レベル14物見遊山と紆余曲折

貿易国家の大通りはとにかく広大で

中世的な店などの建物が連なって、

往来は、どこもかしこも人が絶えない。

風光明媚ふうこうめいびな景色は

まさしく見るものに圧倒するものだ。



「ネ、ネコ耳やしっぽがいる!?」


車窓からこのファンタジー感が溢れる

街並みを楽しんでいると、通行人に

まさかのネコ耳としっぽが生えたような

自然に動いているのだから、驚く。

つまり、これは・・・・・異世界で

非常に知らざるものなしの・・・


「亜人がいるなんて!?」

「亜人?」


向かい席に座るティファニーは、

首を傾げるのけど、スゴくかわいい!

今更ながら、僕はスーパーリア充に

なったような気がする。

それは、ともかく亜人に不思議そうに

していたけど、そう呼ばないだろうか?


「えーと、ほら獣耳とかしている

あの亜人・・・もしかしてそう呼ばない?」

「うん。亜人と呼称するのは大昔なんだ。

差別なく人類として、扱うべきだって

当時の王様や大臣などが広めさせた結果、

亜人と呼ばなくなったわけです。」


目をつむりながら、

人差し指を左右に振りながら解説する

ティファニー。

それじゃ、対峙する関係がお約束なのは

過去の出来事で、すでに最終かつ不可逆的に

解決したみたい。


「気になったけど、どうして亜人?」


過去の出来事、歴史にしか記される呼称に

疑問を覚えるのは、当然の反応。

僕は、まさかここで異世界転生しました

・・・そう告白したいのだが、

この身で味わったあの侮蔑や道具のような

扱われ方に。ティファニーは、僕が

別の世界転生した伝えても変わらず

接してくれるはずだ。

・・・でも、もし態度が変わるのが恐い!

そんな事は無いと断言するほど、親しくも

ないし・・・変わらなくても、

この恋人未満で形容しがたい関係の終わりを

恐れている。だから、絶対に言わない。


「・・・僕、世の中が疎いから・・・

歴史の本を読んでいたら・・つい、その

一節を発したくなったかな?」


本は好きだが、まだここに来てから

読んでいない。


「そうなんだ。シゲザネって、すぐに

行動に出るタイプなんだね。」

「あはは、そうかも。」


彼女は、微笑む僕は作り笑いで

答えるしかなかった。

それからは、普通に談笑していると

目的地に着いたので代金を払い

まずは、昼食を何処にするか話し合いに

なって、レストランに決まり入ると

店内は歴史的な家具類、テーブルなど

安息できそうで個人的に好きな店内だ。

僕はカルボナーラを

ティファニーは、スパゲッティを

食べ終え外に出る。


「いやー、まさかここでカルボナーラ

あるなんて、驚いたが無いともう

食べれなかったから、存在していて

よかった、よかった。」


僕が素直な感想を言うと、隣の

ティファニーは、首を傾ける。


「さすがに、カルボナーラくらいは

合って当然なんだけど・・・珍しかった?」

「あ、うん。・・・珍しかった。」


異世界でまさかの再会に感動をしてしまい

またも、正体が危うくなりそうになった。


「フフ、それはよかったかな。

それじゃ、シゲザネが好きな場所に

行こう。遠慮は、しなくてもいいよ。」


まるで、自分の事のように喜ばれると

なんだか、照れる。

それに、お互いがお互いのために

奢るエスコート?そんな約束もあった。

くくっ、なら作戦を実行させてもらうぜ。


「それじゃ・・・ここに入っていいかな?」

「うん。どんなお店かな?」


指差す方に嬉しそうにティファニーは、

向く方角は雑貨屋である。


「・・・気のせいかな?

