現実は異世界は、想いを・・・

優しさを淘汰とうたしようとするのか。再び絶望のふちに落ちる。


「それで、諦めるの伊達は?」

「・・・フェアリー。分からないどうすればいいのか、僕が手を出せばみんなが――」


僕の顔の隣に今は翅を動かし浮遊するフェアリーに情けないのは分かっていながら

尋ねる。きっとフェアリーなら良案が。


「落ち着くですシゲザネ。みんなを

救えるのは無理だと考えるべきです。

ここは、人質を開放するのを諦めて

敵を無力化するべきだと考えますです!」


そして、左に浮遊するは青色のフタリ。

召喚され転生された勇者を諦めろと

フタリは言う。普通に考えればそれが

最善なのだろうけど、それだけは選びたくない。結果、どっちも選べずに迷っていた。


「そうすれば、ここにいる勇者は

多くは救われるけど・・・他はそう

いかない、きっと伊達は一生、ずっと

苦しむことになる。そんなわけで

妹の案は無理だよ」

「妹じゃないです!いえ、論じる時間は

ありませんですよ時間が待ってくれない

ですからです。だから、選択ですシゲザネ」

「フェアリー・・・フタリ・・・・・

僕が選んでいいのかな?」


自信は粉々になった僕は二人の妖精に

頼みだったが道を示してくれない。

勇者と元勇者は偽のプラハ城の門前で

戦いが繰り広げっていた。

討伐隊には戦意がなく悲壮感を漂わせ

得物を持ち攻める。

元勇者達は、連携をとり抵抗する。

倒そうとせず、守りに優先して。

斬撃に負傷すれば後ろに下がり控えていた

人が代わりに抵抗を続けるのを見ている

だけなのが、悔しくなる。なにか

僕ができることは・・・ある!この力なら!


「時間停止スキルとかどうかな?」


名案だと思い敵に聞き取れないよう気を付け

低い音量で二人に言ったがあまり

芳しくない表情をする。


「・・・相手が人質の命をかり取る前に

ですか、それはあまりオススメしませんね」

「どうして?」

「この戦場を俯瞰している者がどこかに

いる可能性があるです。時間を停止する

にもデメリットがあるからです!

世界を覆うほどの行使をすれば

世界のバランスが崩壊し・・・最悪は

永遠の停止があるからです。

試したことはありませんが

それをやるとしたら最後の手段ですよ」


世界バランスが崩壊、永遠の停止この

どちらか同時に起きることなのか。

ちがう、フタリの言う通りデメリットが

あまりにも大きいのは伝わった。

俺がするべきなのは、この

惨劇を解決に模索するべきだ。

悩み思考を巡らしているとフェアリーは

敵の指揮官に向けて訊く。


「敵さん。わたし逹の伊達・・・ご主人に

手を出したら人質を処刑されて

ここにいる勇者も呪いで絶命させること

で当たっている?」

「フム、応える義理はないが、そうである。

世界王と名乗る愚か者は、そこで静かにしてもらう。決して・・・なぁ」


相手は嘲笑など向けず厳粛な表情で淡々と

した声音で返事をする。

エデン教会に一任を任された人だから

煽ったり身勝手な言動をすると考えていたが

もしかしたら、指揮官は俺達に向ける

異世界勇者に奴隷のような扱いでは

なかった。・・・いや、考えすぎかも

しれない。簡単に情に流されては

いけないと気持ちを引き締めないと。

なによりフェアリーが確認する必要性が

よく分からなかった。僕が記憶力がないから

わざわざ確認してくれた可能性もなきはないけど、そうだとしたら悲しい・・・


「うわぁー、また何か勘違いしているよ

伊達なのに伊達じゃない伊達の兄さん」

「フェアリーが辛辣な事を言ったことに

あえて触れないことにして、

ティファニーを助けたいのはある・・・

だけど、そのために他の人逹に犠牲

なんてしてほしくない。

だから、二人とも・・・頼む!力を――」

「了解です。あの指揮官は感情的に

判断するような人柄ではなさそうです。

ですから、わたしにシゲザネのスキルを

使用許可を承諾を求めますです!」


青の妖精、フタリが珍しく熱くなった

表情に言葉には高揚感を感じさせる。


「フフ、もちろんこのフェアリー様も

やってやりますぜ、ダンナ!」


愉快な言葉と笑み。しかし強い目的に

義憤ぎふんを燃やす雰囲気があった。

こんな漠然としている言葉なのに

どうしてこうも頼もしく思えるのだろう。

そんな二人に俺の言うべきことは一つ。


「スキルの使用を快諾する。フェアリーと

フタリ他力本願で悪いけど・・・・・」

「合点の――」「承知・・・です!」

「!・・・はは、ああ。任せたよ」


古い返事をされなんだか乾いた笑みをこぼしてしまう。こう心を落ち着かせて

暴走を敢行をしないですむ。フェアリーは

何故か勇者が戦う方角とは違う敵の指揮官を

通り越し傾斜けいしゃに進んでいく。


「でも、わたしは逃走するけどね♪」

「・・・・・・・・・え?」「ハァー、」


まさかのフェアリー逃走。これなに?

