レベル32 ブレイブウォー

新たる新天地となった場所に謎の集団が

登ってきた。ただの登山目的ならこんな

武装や人数はおかしい・・・そう考え

相手の目前に現れた僕はなにが目的なのか

尋ねてみるが、一切、手を出すなである。

さらに侵攻する意味もよくわからない。

理解させる配慮のない言葉に

どう話せばいいか悩んでいると

狂言を吐いた人は腕を仰々しく広げる。


「エデン教会の教皇を否定した暴君たる

世界王を討伐の軍を出した!

貴様が抵抗すれば我が伝令兵がエデン教会に報せ確保されている異世界勇者を

処刑しなければいけない」

「なっ!?・・・それを信じると思うのか。

呪いは全て解いたはずなの知らないのか!」


エデン教会の呪いに縛られていたが

世界に拡散のディスペルを使用したことに

より異世界に召喚、転生とされた人達は

呪いは解かれ、自由の身となった。

次に城に転移したわけで今日が全てと夏目は

言っていたがまだ残っている可能性も

なくはない。僕の千里眼は名前などの

システムに入力しなければ発動しない。

他の勇者達が知らない名前の人も入れば

本当に捕らえているだろう。

相手はデマカセを吹かせているだけ

かもしれないが・・・確証がなく

まずは否定的な返し方をして

様子を窺うことにした。相手は頬を歪める。


「くく、本当ですよ。

残念ながらそれを見せることが

できませんが、世界王は知らない。

秘密裏に新たなる異世界召喚に転生した。

そして、その背後に立っているのが・・・」


嘲笑を浮かべる男の後ろには暗い表情と

救いの求めの様々な瞳をしている

武装している人達。とても戦意など無かったことに僕はある考えがよぎり悪寒が走る。


「も、もしかして・・・・・」

「ご察しの通り、彼ら彼女らは異世界勇者

ですよ。これで少しは信じてくれたなら

助かりますが」


僕の反応に楽しいのか理解できないが

愉悦ゆえつの表情を浮かべる指揮官。


みにくいにもほどがあるよ!