馬車に乗る前に立ち寄って廉価の

防止とかサングラスを購入した気が

するのは?」


本当にここでいいの?そんな表情で僕を

見る。かなり拍子抜けで残念そうに。


「ああ!買い忘れた必需品とか

買いたいから!」

「いいよ。それじゃ行こうか。」


近くの雑貨屋に入り、目的の物は

すぐに見つけ棚の商品を指を差す。


「僕が欲しいのはこれかな?」

「・・・ええーと、ハンカチ?」

「うん。僕が欲しいのはこれだね。

これしかないって、言っていい!」

「そ、そう。それじゃ、会計を済ませに

行くねぇ。」


力強く言った僕に引きつった笑顔にさせた

ティファニーがそう言って会計にいく。

・・・好きな女の子に引かれた笑顔に

精神的なダメージを受ける。

・・・・・それは、置いといて計画は

順調に滞ることなく進んでいる。


「それじゃあ、次に行こうか!」

「僕の欲しい物はこれだけだから、

もういいかな。」

「・・・・・え?」

「そう言うわけで、ティファニーが

欲しいのを買いに行こう!」

「・・・うん。それじゃ・・・

わたしはこれがいいかな?」


ティファニーの指す方には、マスクが・・・


「・・・えぇーと、これでいいの?」

「うん、欲しい。」


笑っているはずなのに、怒っているような

・・・でも、雰囲気だけでそう判断するのも

曖昧模糊すぎるしなぁ。


「わかった。他に欲しい物は?」


女の子だから、欲しい物は多いだろう。

そう考えていたのだが・・・。


「ううん。これだけでいいよ。」

「・・・・・これだけ?」

「うん。マスク調度、欲しかったから。」


そう言われると何も言えなくなり

会計を済ませ店内から出る。

くくっ、予想外だったが計画に狂いはない。

僕の求めた物を買ってもらうのは

ハンカチなど安物にして、満足な態度で

自然に終わらせ、ティファニーに

日頃の感謝とか色々を恩があるので

欲しい物をたくさん奢るのが、

僕の考えた隙がなき完璧過ぎる計画。


「わたしも欲しいの買ったから

そろそろ帰ろうか。」

「・・・・・へ?」


満面な笑顔(内心は違うだろう。)で

そう言うのだった。

今、何を言ったのだろうか・・・・・・。


「ありがとうね、シゲザネが帽子や

サングラスなのは謎だったけど、

わたし楽しかったよ・・・スゴく。」


今日の感想を語り歩いて・・・・


「待って、待って!ど、どうしたの!?

流石に馬車まで乗ってハンカチと

マスクだけって。

もう少し回って楽しもう!」


必死になり説得をしようとすると

ティファニーは、足を止め僕を・・・

軽く睨みながら言う。


「・・・それなら、下手な小細工なしで

欲しいの言ってくれないかな?」


そっぽを向きながらそう呟く。

機嫌が悪くなったのって、もしかして・・・


「・・・・・・。」


鮟鱇あんこう

せたような人な反応しているたろうなぁ。そんな言葉通りに

ポカンとして、バカみたいに落ち着きが

なく、させるのに、十二分な言葉だった。

まさか、僕のために奢るのを楽しみに

そう聞こえるのだから。


「あ!・・・・その・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」


何かを言おうとしたが、うまい返事が

出てこず、適切な返事を考察する僕。

そしてティファニーは、チラチラと見る。

恐らく返事を待っているのだろう。

早く答えないと通行人の邪魔になるし・・・


「わ、わかった。・・・それじゃあ、

洋服を買って欲しい。」


恥ずかしくなり小声になるが、ティファニー

は、どうやら聞き取れたようで

つぼみが咲くような笑顔で

ドキッ・・・なってしまうほどの

威力だったし、透き通った声で言う。


「うん!それじゃあ行こう。」


手を引いて服屋に向かうのだった。

洋服は、さすがは異世界と言える

昔さながらでコスプレのような中二病の

ようなものまで、あったので、

ついつい試着してティファニーの反応は。


「その衣装スゴくかっこよくって素敵だよ」

「そ、そうか。なら買おうかな。」

「了解しました。後でわたしが払うね。

それじゃ、次の衣装を着ようよ!ねぇ。」

「そ、そうだな。」


テンションが高くなるティファニーに

新たなる洋服を渡される。

それは、僕が欲しいなと眺めていたもので

一言も言っていないのに、どうして

分かったのだろうか?イヤ、偶然だろう。


「スゴく似合う!?

よし、これも買おう!!

