レベル6目的なき者は、歩く

「ハァ・・・ハァ。」


それから僕はひたすら歩いた。

慟哭どうこくと心の整理まで

どれくらい経ったか分からない。

そして、戦場から離れ

僕を支配しようとする

外道な教会を逃げる最大の

チャンスが訪れたことに

嬉しく・・・罪悪感があった。


(でも、俺には従わざるえない

呪いがあるからまた、戦いの道具に

戻るだけだ。

召喚された人に助けられない。

だから仕方ないと客観視しても

そう判断できる・・・できるのに

ほとばってくるこの

痛みはどうして収まらないんだ・・・。)


なんども味わい日に日に強くなってくる

選択の罪。

森林にモンスターを狩り

食べそして野宿した。

夜営ならしているが

一人だけ全部やるのは初めてで苦労

したがなんだか楽しく

あの教会の命令も聞かなくてすむ。

そしてサバイバル生活に入って

3回目の曙光に目を覚め

湖に洗顔に眠たい体と精神を動かす。

湖は、淀みなどなく透き通っていて

上には琥珀色の白鳥がさえずり。

湖に手を入れるとなんだか

ファンタジーゲームにいるようで

楽しくなり回す。


「子供みたいだな僕は・・・

でも余裕できたからこんな

考えもできるように戻ったんだな・・・」


なんだか感慨深い。

懐かしい感情が戻っていくのが

伝わるような気がした。

洗顔を終え森林の中に戻り

準備を整えると

途方もなく歩く。

森林浴を最近になって味わうと

気持ちが明るくなり、

好きなソングうろ覚えで鼻歌する。

熊のサイズのイノシシを倒し

今夜の夕食に解体し、

バックバックに入れ歩く。

そして長考するあの呪いに。

額は、呪いかけられた証のような

紋章などがなくなにも変わらないように

見えるし、そう感じる。

だが呪術者の命令に意識は消え

気付いたらなにかしていた

ことがあった。

そしてこの呪いが発動しないのは

聞こえないからだと考えている。


「・・・まっ、二度と見つからないように

すればいいだけだ。」


見付かればどうなるかそんな

事を考えなかった日はない。

これも恐怖という呪いかな。

ガタガタ。

馬車が走るような音が聞こえ・・・

イヤ、馬車の音だ!

木に身を隠してゆっくり

顔をだすと・・・大きな馬車。


(あれは、確か客を多く乗せる馬車。)


現代だと言うとバスだろうか。

利用したことがないけど

馬車には、乗ってみたいものだ。

俺の向かいにあたる茂みから

出てくるモンスター。


「ガウ、ガウ!」


数十匹が馬車を襲撃せんと牙を向く。

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