レベル23 始めるのは夢想していたヒーロー像を

ティファニーを助けることができた。

なら、次に僕がするべきことは――


「ティファニー、フタリ・・・その

身勝手なことを言うけど

僕は僕と同じ境遇の仲間を助けたいと

思っている」


僕の言葉に青の妖精フタリは頷き。

ルビーよりも綺麗な赤い髪のティファニーは

疑問符を浮かべるような表情する。

微笑で傾くティファニーの顔をフタリは

見た。視線を再び僕に向ける。


「ご主人様と呼ぶのは終わりするです。

シゲザネ忘れていませんか?

ティファニーさんは、シゲザネが

別の世界に転生された事を知らないのです」


たしかに何度も話そうとして延ばしてきた

大事な事で言えなかった過去。

フタリは語るべきだと示唆にそろそろ

僕も家族や学校の事など仔細しさい

るべきだろう。・・・だけどそれは――


「いや、語るべきなのはこんな場所とか

じゃなくて、ちゃんとした場所とか・・・

それに優先するのは・・・・・」


喉から出そうで上手く言語化にできない。

俺のために力を願いを託された元の世界から

ここ異世界に呼ばれた人のために

奴隷となった勇者を助けるためあの協会に

呪いを解かせるのが僕の役目だから。


「あの教会におぞましい悪行を終止符を打つために行くのですね」


「ああ、だからティファニー・・・

僕が隠していた大事な話を片付けたら

ゆっくり話すよ」

「シゲザネ・・・うん、待ってるよ。

わたしも言っていない過去とか・・・

返事もしていないから」


返事ってなんだろうと思案していたら

思い出した、思い出してしまった。

告白を遮二無二しゃにむに

感情が奔流となって抱いた想いを

吐き出したことに。


「「・・・・・・」」

「二人ともが持てないにもあるです!