フフ、なんだか楽しくなってきた。」

「そ、そうですか。」


穴だらけの計画は頓挫したが

本来の目的のティファニーが楽しそうで

なりよりだ。・・・まさか、着せ替えに

されてしまうとは思わなかったけど・・・


「ハァー。」


嘆息して渡される衣装を着替える。

それから、色々あって数分後。


「バ、バカな・・・ここまでとは!?」

「うぅー・・・・・恥ずかしい。」


試着室から、純白のドレス姿をした

ティファニーの美しさに言葉を失うほど。

まぁ、失ってはいないのだけど、

それぐらいに似合うのだ。


「お客様、此方もどうでしょうか?」


店員のお姉さんから新たなる翡翠色ドレスを

勧めてくる。

ティファニーがこのドレスを・・・・・


「よし!この純白ドレスを買うとして、

次はこのドレスを試着しよう!」

「えぇぇぇーー!!?」


カーテンを開き試着したその翡翠のドレス。

ドレスを見られるのが恥ずかしいのか

頬を赤らめている。


「くっ!ここまで似合うとは・・・

お姉さん!これも買った!!」

「お買い上げありがとうございます。

それと、美しいお客様にこの店舗自慢の

ヴィンテージの某貴族が着ていた

ドレスなんかはいかがでしょう?」


店員が勧めるのは、中世よりも古そうで

淡いピンク色のドレス。


「アドバイスありがとう店員さん!

これで・・・まだ上に行ける!」

「いえいえ、わたくしも利益が――もとい、

お客様のために働いていますので。」


利益が目的なのを隠しているが別に

気にしないし、当たり前のことだから。

本当に質がある衣装を勧めてくれば

僕はそれでいい。


「ティファニー!次はこのヴィンテージ。」

「わ、わたしは、もうこれだけで

いいかな。」


苦笑しながら、これで終わろうとしよう

とするのを、全力で阻止しなければ。


「いやだね。ティファニーが僕を着せ替えで

楽しんでいた・・・この権利を僕が

行使しても問題はない!」

「そ、そうだけど・・・・・

こんなに恥ずかしいなんて思わなくて!」


それでも引こうとしないティファニーに

僕も引かない。

戸惑い恥じらおうとも、この素晴らしい

美少女が色んな衣装を買うと決意したから!


「おやおや、ティファニーさんは

僕に好き勝手に衣装を勧めておきながら

そう感情的に訴えれば赦免されるとでも?

否!決して否である。

なので、色んな衣装を着てもらう。

もちろん拒否権は・・・ない!」


テンションが高ぶって

悪く笑う僕に店員は若干、引かれる。


「うぅー・・・・・ばかぁ。」


最後の抵抗とティファニーがそう言って

ヴィンテージのドレスを丁寧に受け取り

試着し現れると息が止まり

本能のまま褒めると、俯きありがとうっと

呟き、さらに店員がさらなる衣装を

勧められたので、試着する。

ちょっとした無限ループをするのだった。


「シゲザネ・・・嬉しいけど

少しは控えてほしいです。」

「・・・そうですね。」


袋の箱がタワーのように積み重たのを

僕は持ち上げって街中で歩く。

通りすぎる人々はどんだけ

買ったんだよ・・・そんな風に

驚愕して見られるのだった。


「うん。わたしも買いすぎたから

少し持つよ。」

「大丈夫。ギルドでは短期間で超絶な

活躍した冒険者だから

こんなの平気だよ。」


元の世界だと絶対に持ってない量でも

ここでは、それなりにレベルがいいので

軽々に変貌している。・・・視界が

箱の積み重ねで見えないのが欠点だけど。


「そう?重たかったら、

いつでも言ってね。無理はしないでね。」


無理しないように念を押される。

見た目からすると、僕の方が年上なんだけど

・・・そんなに頼りないだろうか。


「大丈夫、平気、無敵!」


そんな小学生のような返答する。

後からなって、なんだか恥ずかしさが

襲ってくる。可笑しくないはず。きっと。


「でも、こんなに買ってしまうと

観光とかもう出来そうになさそうだよね。」


ティファニーが隣で苦笑して言うのだった。


「ああ、うん。そうだね。

とくに・・・ティファニーがかわいい

かったから、買いすぎた。」

「そ、そんなお世辞はもういいから!」


少し赤くなって否定するティファニーに

僕はつい笑ってしまうと

機嫌を悪くなって外方そっぽを向かれたので、ごめんごめんっと謝る。

僕とティファニーは、すぐに馬車の停車駅

に向かうけど自分が払うと喧嘩勃発する。

結果は割り勘でお互い譲り合い解決し、

ミスト村に帰るのだった。


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