レベル3異世界転生

そこは、闇。

それだけは、理解していた。


体は、別離されたのだろうか。

五感ないただの魂だけの

存在になり、何処に向かうのか。


天国や地獄なんて信じていないが

そんな似た世界にいくのだろうか。


動くのは、思考のみ。

こんな無で意識あるだけで

焦燥感、疎外感、渇望、など

そんな感情が高まっていき

爆発しそうで

・・・地獄だ。


悠久の刻による監獄。

思ったより死の世界は無慈悲で

神の類いなんていない。

どれほど刻が流れたか。


最初の頃は、驚いた。

希望から絶望に変わる。

絶望から停滞へと、悠久の刻で僕の

心も次第に変化という侵食していく。


思考も恐ろしくなりそれも捨てようと

判断しようとすると、

感覚が次第に戻ってくる。

困惑した。混乱した。歓喜と恐怖。


少しずつ思考以外も動かせるように

なる。


「っー!

・・・アァァ!

ハァ・・ハァ・・・ハァ・・・・。」


久し振りの呼吸方を忘れ思い出すのに

時間が掛かったが

落ち着いて吸って吐く。この当たり前の

方法も忘れていたのか。

そして恐る恐るまぶたゆっくり

開くと広々とした協会にいた。


「ど・・・こ・な・・んだ?」


「今この刻、異世界人をこの聖なる世界に

転生した!」


異世界人、転生・・・も、もしかして!?

振り返るとフードを目深に被る人が

両手を広げ仰々しく言う。

声からして女性だろう。


(と、いうことはこの人が

僕をここに召喚した人なのか!

うわぁ、スゴい!

異世界転生だよこれは!!)


まさか現実に起きるなんて夢にも妄想も

していたが、本当にあったなんて・・・

神様、仏様、悪魔様ありがとう

そしてこれからよろしく。


いつか遭遇するであろう者に感謝と挨拶を

心中で告げ召喚した女性に

挨拶をしよう。


「こ、こんにちは。まさか僕が

召喚されるとは光栄です。

これから、よろしくでよかったのかな?」


まだ、混乱と興奮でへんな挨拶になって

しまったけど、その女性は

微笑んでいた。


「フフ、面白い子ね、よろしく。」

「は、はい!」


落ち着いた大人の女性対応だ。

まっ、20代ぐらいだから恋愛対象としては

入るかもしれないな。


贅沢を言うとドジっ子の美少女が

よかったけど。

その前にこの人の本当の年齢が気になるな。


「そして、貴方には魔王軍と

戦ってもらいたいのです。」


うんうん。やはり異世界といえば

魔王だからね。そうなると僕は

勇者か・・・。わるくない!


「そして、兵士の代わりに戦場に出て

私たちのために戦い・・・・・

死ぬといい。」


そう言うと、女性の優しい微笑みに

僕は悪寒が走った。


「・・・・・・なにをいっているの

ですか?」


すると、女性は侮蔑と底冷えな

眼差しでみてくる。


「貴方達を呼べれるのは悲運な最後で

亡くなった者だけ。

そんな最後を私達がよみがえさせ

たのだから感謝して

ほしいのよねぇ。」


当たり前のように語る女性は

異常だった。

まるで道具のように人としてでは、

ない眼差しを向けるんだ。

僕が慌てるのを愉悦ゆえつなのが

なお恐ろしい。


「う、うわあぁぁぁ!!」


あまりにも恐怖に耐えずに僕は叫ぶ。

尻餅をつき、女性はそんな僕の姿に

わらい狂う。


「あっはははははは!

滑稽こっけい、滑稽過ぎるわ。

これだから異世界人が壊れるのは

最高なのよ。」


これがあの人の本性なのだろう。

壊れている。修正ができないほどに。


「・・・魔法使い殿。

そろそろ連れていて、よろしいですか?」


奥の暗い所に現れるは、

黒の黒衣。

あの女性よりも目深にフードを被っていて

口しか見えない。

声は10代ぐらい声の男だろうか。


「ええ、

もう満足したいわ。

後は呪いとか、かけるなりしたらいいわ。」


・・・呪い。ファンタジーでは

馴染みがありすぎる単語。

だがそれが自分の身に降りかかろうと

なると心が底冷えするほど絶望する。


「分かった。

おい、連れていくぞ!」


フードの少年がそう言うと僕の背後に

新たに黒衣の二人が音もなく現れる。

両手で片手を強く掴み乱暴に

立たせる。


「さあ、歩け。」


最初に現れたフードの少年がリーダー格だろうか?

まっすぐ指をさす。

つまり後ろの道に歩けことか。


「・・・・・・・」


従いしかないと諦め歩く。

ここが洞窟なのか分からない

暗い道に左右にいるアサシンのような

人に手で拘束され

僕の心はこの暗い場所と同じく

いや、それ以上に暗い。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る