レベルXバレンタインデー(現代?)

「ほら、起きて!」


誰かが僕を肩を優しく揺さぶって

起こそうとしている。

惰眠を貪りたい衝動をなんとか抑え

まぶたを開けば―――


「・・・が、学校に・・・いる?」


どうやら、授業中で見慣れた教室。

僕は、確か異世界で転生されたはずで・・・

イヤ、考えてみればすぐに気付くべき

だっただろう。その異世界転生が

夢であったことを・・・。


(なら僕が好きになったティファニーは

・・・全て僕の妄想の域だったこと――)


だとしたら、あの鮮明な出来事

・・・妄想の域を越えるあの感情は

全部それが全てが幻。

絶望の淵に佇む胸中に浸食して――


「もう、授業中に居眠りはよく

ないからねぇ!」


右を向くと、隣席にティファニーが

仕方ないなぁっと、

そうな表情をしていて・・・。


「ティファニー!!」

「キャー!?ど・・ど・・ど、

どうしたの急に!?」


悲痛に思考に堕ちそうになると、

ティファニーがいて言葉できない嬉しくなり

ハグするという、行動に出る。


「コラ、そこのバカップル!

今、授業中なんだぞ静かにしなさい。」

「す、すいません。」

「ごめんなさい。」


一緒に教師の叱責を受ける。

・・・あれ?気のせいかなバカップル単語が

聞こえたけど・・・・まぁ、他の人から

するとそう思われるか。

色々と混乱しているけど、ティファニーが

いればとりあえずオールOK。

久方ぶりの授業は、いつものように・・・

進まなかった。

隣の席がティファニーと意識するとドキマギ

するのだ。

漸く昼食の時間になると、ティファニーは

鞄から二人分の弁当を持つと、

立ち上がり僕の手首を掴んで引っ張る。


繁実しげざねそれじゃあ、行こうか!」

「行こうって、どこに?」


僕の疑問に不思議そうに振り返る。


「もう、何を言ってるの?

いつもわたし逹、屋上で食事しようねぇ、

約束したじゃない。」


一緒に食事、約束?

身に覚えがまったくない。

僕が異世界転生の夢を見ていたから

現実と混同しているのかしら?


「・・・どうしたの。

顔が赤いけど熱でもあるの?」


ティファニーは、心配され顔を近づき・・・ひたいと額がくっ付ける!?


「うーん、熱はないけど・・・

前よりも顔が赤いけど大丈夫?」


やっと、離れてくれた。

ティファニーの行動に疑問を抱いてしまう。


「心配しなくて、大丈夫!

すぐに元に戻りますので、それよりも

ティファニーなんだか積極的すぎない?」


そう、いくらなんでも積極なのだ。

ティファニーは、ここまでしないと思う。

だが、ティファニーのさらなる一撃を放つ。


「うん・・・本当に苦しいくなったなら

言ってねぇ。

・・・・・わたし逹、恋人なんだから。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・な、なにぃーーー!?!?」


す、凄まじい威力を込めた一撃だった。

僕の冷静な思考とか、判断力など

混乱させるほどだった。

つまり、しどろもどろになってしまう。


「こ、ここ、恋人って・・・そ、そんな!」

「もう!なんだか、恥ずかしいよ。

ほら、早く屋上にそろそろ行こう!」


言うが早いか手首を引っ張っていく。

そして、屋上のベンチに

肩とか接触した状態で座る。


「・・・・・・」

「・・・そう、恥ずかしそうにされると

わたしも恥ずかしいかな。」


イヤイヤ、知らない内に恋人になっている

この状況が混乱して恥ずかしくて

なんて言えば分からなくなっているの

だけど・・・こう雰囲気が・・・・・

恋人の雰囲気が耐えらない!!


(それと、ここでもティファニーは

僕の分の食事を作ってくれるのか。

・・・そこだけは、よく慣れていて

落ち着くなぁ。)


お互い無言で食事をする。

この静寂と隣にいる温もりが、

この上なく安心感と爽やかになってくる。


「ごちそうさま。流石のティファニー料理。

とくにこの卵焼きやからあげが

美味しかった!」

「えへへ、ありがとう。

・・・・・それと、

渡したい物があるんだ。」

「渡したい物?」


恥ずかしそうに笑って言う。


「うん。今日ねぇ、

2月14日だから・・・その・・・・・

はい、これ!!」

「なっ!!こ、これは!!?」


それは、まごうことなき

バレンタインチョコだった。


「手作りで・・・上手く出来ていないと

思うけど・・・う、受け取ってくれる?」


上目遣いでどんどん小さくなる声。

そんな反応されると、萌え死にしそうだ。


「はっ!も、もちろん貰う。イヤ、

スゴく欲しかったし、スゴく嬉しいし、

これで、どんな事が起きても

悔いはないよ。」

「そ、そう言ってくれるなら・・・

勇気を出した甲斐があったかなぁえへへ。」


箱を受け取ると、なんだか神々しく輝いているように幻視が起きる。


「よし、記念写真を撮って

待ち受けにする。してみせる。」


強い使命感が僕を動かす。ポケットから

スマホで撮り、次に両手を合わせ拝める。


「・・・え、えーと?」


深呼吸して、目を開く。

・・・よし、そろそろいただこう!


「それでは、バレンタインチョコを

食べたいと思います。」

「う、うん。

もう少し普通に食べてもいいんじゃない

かな・・・なんて思うけど。」


ティファニーは、頬を赤らめ苦笑して

やんわりにやめろっと言う。


「そ、そうだね。・・・初めて貰ったから

変なテンションになってしまった。

・・・いきます!」


リボンを解き、包んでいた紙を外していき

開けると・・・ハート型のシンプルな

チョコが入っていた。


「ごくっ、それでは・・・・

いただきます!」

「ど、どうぞ!」


掴み手作りのチョコをゆっくり口に運び

そして、噛む。


「お、美味しい・・・とにかく美味しい!

芳醇な甘さが広がって全てを調和していき

無限の宇宙を作りっだしていくような

究極的な愛情の先をいくような味だった!」

「は、はは、繁実しげざねって、

時々、難しいことを語るよねぇ。」


彼女は飽きれてしまい苦笑するが、

愛おしいそうな視線になんだか

むず痒い。またも萌え死にしそうだ。


「わたし・・・大好きだよ。」

「急にど、どうしたの!?」

「だって・・・急に伝えたくなったの

だから・・・・・わたしの事を好きかな?」


だ、ダメだ!整理がつかない。

どう、答えればいいのか分からない。

・・・ええーい、このまま突貫していく!


「僕もティファニーがす・・す・・・。」

「す・・・・・・・・まさか、

夢落ちとは、普通に考えればそれしか

ないのに。」


スゴく、甘い夢から目覚める。

ティファニーの家で暫定的な同棲している。


(ど、どうしよう。

恐らくこのドアを開いたらすぐに

ティファニーがいると考えると・・・)


会いにくい。ティファニーにここまで

想っていたのか僕は!

強く想いが募っていく、そしてまたも

あのバレンタイン妄想の夢を思い出し、

四苦八苦するのだった。

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