シゲザネの記憶から言わせてもらうと

リア充爆発案件です」


羞恥に耐えているとフタリが嘆息して

僕がいた世界のギャグとしてよく使っている

主にアニメなどキャラがセリフを言うアレ。

賢いフタリが言うと違和感がけっこうある。


「でも、その前にティファニーを安全な

場所に移さないと不安で仕方ない!」


いざ、出陣。と勇ましく行くつもりだったけどまた、魔王や勇者など襲撃の懸念がある。


「ですね。でしたらここで絶対的な

防壁なんかを作っては?」

「防壁を作る?」


フタリの言葉に俺は疑問を呟くと、フタリは

頷き説明が始まる。フタリが言うには

スキル[想像自動構築]で

イメージを創造する。僕のスキル、魔法を

超高速で演算スキルを発動していき

望んだイメージを顕現けんげんさせる

らしいのだ。


「ふ、二人が難しい話でついてこれ

ない・・・!?」


僕の背後に聞いていたティファニーが

理解の外の会話の展開に絶叫する。


「あー、気にしないでティファニー。

僕の・・・ごめん説明ができない」


適切な言葉が出てこない。

みんなの力とか、チートなんて通じないだろう。それも含めて後でよく話をしよう。


「そう・・・邪魔してごめんね。

わたしのことを気にしないで話の続きを

してシゲザネ」

「ああ、うん。・・・わかった」

「話がなかなか進まないです。

明日には会えるとかそんな時間じゃないのですよ二人とも、刹那せつなの時間さえ我慢できないのですか?」


嘆息するフタリは小言を言われ

苦情を浮かべるしかなく恥ずかしくなる。

さて、閑話休題。


「それじゃあ、僕がティファニーを守れる

ような物を作ればいいんだね」


指サイズの青の妖精は首を縦に振る。


「はい、安全な場所を移動するよりも

最善だとわたしは思うです。

シゲザネがイメージする堅固な建物で

熊本城くまもとじょう小田原城おだわらじょう、城塞都市カルカソンヌ、キャメロット城などです!」


えっ!そんな有名なお城もできるのか。

唐突にそう説明されても、半信半疑で

頭にすぐに浮かんだお城を強く形や色など

イメージ・・・ここ山頂で、広大な場所に

掌を向け現れろと念を放つ。

イメージをわるい言い方すれば、

妄想をしたわけだけど、

言われた通り実行したが、これ恥ずかしく

ないだろうか・・・掌をゆっくり下ろす。


「あ、あれ?」


掌に向けた5メートルに物がなんの前触れも

なく現れる。それが次から次へと現れ

形作っていく。そして、その形は――


「なんか想像したのと違う!?」


世界最古にして最高のお城のプラハ城の

壮麗で歴史を感じさせる伝説的が・・・

小さくなっている!

通常の半分ぐらいになっていて、それに

形など細かい所が違う。


「仕方ないです。実物や写真なしで記憶のみ

完全に再現なんてできませんからです。

でも、大きいです。記憶で知っていますけど初めてこの目にすると大きいです」


確かに創造したプラハ城を本物の規模など

写真のように比較できないくらい同じに

イメージはできない。僕も記憶力やイメージ

なら自信があったけど、現実は世知辛い。


「わあー、大きい、美しい!!」


ティファニーが少し失敗したプラハ城の

大手門の前に走り仰ぐ。

確かにプラハ城の半分にしたサイズだけど

大きいのは変わりない。

一体これは、なにで出来ているのかどうやって現れたのか疑問を抱く。ティファニーが

初めて見る城に目を輝かせるのを

見ながらフタリに問うことにした。


「フタリ、この城だけどどうやって?」


尋ねられたフタリは四角形の画面を

出現させた。


「待ってください、今、調べるです・・・

最上級土魔法の連続発動とテレポートなど数えきれない魔法とスキルを知らない内に

連続使用をしているようですね」

「へぇー、そうか。ありがとうフタリ」


これを成せたのは数多のスキルやイメージも

あったけど、そのいくつかを発動の手間や計算など煩鎖はんさを省けさせてくれた

[創造自動構築]だろう。新しい知識では

使う機会がない地味なスキルだと

考えていたけど、想像以上かもしれない。

最初に顕現した妖精のフェアリーが眠る前に

固有スキルだって言っていたけど

レベル13万の恩恵とかかな?

