第5話

「――キャリバー・キャリアー! オルト・チェンジ! アーマーモード!!」


 転生機ナイトのコールによりフォーリナーロボへの体当たりから天高く上昇を始めたドラゴンが咆哮を上げる。そしてジェット機からその形を三度変え始めた。


 主翼と尾翼は分離する前の竜の翼に戻り、ジェットエンジンと化していた後ろ脚が伸びる。獣のようだったその脚はそこから更に変形をし、膝と足首を持った人の脚となった。更に折り畳まれていた前脚も同様に伸びると自由な肩を得て、肘が曲がり右と左で装甲の違う人と同じ構造の腕に変形。そしてがらんどうとなった胴体へと機首となっていた竜の首が折れ曲がり格納され両肩と腰に接続され遂に人の形がそこに出来上がった。残る尾はスタビライザーとして腰に残り、背後の翼は形を変えて二つの機械的な飛行ユニットへ、最後に残る装甲が全身を移動し甲冑のような滑らかな曲線を描くカウルとなる。


 そこへと追って同じく上昇したナイトが追い付き、そしてそれを追い越すと更にコールを重ねた。


「――いざ、尋常に……ヘッドチェンジ!!」


 ナイトの眼が消え失せ、そこにバイザーが降りる。二頭身しか無い機体の胴体が変形し、瞳が無く鋭いツインアイとマスクを備えた本来の顔よりもずっと厳めしくも端整な新たなる顔を形作った。


 盾を装甲へと変え、遂に頭部その物へと形を変えたナイトヘッドはその状態から最後のコールを唱える。


「――ヘッド・セット! ナイト・ユナイト!!」


 その言葉と共にナイトヘッドは降下。ガイドビームをリンカーネーションジェムに受信し、ドラゴン”キャリバー・キャリアー”が変形した”ナイトアーマー”へと首の接続となるヘッド側の剣がナイトアーマーへと収まりアーマー側から首となるパーツがせり上がる。そしてツインアイが白銀の輝きを灯し、遂に二つは一つとなった。


 二つを包み込んだ光球がゆっくりとフォーリナーロボの前へと降り、そしてそれが弾けると共に中からフォーリナーロボと立っ端を同じくした白銀の巨人が大地へ立った。


 吹き荒れる突風と残光の中、輝くペンダントを胸に携えたフレア姫は両手を腰に、仁王立ち。顔を上げて白銀の瞳でそれを見詰める。彼女は口角のつり上がった唇を開くと、巨人と共にその名を発した。


「完成――機身転生ナイトキャリバーン」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る