レベル5さまよう路と心

ここは、戦場。

異世界で

転生した僕は、同じく転生した者達と

編成された部隊で待機していた。

空は、快晴で陽光は、眩しいく

明るいのはそこだけだろう。


(荒れ地と緊張で静寂した殺気。

僕は、なんども戦場に駆り出され

この独特な空気に慣れてしまった。)


戦場の空気に慣れしまう。

すると隣の女の子がおののき始め

励まそうと僕は口を開く。

だが下手に励ますと

頑張られるとよくない。

これは、命を奪う悪辣した

場所なのだから。

だからこれを伝える。


「苦しかったらすぐに引くといい。」

「は、はい。」


なにもアドバイスにもなっていない。


「異世界部隊、突撃せよ!」


背後から馬を乗り

命令をする将校の甲高い声。


「・・・いつもその命令しかないのか。」

「え?」

「なにもない。あまり前に出ないように。」

「は、はい。」


同じ年の女の子の名は、知らない。

紹介するべき機会さえも

ない。

だが僕達は、同じ仲間同士で助け合う

のが暗黙のルールがあり

僕も助けられたので

今回は僕が助ける側になっただけに

すぎない。

僕達の部隊は百人で新人は

戦力に数えるのは難しいのに上の奴等は

深く考えず配置する。

そして最前線で戦わせる。

まさしく捨て駒だ。

僕は剣を抜き全力で走る。


「うおおぉぉぉぉ!」


同じく獲物を抜き仲間。

眼前の魔物は複数の大砲を放つ。


「【薄き壁バリアー】!」


僕は掌を前に向け小さな透明の盾を唱える。

次々と自分の防御魔法を

唱え掛ける仲間達。


「ちっ!

さすが異世界の奴等か。」

「武器を構えろ!

目の前に人間どもがいるぞ!」


鬼やゴブリンなどが剣や槍を構える。

地面に踏む足に力をいっぱい

踏み跳躍する。


「こっちからすると

ここが異世界なんだが!」


そして落下していく速度を

力に加えて一太刀。

仲間も次々と攻撃していく。

相手も武器で仲間を反撃していく。

乱戦。


「・・・っ!

後方に味方の精鋭部隊が来ます!」


後方から歴戦の仲間がそう告げる。


「また、俺達ごと巻き込む

ことに、躊躇わずに・・・!」


敵が得物を向けてくるのに

味方に軍馬を衝突回避する。

敵陣に深く突入した精鋭は、

次々と魔王軍の兵を討ち取っていく。


「ぐわあぁぁぁ!」

「歩兵ども我等に続け!」


いつもの戦術。

それと続き、阿鼻叫喚の叫び。

・・・なんだこの魔力は!

仰ぐと雲がどんどん黒い曇りで積もり

そして、眩き光の柱が

戦場に進んでいき・・・

警鐘が鳴る。

危険だと、

すぐに逃げろと。


「みんな逃げろぉぉ!!」


そして奔流の光輝は地面に落ち

呑み込む。


「・・・・・・んっ?」


身体が上手く動かせない。

それに痛い。

目を開きそこには

死屍累々と倒れる戦死のしかばね。


「・・・う、うわああぁぁぁ!!?」


何度も戦場に参加したが

こんな惨劇は見たことない!


「誰かー!

生きていないか・・・。」


敵もいる可能性もあるなら叫ぶのは

愚行と知りながらも叫ばずには

いられない。

誰も動かず、声もしない、

死の世界、風の音、自分の鼓動や呼吸しか

聞こえない静寂で一人だけ生き残る。

それを理解すると感情の奥底に

・・・認めたくない、怖いなど

渦巻き負の感情が浸食されるのが

分かってくる。


「・・・あぁ・・・・

ああぁぁぁぁぁぁぁ!!」


あの光の柱で僕だけが生き残ってしまった。




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