理解が出来ずその場で固まる俺。

同じく理解できないと表情するのは

敵の指揮官とその護衛などもそうであった。

フタリは、ため息だけでなにか理解しているようだ。


「シゲザネ・・・その、フェアリーは

戻さないであのままにしてほしいです。

説明は今は出来ないですが、わたしを

信じてほしいです」

「えっ、あ、ああフタリがそう言うなら」


正直に言えば驚いている。フェアリーは

飄々ひょうひょうとしているが

誠実なところがある。フタリは

知的で落ち着いた言動からして、

理詰めだと思っていたけど、感情的で

静かに闘志を燃やすタイプ。

フェアリーが逃げて、厳しいフタリが

擁護するような言葉に戸惑っているが

任せると決めて、信じている心から二人に。

それを言葉にすると薄れるだろう。


「ありがとうですシゲザネ。

わたしはティファニーの元へ

行きます・・・吉報を楽しみに

お待ちにです!」

「ああ、わかったよ」


フタリは自分の判断で動く。そのフタリに

フェアリーの分も含めて、ただ短く

笑顔で応えるのだった。

二人の妖精がこの戦いの要となると

考えていないのか、敵の指揮官は愚かな

選択をと言わんばかりな顔をしていた。

今を思い知ることになるだろう、あの二人が

どれだけ、スゴく頼れて有望なのかを!



「い、痛いよーー!!?」

「もう・・・終わりなのよ。わたし達は

所詮は奴隷なる運命だったのよ」


ティファニーは、シゲザネがイメージで

作った中途半端なプラハ城の一階に

治療される者や絶望する者になにか

わたしにできることはと、考えていた。


(シゲザネは、きっと今でも戦っている。

わたしができることは・・・)

「大丈夫だよ。だから

元気をだして・・・ねぇ」


頭を抱え座り込む異世界に呼ばれた一人に

駆け足で急ぎ、同じ視線に屈んで優しく

声を掛けて元気づけることと

ティファニーはそう判断したのだった。


「え?あ、あなたはたしか・・・」

「わたしは、ティファニー。

今は苦しいけど、しっかりと

ここで休んで、良くなったら応援とか

しようね」


剣を握り戦わずとも、補給、治療、激励など後方で出来ることはあるから、

戦うのが怖いなら一緒に手伝おうと伝えようとするが、うまく自分の言葉を

伝えれないことに

もどかしく感じるティファニー。


「・・・あ、ありがとう。なんだか

元気になってきた」

「うん!ツライだろうけど、わたし達が

いるから元気にだよ!」


弱っている人にティファニーは頭をなでる。

こうすれば、元気になれると

スゴく懐いている桃色の妖精のフェアリーに頭をなでなですると喜ぶので

少しでも元気にとなでるのだが、

なでられた少年は完全に恋に落ちた表情を

浮かべていた。ティファニーはその

表情に驚いていると、勘違いする。

こういうときのティファニーはシゲザネの

ような検討違いな考えと、相手を

惚れるような言動を自覚なくする。


「・・・何て言いますか、シゲザネと

似ていますですねティファニーさん」

「えっ、フ、フタリ!?どうしたの」


声がして振り返れば、フタリが飽きれ顔で

ティファニーの一部始終を見ていた。

急いで来れば、天使の微笑みで相手を

元気づけることはいい、しかし惚れさせて

どうすると思うフタリ。立ち上がり

フタリを両手の掌に広げそこにフタリは

着地する。


「なんて、言いますか今はわたし一人だけで、シゲザネとフェアリーは奮戦していますです。・・・・・奮戦はしてません

けどです」


最後の呟きはティファニーに

聞こえなかった。フタリも聞こえないぐらいに極力小声にした。


「頑張っているんだね二人とも・・・

フタリはどうしてここに?」

「えぇーと・・・か、加勢に来たのです!

