第20話 ライギョマン3

 ドカッ!


 バキっ!


「堤さん!今のうちです!早く逃げて!」

「きっ、君は確か天竜役場の?」

「そんな事はいいから早く!ヒーローが、ライギョマンがヤツの動きを封じている隙に!」


「らっ、ライギョマン??」


 横を向くとそこには、ヒーローとは呼び難い風貌の人間がいた。


 白のブリーフにタンクトップ姿で長靴を履き、ライギョのマスクを被り、腰にはカエルのベルト?パット見ただの変出者……。これがヒーロー???



- 生物兵器研究所 -

 通称ネストオブビースト(NOB )

 監視制御室


「あーっはっはっは!食われよる食われよる!ホンマよーわめきよるのー(笑)あっ、あーあもう食べられおった~。つまらんのー?なんや、もう一人も茫然と立ち尽くしよってからに?はよ逃げーや!抵抗しーや!ねー?中神さん?」


「おそらくは部外者の一般人ですね?それよりも、最初に入ってきた二人が気になります。」


「最初の二人もどーせ大したことおまへんがな~!」


「だといいのですが?」


「んんんんーーーー????」


「おっおっおっおっ?おーーーーー???まっまさかーーー!ライギョマンやないか!クッソーあんなところにライギョマンスーツが…」


「どうやら、簡単に倒せる相手じゃなくなりましたね?」


「すっ、すんまへん。」


「NOBが開発した、矛と盾。どちらが強いか見定めさせてもらうとしましょう。」


「念のため、グレイト・ワンの準備もしておきます。」


「是非よろしくお願いします。」



「上田くん。ライギョマン言わんでもらえへんか?さすがに恥ずかしいわ」

「すいません!でも、完全にライギョマンですよね(笑)」


 しかし、驚いた。飯見さんが、ベルトを装着して、変身?した時は、あまりの恥ずかしい格好に、笑いを堪えるのに必死だった。しかし、怪物と対峙して、一歩もひけをとらないどころか、むしろ押している。剛造さんがなす統べなく殺された、あの怪物相手に!


「上田くん!早く、その人を安全なところに!」


 そ、そうだった。


「堤さん!早くこっちへ!」


「す、すまない…ミイラ取りがミイラになるところだった…」


「危ないところでしたね?」


「あの怪物はいったい?」


「あれは、あの廃墟で行われている、生物実験で産み出された生物兵器です。」


「せ、生物兵器??」


「そうです。堤さんが知りたがってた秘密の答えです。」


「俺はとんでもないパンドラの箱に手を掛けていたのか…」


「堤さんのキャラだとその台詞似合わないですよ!」


 ボカッ!


「痛いなぁ~。」


「一言余計だバカ者!」


 嬉しい掛け合いだ。タマキンよ。きっといい記事を書いてみせる!あの世で楽しみにしていろよ!


「飯見さん!怪物は2匹います!気を付けて下さい!」


「気をつけーゆわれてもなー、さすがに一人だとキッツイわ~。」


 そろそろ、サーペントファイティングを使うか?

 飯見はサーペントファイティングを振りかざした!


「い、飯見さん!あぶなーい!」


 寸前のところで、飯見は身を交わした。


「そうそう、とどめは刺させてくれへんか?」


 恐れていた事が起こった。ついに2匹目が姿を表した!


「飯見さん!ここはいったん退きましょう!」


「もうちょっとだ、もうちょっとで泉さんと、赤井くんと、剛造の敵が討てるんや!」


「いくら、ライギョマン化した飯見さんでも、2匹相手では分が悪すぎます!」


「目の前に敵がいるんや!あと一撃で敵を討てるんや!黙って見ておけ!」


 僕は飯見さんの気迫に押され、言葉が何も出なかった。


 サーペントファイティング!!!


 2匹目の怪物は、飯見さんの無防備なモーションを見逃さなかった。


「あっ、あぶなーい!!!」



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