レベル 30 暗殺者の生業を与えられた人生

「教皇様、任務にあてさせた各地の

暗殺部隊と諜報部隊を精鋭のみ編制させた

混合部隊を用意したしました。」


実用性向きに特化した黒のロープ姿を着る

青年はひざまずき淡々と報告する。

青年の名はマーシャル。

エデン教会の闇の部隊を取り仕切る。

異世界転生シゲザネを部下を使い教皇の元に

連れてきた。マーシャルは、シゲザネを

ただの一介の偽り勇者として招かれたと

認識していたが、シゲザネはエデン教会の

重要人物の脅威となった。

マーシャルの前に立つのは教皇

グランド・プリンシプル。

新聖教の教えを説き聖人として大半の人々は

尊敬の念を集める存在。

長く整った白いヒゲは膝を届く寸前まで

伸ばされている。


「ご苦労マーシャルよ。その行いに神も

祝福なされるだろう・・・。

よもや、使役されるはずだった異世界の者が

世界王として降臨したが、必ずめっ

せねばならない・・・そのために

この世界の秩序と人々を導かなければ

ならない!そのためにマーシャル、

正義の戦いに勝利せねばならない」

「は!命を燃やす覚悟はすでにこの

教会に拾われてからすでに誓っています」


マーシャルは、物心つく前に両親は死亡していた。そして前の名前――本来の名は

知らない。マーシャルは教会につけてもらった仮の名である。

二人がいるのは、辺鄙へんぴな田舎で

数十年前に廃墟となったエデン教会。

そのため、ほこりや軋む音が

響いて来る人などもちろんいない。

しかし、他言無用の場所としてはこれ以上は

ないだろう。今ここにいるのは

教皇とマーシャルのみで、いつ世界王が

耳に入るか危惧きぐし最も信頼に

置けるマーシャル一人に目的を伝えた。

世界王の討伐、世界の均衡きんこう

発展のため倒さなければいけないと

二人は使命感に奔走していた。


「教会の忠義にこの教皇、誇らしく思う。

最強の勇者らとご助力もあるとはいえ

聖剣と魔剣を融合させた存在に・・・

まだ打つ手があればこの教皇に伝えよ。

可能な限り叶えるぞ」

「教皇様・・・最善を尽くします」


マーシャルは、教皇の信頼にこの上なく

誇らしく思っていた。若くして

人を暗殺して魔王の領土に魔族を装い

潜入し布陣や出撃する部隊などの情報を

入手していた。

暗く決して表にでない功績で歴史に残る

こともなく、ただエデン教会に暗躍する

凄腕の者がいたとその一言ぐらいしか

後世こうせいの人に知るぐらいと

考えていたマーシャル。

19才の彼は人生に諦観ていかんしていた。しかし、世界の危機に陥り

表舞台に出られることに脚光きゃっこうを浴びれること高揚感こうようかんが何年ぶりかに起きていたことに

気づくと不謹慎だと理解していても

口角を上げてついほおを緩めた。


(もし、ここが教皇の御前であれば

失礼極まりなかったなぁ)


マーシャルは、教会から出て森林に木の

丈夫じょうぶで太い枝を蹴り

次の枝にまたは、幹を蹴りある目的に

向かっている途中であった。

マーシャルの普段の移動は足で駆けること。

馬車などには一度も利用したことない

彼は逆にどうして手綱を知らない人を

握っているのを乗るメリットがわからない。


「それとは別にシゲザネ・・・

必ず俺が仕留めてやる」


エデン教会に堂々と目立つようなことして

暗殺をこうもあっけなく失敗されたのは

なかった。恐怖と憎悪という負の私情に

あるマーシャル。

うごめく思惑と計画は確実に

シゲザネに絶望を与えようとする。

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