どうして、こんな平然とできるのよ」

「激しく同意です。エデン教会のトップには異世界人にたいする倫理がありませんです」


肩に乗るフェアリーとフタリは非難するが

男はどこ吹く風。片手をゆっくりと上げ、

そして、真ん中に降り下ろす。


「命令だ勇者ども、この世界王と名乗る

愚者に全力で攻撃を仕掛けよ!」

「・・・ごめん」「すみません・・・」


謝罪の短い言葉を言って剣や槍、弓、魔法を

雨霰あめあられへと襲い掛かる。

僕はその攻撃に対してフェアリーとフタリに

光魔法の最上級で不可視の障壁を作り

二人の妖精の安全を確保して

僕は腕をクロスにしてガードの構えのみ。

敵の複数の魔法攻撃を受ける。炎が爆発音と

炎が包み服など燃える

刃の風が幾千と飛び命中し僅かな面積が

残る服など裂かれかすり傷はひとつもなく

次に弓が飛び体を命中するとはじき、

剣や槍などの接近戦の得物を持つ相手が

研鑽けんさんされた技術で

攻撃してくる。まえの魔法一斉攻撃で

ダメージと視界を覆うように舞う煙を

向かって矢を放ち収まると、剣などの接近

戦で倒していく連携。

はっきり言って一人の相手に過剰なほどの

波状攻撃はじょうこうげきに僕は

予想外の窮地きゅうちに頬から汗が

流れているのを感じながらも対策を考える。

剣や槍、斧などの連携の取れた攻撃が続き

包んでいた煙が晴れていく。

し、しまった!?まだなにもして

いないのに。現実は無情だった。

言いなりになっている異世界勇者は

僕の姿に目を見開き、敵の指揮官も瞠目。


「伊達、わたし妖精に守ってくれたのは

感謝するけど・・・」

「これは・・・悲惨としか言えないです」


僕の姿は一糸纏わぬ姿つまり

完全な全裸である。


「「キャャーー!?」」


エデン教会の非道なる策謀により実行されなければいけなくなった異世界勇者の女の子の

悲鳴が響く。暗い悲愴感が漂う戦場は

一瞬で別の意味でピンチとなる。

顔を覆い隠す一部の女の子が、指と指の

間にまじまじと見る人もいる。

ラノベやマンガなどの裸を見られた恥ずかしさが今になってスゴく理解したよ。

どうでもいい謎が一つ解けたことに泣きたい

気持ちで身を隠す。

敵の指揮官は、茫然となる。

異世界勇者の男子達は憐憫れんびん

眼差しを向けてくる。桃色の妖精フェアリー

このカオスにため息をする。


「ハァー、これは・・・フタリが闇落ちした

ダークフタリよりもびっくりしたよ。

露出狂ろしゅつきょうの伊達」

「露出狂じゃないから!?レベルが高いし

耐えれると油断してこんな結果に・・・」

「なんとなく原因は分かりますです。

本体は無事でも衣装まではレベルに反映されませんです。つまりは・・・衣装の防御が

低かったですよ」


フタリの簡潔な説明に周囲の人達は

納得する。あれ?シリアスな展開は

終わったの?


「援護に・・・来・・て・・・・・」

「・・・来てみたら、なにこれ!?」

「さ、さあ?」


解放された勇者の何人かがわるい

タイミングで追いつき

この謎の状況に首を傾げる。もし、

ティファニーまでも現れたらおしまいだ。

ゆっくり、ゆっくりと後ろへ視線を向けると

ティファニーはいなかった・・・よかった。

しかしこの絶望な状況を打開せんと

頼れる妖精に訊くことにした。


「フェアリーとフタリ・・・どうにかして

ください!?」

「ティファニーがいないのが残念だけど

どんな衣装にするフタリ?」

折角せっかくですし、カッコイイの作りましょうです!例えば赤で統一した

衣装はです?」


あれ?ダメ元で訊いてみたが解決方法はあるようだ。できるならなんでもいい!

早くこの羞恥から脱出したい。


「う~ん、それはどうだろう。

どうせならピンク色とかでどう?」

「ですが、その色は余計に難しいです。

シゲザネがお似合いだと思いますかです?」

「あー・・・だね。似合わないよね」

「なのです。似合わないです」


まさかここで真剣に衣装を考え始めると

困るのだけど・・・。


「二人ともなんでもいいから早くしてー!」


僕の叫びに二人は口論をやめた。最近この

二人は僕に対して遠慮がなくなって

来たなぁと思っているとフェアリーが翅を

動かし、なにか提案を思い付いただろうか。


「じゃあもう、伊達が決めたら」

「き、決めるって?」

「どんな衣装にするかよ。いつものごとく

スキルの使用許可を許してくれたら

後の細かいことはわたしとフタリが

するから」

「わ、わかった。頼む、お願い!」

「ププ、必死すぎ!」


ぐっ!フェアリーも同じ状況になれば

理解できると思う絶対。すごく苛立つが

我慢しようフェアリーのやることだし。

フタリは淡々と例の最新技術を総結集した

正方形とコントロールとなる球体を操作を

はじめる。やはりフタリはできる子だ!

