レベル17 二度目の転生3度目の人生は最初の奇跡

なにも聞こえない、音が消えた。

なにも見えない、闇しか見えない。

そして、なにもなくなった。

僕があるのは、この思考だけ。

ティファニーを守れず手を伸ばすことも

声も姿も2度とみれない。

いえ、それだけならいい。

ティファニーは、残虐に扱われ―――

悲しい。体があったら慟哭していた

のだろうけど、動けない。

動かせるのは考えしかないこの状況がなんなのか分からず恐怖で支配されていた。


『君もここに来たんだね』


誰かの声が聞こえる。聞いたことある

女の子の声だ。これは走馬灯だろうか?


『ううん。ちがうよ、わたしは

ここいにいて、あの時のわたしがいない』


なんだか、優しい声だ。


『そう言ってくれると、嬉しいなぁ』


会話しているなんて僕ってそんなに

想像力があったのか。

もしかして、まだ僕は生きているのか。


『残念だけど、死んでしまったよ・・・』


そう気まずそうにされると、なんだか

罪悪感が感じる。まるで、誰かと喋っているような―――


『だから、わたしと話をしているの!』


彼女は怒っているけど、もしかして

本当に話をしているのか?


『そう言われると、いや違うか。

そう考えは当たっている』

『楽しく話をしている所、わるいけど

ダテシゲザネさん?初めまして』


初めまして・・・あなたは。

第三者の声は二十代半ばの女性の声だ。


『そうそう、わたし25歳。

マナーの残滓になってあなたと

ティファニーちゃんのデートをもどかしい

気持ちで楽しんでいました』


そ、そうですか。・・・元気で遠慮がない

苦手な人だな。


『聞こえているよ』

『おまえ、ティファニーちゃんとデート

なんてして、羨まし過ぎるだろ!』

『俺もあんな美少女と暮らしたかった』


新たに二人の若い男の願望と会話に

入られそう捲し立てられどうすれば――


『み、みんな落ち着いて!

混乱しているよ』

『ごめん、ごめん』

『めんご』

『へっ、わりぃぜ!』


もはや、謝ってない!?そんな親しそうで

愉快な人の笑い声に疎外感を感じる。


『あっ、もちろん伊達くんも慣れると

言いたいところなんだけど・・・』


言葉を濁されると、悪い予感しかしない。

これ以上のことは、ないと思っても。

だが、その予感は違った。


『あなたはここにいるよりも、

ティファニーの元に行くべきなんだって

思うから』


フラッシュバックのようにあの悪逆な

死別を思い出す。勇者と呼ばれる僕達とは

違う存在・・・

そんな分析なんてもう意味がない。

ティファニーは2度と会えな・・・!?


『残念だけど、会えないよ。

ここは、天国とか地獄じゃないと思う。

ここにいるのは、異世界召喚、転生された

わたし達の逝く世界。

おそらくだけど、マナの残滓じゃないか

そう推測した頭のいい人が言っていた』


逝く世界?マナの残滓ざんし

判断するべき思考がバラバラになるような

散乱しているようで整理をするだけで

いっぱい、いっぱいで裏とか真意とか

そこまで巡らせない。


『無理にしなくていいよ。

これだけは、答えてくれたらいいから』


彼女は、名前のどこか懐かしい人は言う。


『この平穏の世界か・・・ティファニーを

救うためにあの絶望が跋扈ばっこ

する世界のどっちがいい?』


その問いに迷いなんてない!僕は、

ティファニーがいる所に行きたい。

あの、絶望でそうでもなかった世界に!


『フフ、そうだったね。あなたには

そこまで完全に絶望したわけじゃ

なかったねぇ・・・その愛をわたしも

したかったなぁ』


寂しそうな声音に望みが混じっていた。

まるで、友達に悩みを語るようなもので

なにを言えばいいか分からない。


『ふーん、癒花ゆかちゃんは

乙女心を吐露するのでした』

『お姉さんやめてください!

そんな解説するの!?』

『はっははは!』『あっはは』


ハハハ。からかう大人の女性とゆかと呼ばれる女の子の会話につい笑ってしまった。


『そこの男子達、静かに

してくれないかな?』

『は、はい!』『かしこま!』


し、静かにいたします。はい。


『話が逸らされたけど・・・会えますよ

ティファニーに。伊達くん』


ティファニーに会える・・・ほ、本当

ですかその話は!?

希望の灯火がつくような蘇るような決意が

戻ってくる。まだ、思考しか動けないが

口がないのに言葉をいや、考えが通じる。

ティファニーに会える話は本当なの

ですか!?出来たら戻してほしい

いますぐに行かないと!


『わかった。急いだ方がいいよね。

・・・みんな覚悟はできた?』

『もちろんよ』

『俺達も』『準備はいいぜ!』


他の三人がそう言うと別の声が聞こえる。

声は近づいているのか、どんどん

内容が分かってくる。


『・・・ため・・・・二人のために!』

『うおぉぉぉーー!任せたぞ少年!』


まだ、声は続き次々と現れまた現れ

そして収拾がつかなくなる。


『伊達くん・・・わたし達の希望と想いを

受け取って。そしてお願い。

わたし達と同じ境遇の人達を救って!』


すると、闇だけしか見えなかった

黒の世界で光が見えた。

すると、目の前に粒子が集まり人を形成していく。その数は百人まで届くほどの

人数だった。その大勢の一番前の女の子を

見たことある。テントで勇者の時に

いた無理に鼓舞をしていた入江癒花いりえゆか


『託したよ』


彼女は、入江癒花は勇者の時に見なかった

純粋な屈託のない笑顔。

・・・・・・僕は、目を開くとそこは

教会の中だった。

入り口から祭壇までの身廊しんろう

真ん中にある道の左右に座る信者らしき

人達が僕を見て感動していた。

涙を流して祈られ僕は、戸惑う。

僕が立っていたのは祭壇で、隣にいる

のはこの教会の長であろう人が僕に

しゃがむと祈られる。


「・・・僕は、戻ってきたのか・・・」


二度目の転生。最初の転生とは違い

心が温かさが広まっていて

嬉しく有りがたくてあの人達は、

力を託されると、自我を失い純粋なマナ

として僕に変換した。

それを理屈と想いが伝わる。

だから、だろう僕は涙が止まらなくなる。


「神が私達に涙を!?」

「おぉー、なんて慈悲深いのじゃ」


突然、あられた俺に神と

拝まれ苦笑して手を振って答える。


「「うおぉぉぉーー!!」」


アイドルのライブのように熱狂と化した。

戻ってきたかまだ、分からない。

分からないけど助けにいかなければ。


(ティファニー・・・

絶対に助けにいく、

絶対に守ってみせんから、今度こそ)


僕の三度目の人生は教会で始まった。

そして確固たる決意する。

どんなことがあっても

ティファニーと託された入江癒花達の願いの

ために守ることを決意する。



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