レベル4呪縛の人生

厳かな礼拝堂に連れられた。

乱暴に背中を押され蹈鞴たたら

踏みそして、転倒する。

顔を上げると豪華な法衣をした年配の男性が

僕に蔑視と嘲笑をする。


(ここまで連れてくるように

命じたのはこの人なのか?)

「これが、今回の異世界転生者か。」


男の言葉に恭しく頭を下げ答えるのは

ここまで連れてきたアサシンらしき

リーダー各。


「はい。この通りです。」

何を出してそれを・・・

「うっ!」


短剣で僕の腕を軽く斬る。

すると・・・傷口から粒子が溢れ

消えていく。


(な、なんなんだよ!

これは!?)


歪だった。

客観視していたらこんな風に

感じなかっただろう。

だが主観だと違う。

幻想的に溢れてくる

そう幻想的な光の粒だ。

そんなものが、絶対に起きないはずの現象。

僕の身体の異変が

勝手に気づかずに起きて・・・怖い。

教皇らしき男は愉悦になり始める。


「くくっ、驚いているようだな。

貴様は招かざれる存在。

通常ではここに現れることないだろう。

複数の世界は繋がりみちはない。

しかし・・・」


教皇は、両手を広げ愉しそうにしていた。

そして、高々と語り始める。

これが災いを僕にもたらそうと

していなければ

心踊る話だった。

理解していくとが

普通に考えると

荒唐無稽で大言壮語の言葉の数々。

半信半疑で事実か

分からずに僕はいた。

長い話はようやく終わる。

なんとか混乱する思考を落ち着くかせる

ようになんども

落ちつけと念じる。


「だが唯一、異なる世界の住人を

喚び出す方法がある。

禁忌の手法によってなぁ!」

「・・・そ、それより

助けてください!

ここが何処かも分からないんです。」


考えた結果、助けを懇願することにした。

教王ならこのお願いを

無下にすることはないはずだ。利用している

みたいで少し悪いが。

だが反応は鬼のような形相だったのだ。


「貴様!

誰に話をしていると思っているんだ!」


遮られると怒る。

倒れている僕の腹部に蹴りを放つ。


「ぐっ。」

「ワシは教皇。

すべからく世界に生きる者を

導く大義を持つワシに貴様は・・・

その態度はなんだ貴様!!」


なんども、なんども蹴られる。

いたい。痛すぎる。生前前の僕は

身体も精神もここまで苦痛を

受けたことない。

情けなく勝手に涙を流しても僕は

気にせずこの扱いに激昂する。


「あんた教皇だろ!

その大義が暴力かよ。

このエセ教皇が!!」


教皇は、驚きそして・・・


「・・・貴様ワシに侮辱するか。

なら立場を教えるまでだ!」


さらに蹴りが強くなる。

さらに怒りが増してぶつけられる。


(が、我慢の限界だ。

今から抵抗を・・・っ!)


殺気。その気配を振り向くと

アサシンのリーダー各の男が放っていた。

その鋭い目線には

不届きを働けばこの場で斬る!

と、そんな幻聴が聞こえた。

ただの幻聴だと強く否定ができない

本気が頭が魂が理解している。

射ぬく目に反抗心などではなく

恐怖で支配される。

法衣の男は近づきなにか小声で言う。


「貴様には呪術によって

ワシらのために戦ってもらうぞ。」


そして指に禍々しく輝き

それを額に当てようとするのを

見て抵抗する。


「や、やめろ!」

「貴様らには人権、拒否権などが

誰が求める?

誰も求めない。

蘇らせたことに幸福に思え。

そして、これぐらいは当然の行使だ!」


めちゃくちゃな理屈だ。

こんな人が聖職者なのが信じられない!

どうして周りは従っているんだ?

そして呪いを宿る指先は、

額に触れる―――


「う、うわあああぁぁぁぁぁ!!?

・・・くっ、またあの夢か!」


いつもの夢を見ていたようだ。

舌打ちして目覚めが悪い。

駐屯地の雑なテントに僕はいた。


(あの呪いを受けてからこの異世界に

転生してから・・・半年が過ぎた。)


そして服従される呪縛により

武器を持たされ過酷な訓練、

魔法詠唱の日々が続いた。

奴隷として日々だった。


『さっさと立て!このウジ虫が!』


疲労困憊で倒れても鞭で打ち

同じ境遇の人と疑似戦闘させられ・・・

それにより亡くなった者は少なくない。


『なにを泣いている。

貴様達には人間らしいことなど

享受があるわけがなかろう。』


もはや道具の扱いだ。

こんな扱いを受けて有り難く思えとか

平気で言うのだ。

使えない道具は捨て別の使うだけと

そんな扱いをさせられた。

教会の地下で暗い狭い部屋で

入れられまさしく牢獄のような所だった。


『・・・・・・』


巡回する兵士がドアを開き

変色したパンや濁った水を入れた瓶を投げ

用は済んだといわんばかりに閉じ

去っていく。

そしてそんな本来は棄てるべき食べ物が

食事だった。まるで、家畜、

イヤそれ以下だった。

それを染々に味らわせ

ようやく勇者として冒険に出られると

思ったら・・・・・


「常に悪魔の激戦となる地で

従軍しなければいけない・・・

はは、イヤになってくる。」


強い悪態はけっこう前に吐いた。

この奴隷としての生活に反逆心などの

感情が失いくような気持ちだった。

いや、失った。

もうなんのためにしているのか

分からない・・・・・。


「・・・おはよう。」


隣にしかばねのような表情する女の子。

俺と同じくらい年齢の者は

自然とこのテントで男女関係なく

雑寝をする。

本来、一緒にするのはダメなのだが

どうせ道具とかで奴等は言う。

思春期としての当然の意識など失った。

僕・・・イヤみんなは

そんな感情、ゆとりなどなくなり

ただ機械のように動いていく。

そうあの教会に呪いを受けてから

失っていたのだ。


「おはよう。」

「今日も生きよう。」

「今日も生きよう。」


そして同じ境遇の仲間にこの

言葉でなんとか奮い立たせようと

決めたスローガンのような挨拶。

挨拶を済ませると

その女の子、入江癒花いりえゆかさんは、独白する。


「魔王を倒せば終わる。

だからがんばれわたし!」


皆そうやってなんとか

希望を持とうと努力して

その感情で抗うための力とする。


(・・・たけど、みんな薄々

分かっているはずだ。

この戦いは終わらないと。)


この戦争はずっと続いている。

人類と悪魔の戦争は。

300年以上に続けているのに

大きな変化も進展もなく

中央にある領土を奪ったり奪還したり

その繰り返しだ。

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