フタリに尋ねようと考えたが

後回しにしよう。


「フタリこれで、大丈夫だと思うかな?」

「う~ん、見ただけではなんともです。

中を見て確認しないと理解できません

です。」

「わかった」


フタリの言葉に従い不完全のプラハ城の

入口まで歩を進める。


「シゲザネわるいのですけど、急いで

くださいです。そろそろわたしの活動時間が

限界に達しようとしているです」

「えっ?ああ、わかった!」


実用性があるのか確認する前に消えてしまつたら、困る。走って入口の門を開きくぐる。


「フタリ頼む!」

「はい、お任せくださいです」


青い妖精は、壁を小さな手で触れ宝石のような色をした目を閉じ調べ始めたようだ。


「どうしたの?」


振り返ると急いで門をくぐった僕に

心配そうに隣に駆け寄り尋ねる

ティファニー。


「いや、対したことじゃないよ。

フタリが消える前に強度など確認して

もらっているから」


もし、消えた次に現れるまではどれぐらいの

時間が必要か知らない。

でも、そうは長くならないとフェアリーの

言動でも窺える。


「・・・フタリが消えるの?」


フタリが消えることに悲痛に、

目を潤ませるティファニー。


「ち、違った。えーと、消えると言っても

眠るだけで亡くなるとかそういうわけ

じゃないんだよ」


自分の言葉足らずにティファニーを一瞬だけ

悲痛にさせたことに僕は罪悪感に苛む。


「そう、なんだ・・・よかった」


ティファニーは、自分の胸を腕に触れ安堵の息つく姿に内心、僕も安堵した。


「ごめん。言葉足らずで、そのフタリ以外

フェアリーがいて、桃色した長い髪をした

・・・えーと、間際らしいけどフェアリー

が名前の妖精なんだ」

「え?フタリ以外にも妖精がいるの!?」


ティファニーは、もう一人の妖精に目を

キラキラさせる。次の言葉を一門一句、

逃したりしないと気迫を感じ苦笑が

自然と出てしまう。


「そ、そうなんだけど元気すぎるというのか、辛辣しんらつな妖精だけど、

心の内は優しいんだ」


おそらく本人が目の前にいたら、怒るか

照れるだろうか。そう考えていたら

フェアリー、フタリを会わせるのが

楽しみで仲間がいると喜ぶだろうか。


「分析完了です」


フタリが壁の分析を終えたようだ。

具体的にどんな分析をしたのか僕には

知らないが、これで理解できることだろう。

僕はこの異世界には疎く、

転生したこのレベルが限界突破した

レベルでの流れるスキルや技など

取説だけじゃない分からない事が多い。


「改良は必要のようですけど、

及第点きゅうだいてんです。空いていないか確認はしましたので後はこの入口の門を施錠をすれば

侵入者を阻む城壁になるでしょうです」 


分析結果は、改良は必要だけど、

役割はできることだった。つまりまだ、

難攻不落とかまでは、言及していない。


「これで守れるのかなフタリ?」


フタリは右手を壁に当てて宣言。


「はいです。自信は持ってくださいです。

シゲザネのような人外の先の境地にいる

ような者じゃなければです!」

「そうか・・・確認だけどこの門を

施錠をすれば、勝手に侵入者はできないのと窓とか入ってこないかな?」


ドアが頑丈でも窓などで新入される可能性

がある。細かいが、ティファニーは

大事な人だからここまで細かく質問を

せねばならない。フタリは煩わしいだろうけど、やってほしいのだ。


「それは、杞憂きゆうですね。

完全に門などあらゆる施錠をすれば、

世界の法則が働きかけ、ここは一種の神というシステムが守られる聖域となったの

ですが、耐久値はありますので油断は禁物なのです!」


まさか、そんな説明されるとは思わず

声に出して笑う。


「えーと・・・システム?」


ティファニーにはシステムとか異世界に

無縁そうな単語だから理解できなくて

当然なのにそう申し訳なさそうに

しなくても。


「・・・すみませんが、ティファニーさん。

大事な話なのでお静かにお願いです」

「そうだよね・・・うん。ごめんね」


個人的に言うと遠慮なく喋ってほしいのが

本音だけど、フタリ顕現時間が迫っている。


「シゲザネ話は理解しましたか?」

「ああ、なんとか。全ての窓とか外に

出入りするのを鍵を掛ける発動する。

そうすると、何らか中から解除とかしない

限り入れないでいいかな?」


僕もフタリの言葉をなんとなくしか理解

していない。いくつか、解釈が浮かんで

ゲーム的に考えたらこうではないか

そう思って言ったけど、フタリが呆然と

なっている。はい、間違えたみたいだね。


「はいです。的中です。いくつか、質問が

くると思っていたのですけど・・・

理解が早くて助かるです。

解除の仔細しさいは今回は省きますので、簡単な説明するです。

基本的にはどれか一つでも開ければ

解除・・・全て施錠が条件ですからです。

もうひとつは―――」

「強行突破・・・つまり破壊」

「はいです。」


フタリが肯定する。破壊・・・単純明快に

阻む城壁を破壊された場合、闖入者ちんにゅうしゃが、入ってくる。

そうなった場合どうすればいいだろうか。

突然、不安感が襲われティファニーを

目を横に動かしたチラッと見ると、

嬉しそうなのが隠そうとせず満面な笑みで

話を聞いて待っていた。

(えーと?)