万夫不当ばんぷふとうなシゲザネ

一人で充分でしたので、サポートに徹する

フェアリーに任せ、わたしが来たわけ

なのです!」


胸をあて、力強く説明を演じるフタリ。


「へぇー、そうなんだ。ありがとうね

フタリ来てくれて嬉しいよ」

「くっ!・・・な、なかなかの

微笑みですね・・・・・です。

わたしの妹を籠絡ろうらくさせる

だけありますです」

「ロウ・・・ラク?」

「テ、ティファニーが知るにはまだ

早いです!?」


嘘偽りのない、性根からの感謝と笑顔を

最高レベルで向けられ危うく

さきの少年のように惚れた犠牲者へと

なるところだったですと、恐ろしく思うのはフタリ。さすがに籠絡というのは

違うと分かっていながらもついこぼれる。

ちなみに意味は言いくるめ思った通りに

操る。ティファニーには無縁すぎる言葉。


「籠絡・・・ちがう!女神様にそんな

邪な心があるわけがなかろう!!」


励まされた少年が立ち上がりフタリの

暴言に怒る。


「女神様って・・・どうしてこう

変な人が多いのですかです」

「う、ううん。わたしは女神様じゃないよ」


困った笑みでティファニーは、やんわりと

違うと応えるが・・・


「そんなわけありません!きっと

この異世界が美少女を女神へとさせたのです。そうにちがいない、いや、

間違いない!」

「え、えーと・・・・・」

「落ち着くです。変態さん、引かれて

いますですよ」

「ハッ!?し、しまった!!」


少しツッコんだだけなのにここまで

うるさく返すとは驚くフタリ。


「バカにもあるです。・・・これが

終わったらいくらでも、ティファニーと

話をしていいから、そろそろ

他の人と交代しないと厳しいですよ」

「そ、そうだな!青き妖精。その約束、

絶対に頼みましたよ」


また、変な人に知られてため息をこぼれる。

もう少し、シゲザネのような普通の

人がいないのですかと、嘆くフタリ。

それに約束されたので、考察しないと。


「なるほど、貴様がティファニーか」


突然の背後から冷淡な声。

二人は謎の声に振り返れば、黒いローブを

した人が立っていた。

フードを目深にしていて、表情や性別さえも

判別できない。しかしフタリは闖入者ちんにゅうしゃで、エデン教会の刺客だと

すぐに気づく。刺客は短剣でティファニーを

深々と突き刺し――


「そんなことさせないです!」

「ぐっ!」


フタリは咄嗟にティファニーを襲う短剣を

防御初級魔法の透明な円が現れ防ぐ。


「凍てつくつち、アイスメイス!」


妨げられた相手は驚きの一瞬をつき

早口で詠唱をするフタリ。そして、氷の

鎚がフタリの眼前に瞬時に生成し相手の

頭を狙い放つ。見事に命中する。


「うっ・・・・」

「フタリその・・・この人は?」

「心配無用です、生きていますよ

ティファニーさん彼は・・・

それにしもです。暗殺者が入ってきた

なんて・・・」

「うん、そうだね。フタリが無事で

よかったよ」


狙ったのはティファニーなのにそこで

安心するのは違うと思うけどそれが

ティファニーと諦めるフタリ。


「だ、大丈夫ですか?」

「たしかあなたは・・・夏目でしたね。」


異変を気づき駆けつけるは、武装した

夏目広次。しかし冒険者初心者が一目で

わかる頼りのないと思うフタリ。


「は、はい・・・」

「な、なんですかです!わたしをまじまじ

と見て礼節が欠如しているのですよ!」

「わあぁ、ご、ごめん・・・その

可愛かったから」

「・・・か、かわいい・・・・・です?」

「う、うん。妖精が好きじゃなかった

けど、こう本物を目にすると感慨深くって」


恥ずかしそうに頭を掻きながら答える。

なんだか、この人もラノベ的なモテ力を

感じますですと危険視するフタリ。


「そうだよね。フタリはわたしの自慢の

子供だから!」

「ここ、こ、子供だったのですか!?」

「違いますです。誤解を広げるのは

これぐらいにするのです二人とも。

それが、どれだけの被害をもたらすのか自覚するべきですよ・・・ハァー」

「えへへ、ごめんね」

「えっ俺もなの?」


なにか言いたそうな夏目ですが、

ほぼ主犯になりそうな気がするのです。

悲壮な状況で、このぬるめのやりとりに

どうしてなってしまったのか考えを巡らすが放棄!諦観の念フタリ。

しかし、そうは問屋とんやおろさない。


「城内にいる早く逃げろ!

勇者が何人か来るぞ!!」

「「なっ!?」」


フタリはまさか、夏目とハモることに軽い

ショックを受けると同時に

ティファニーと他の人達をどうするかと

策を巡らそうとする。

敵に戦いを強いられている勇者の進入。

ここにいるのは、怪我人とレベルが著しく

低い者や戦いをやめた人だけ。

苦渋の選択を覚悟する必要が迫っていると

感じそのときは、非情な選択を

しなければいけない。ティファニーを救うために夏目や他の人を犠牲を。

フタリはシゲザネやフェアリーのように

他の人の生存には強い気持ちは

持っていない。


「・・・その選択すれば、悲しむのです。

そして、わたしがここに来たのはこのため

ですね」

「フタリ?」


疑問の声はティファニー。フタリは

なんだか言って思っても見捨てることが

好ましくない。シゲザネの記憶や想いなど

生まれた彼女はその選択はしたくない。


「わたしが、戦いますので

ティファニーは頑張って自分の身を

守ってください」


戦いはさらに苛烈へとなっていく。

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