フェアリーもフタリの素早い行動に気づき

口をあんぐりとなる。


「フェアリーがからかいに興じている間に

準備は終わりましたですよです」

「「おぉー!」」

「・・・今、緊張をはらむって

意識していますかです?シゲザネは

どんな格好か色を具体的にイメージを

うるさい妹は静かにしてです」

「了解」

「誰が妹よ!わたしが先に生まれたのよ」

「フッ、古い考えですね」


二人のケンカする中での衣装を

イメージする。黒で一色に考えたがさすがに

やめて別の色を考えたらこの色と決める。


「イメージが固まったら言ってください

です」

「それならもう終わったよ」

「畏まりましたです・・・・・もう

終わったですよです」


イメージに集中の閉じたまぶたを開き

視線を下に向けると想像した衣装と

なっていた。ピンクのシャツと羽織っている

のはコバルトブルーのロングコート。

ボトムスは、黒のスラックス。

異世界要素がほとんど皆無の衣装。


「ほ、本当に出来た・・・」

「感動しているようだけど、どうしてこの

衣装なの伊達?」

「わたしも気になるですシゲザネ」

「これは・・・僕とフェアリー、フタリの

イメージカラーなんだ」

「イメージカラーねぇ・・・」

「イメージカラーですかです?」


フェアリーは、腕を組みフタリは操作していた透明の正方形を霧散し首を傾げる。

この衣装に決定したのはフェアリーとフタリがいてくれて相棒の二人のイメージも

加えたかたから。うまく伝わるかな?


「このピンクのシャツはフェアリーで

ロングコートはフタリのカラーなんだ。

そして、スラックスが僕のカラー・・・

になるかな?説明すると恥ずかしいけど」

「ほ、本当に恥ずかしいよ!こういう

イメージカラーはティファニーでしょう!」

「こ、これは・・・嬉しいです。けど、

今は感動するのは後にするべきです」


左肩に乗るフタリは前へ鋭い視線を向け

そこにいる敵の指揮官を睨む。

相手の表情はまだ余裕綽々でいた。


「面妖な力の一端を見たがまあいい。

理解できたであろう異世界の住人を

勇者はまだいることに」

「・・・・・・」


エデン教会の闇は思たよりも深いようだ。

頻繁にエデン教会へ赴いていたはずだけど

ここまでいたことに驚いた。なるべく

弱味になる表情や態度しないよう

厳とした態度で臨もう。


「ああ、驚いたよ・・・だがそれで

なにが目的かまだ応えてくれていないぞ!」

「言ったはずだ!世界王の討伐・・・

そして、抵抗すれば教会にいる異世界の

住人の命は消える」

「・・・だけど、それで俺が素直に

従うと思っているのか?」


新しくこの世界に呼ばれた人を人質をしたことに憤りがある。しかし人質の意味はないと

言動に選択した。その態度を示すと

相手は不気味に嗤う。


「くくっはは、従うはずだ。お前と戦場に

戦っていた異世界勇者に

吐かせたのだからなぁ!」

「なっ、もしかして・・・」

帳面ちょうめんの記録を確認し、

お前が助けた仲間を見つけるのは大変だったよ。呪いで強制させ全て吐かせそのあと

は、口封じのため始末したのだ!」


一昨日や最近の亡くなっていた勇者の死因は

そうだったのか・・・。一部は違うのも

いたから、似たような理由だと思っていた。

まさか、そんな手段を取るなんて思わなかった・・・昼夜問わず、救出をしていたのに

どうして気付けなかったのだ。


「最初の世界王の討伐失敗した・・・

作戦は変更する。赤髪の少女ティファニー

を捕縛せよ!これは命令である」

「そ、そんな理不尽が許せると――」

「落ち着きなさい伊達!ここで怒り任せに

したら後悔するわよ」


フェアリーの言う通りだ。怒り心頭に発する

寸前で静止の声がなければ大変な事に

なるところだった。だけど・・・


「このまま静観する選択もない・・・

詰まれていますです」

「・・・・・・」

「なら、俺達に任せろ!」


ティファニーを救い、知らない異世界勇者を

捨てるか悩んでいると後ろから勇ましい

声に振り返ると僕達が救った元勇者の人達。


「手を出すなと言ったのは伊達だけだろ。

なら俺らが抵抗する」

「そうよね。ここでティファニーちゃんを

救えば・・・グフフ」

「本音が漏れているぞ。そう言うわけだ」

「・・・みんな」


温かい言葉に僕は涙腺が危うくなるが

涙を流されずに一人一人と視線を巡らす。

みんな心強い笑みと強い闘志を感じさせる。


「・・・わかった。任せるよ」


それが、元勇者とエデン教会の勇者の

戦いになると分かっていながら

僕はそのひどく無責任な言葉しか

言えなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る