少し尋ねるかよぎるが制止する。後で

訊いたらいい、覚えていたらだけど。

視線をフタリ戻し、話を少し飛躍に進ませるようと僕はする。


「わかったよ。単刀直入に訊くけど

魔王軍や勇者らの襲撃を考慮して

安全性はどれくらいなんだ?」


アゴに手を触れ説明など考えているのだろうか、少しの沈黙が流れる。


「非常に高いと言えますですね」


アゴに手を触れていた解くとその手を

円を回るように説明。


「高い・・・そうか」


よし、とりあえずティファニーの危機は

かなり低いことであるようだ。

それでも、低い可能性も含まれているのが

不安感は完全に拭えないけど

前の状況よりも良くなっていると思えば。


「もう・・・限界が近いです・・・ふぁ~

・・・最後にティファニーさんは見つけるのが困難な部屋にです。あと、スキルの

借りてもいいです・・・」


目を開いたり閉じたり繰り返しているフタリにスキルの借りていいか訊かれる。

迷っていると睡眠に入られる前に渡す。


「もちろん!」

「・・・それでは・・・拝借・・・・・

返しましたです、ふわあ~・・・仮に

壊れたらアラームがなるようにしたです」


アラーム一体どこに鳴るのだろうか?


「シゲザネの脳内で響きますので・・・

それではお休みです」


そう言うと、青の粒子と下から変えていき

空に流れていく。

鳴るのは脳内からか。眠たかったから、

細かいことは聞けなかったが、

ここまで説明してくれたら、大丈夫だろう。


「フタリは、キレイな星に

なったけど・・・」


見守っていたティファニーがフタリの

粒子となる光景に涙を流しながら僕に

訊いてくる。


「だ、大丈夫だよ。こんな風になるけど

フタリは眠っているだけだから、

安心して大丈夫!」


励まそうと力強く優しく返事する。僕の

言葉に悲しそうだった表情は、ゆっくりと

微笑みに変わっていく涙はまだ、流て

・・・あ、あれ?幻想的で美しすぎる。


「よかった・・・消え方が・・・・・

シゲザネと似ていたから、わたし・・・」

「ティファニー・・・」


そうだった。僕も分からないがこの世界での

死亡すれば粒子となっていく。

僕の死をティファニーは目撃していた。

最近で少し前のことだから、ツラいことを

思い出してしまったと思うと・・・・・


「シゲ・・・ザネどうして?」


目頭が熱くなりそして涙が流れていた。


「ご、ごめん。ティファニーが・・・

苦しんでいたと想ったら・・・うぅ」


情けない。


「・・・・・うん。あの苦しい思い出は

忘れることできない悲しいことだけど、

シゲザネがいる。それだけで

わたしは、嬉しいよ」

「・・・うん、ありがとう・・・」


心が温かくなるのを感じる。ティファニーの

優しさに心の痛みが和らいでいく。

どうして、僕が励まされているのだろう。

本当は励ますつもりが逆になった。

なら、それ以上の気持ちを響いてほしい。


「ティファニーその、君がいてくれたから

僕は心がよみがえられたんだ!

言葉がヘタだから、

これしかなかった・・・大好きだ。

ティファニー世界一で大好きなんだぁぁ!」


そうこの一心だけで、ここに来た。

みんなから転生させてくれた。

ティファニーに告白ができた。

大好きだと何度も言える。

この感情を伝えられるのが幸せだから。


「・・・・・えっ!?そ、その・・・

う、うん。わたしも・・・大好き・・・」

「―――そ、それじゃあ僕は目的を

果たしにいくよ!」

「う、うん。いってらっしゃい!」


手を振ると、ティファニーも手を振って

送り出す。

ティファニーの大好きの言葉に

どうすればいいのか分からなくなるほど

多幸感でいっぱいだった。

僕は反射的に走って目的を向かうため

行ってくると手を振ればティファニーも

表情はいつもの微笑みだったけど、

顔の赤さは今までないほどに赤かった。




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