第359話手記2 巫 千景
聖領学園二年四組
×日
今日私の部屋に、召喚された際、王様の後ろに居た女性が突然訪ねて来た。
どうやら彼女はこの国の姫に当たる人物らしく、それほどの要職にあるにも拘わらず、私達のメンタルケアの一員に志願したのだそうだ。
正直な話思う所は沢山ある──。
それでもこうして立場など関係無く、私達の為にわざわざ足を運んでくれた事で彼女。アルフィーナ姫をとりあえず信用してみる事にした。
アルフィーナ姫と少し話をして、こうして日記? 手記? のような物を付けると気持ちの整理が出来ると教わり早速実践してみた。
効果のほどは分からないけれど、こうして自分の内面を文字として記し、読み返してみるとなるほど確かに少しだけ楽になる気もする。
・国の名はロークラ→人間の国の中心?
・姫様にアルフィーナと名前で呼んで欲しいと言われた←重要
・王様→ログレス 姫→アルフィーナ他にも兄妹がいるらしい?
・私達は勇者として呼ばれたので、このまま何もしなければいつまでもこの待遇ではない筈?
×日
召喚された日、私達は重大な過ちを犯した。
それは、自分達の保身の為に同じく召喚されたクラスメイトを裏切った事。
勇也や白亜さん達に見せて貰った漫画でこんな状況になっている場面を読んだ時は、私ならもっと上手くやるのに。そう思っていた。
けど、実際は恐怖とパニックで自分の身を守るだけで精一杯だった。
こんな時、あの三人がもしも居てくれたなら、私とは違いもっと上手く事を運んでくれたんだろうと思う。
・明日から訓練が始まる
目標
・なるべく味方になってくれそうな人を沢山見付ける
(訓練に関しての感想が続く)
×日
今日はアルフィーナ姫から話があった。
その内容は私達が追い出してしまった彼の事だ。
どうやら監視付きではあるけれど無事に保護されているらしい。
良かった。本当に良かった。私達の罪が消える訳ではないけれど彼が生きて無事暮らしてくれている。それだけで心が少し軽くなった。
・訓練は順調♪
・実家の武術や白亜さん達に教わった水転流が役立ってる→笑えない皮肉
・侍女さん達の話では誰かが抜け出したらしい→それは何故? 私達の知らない情報を持っていた?
・調べた限り工藤翔、動野育斗の二人は確定。ほかにも何人か居るらしい引き続き調べるべき
×日
今日は久しぶりに大笑いした。まさか勇也がアルフィーナ姫の事をただの侍女だと思っていたなんて。
雰囲気で分かるでしょ。と言ったら、そうだけど。と小さく言っていた。
まあ、確かにここの侍女さん達は王族に仕えているだけあって立ち居振る舞いが丁寧だから分からなくもない。
・情報を集めるなら侍女さんがやはり良いみたい?
・少し前から食欲の落ちている人が多いらしい→ストレス?
・二人が抜け出したタイミング(仮定)と大体同じ→何か関係がある?
・もう少し訓練を積んだらダンジョンへと行くらしい
×日
今日は初めて第一王子のローレンス様とお会いした。アルフィーナ姫同様顔が整っていて確かにかっこいいけど私は少し苦手だ。
こんな事を言うのはなんだが、女子を舐め回すような視線を感じた気がした。
他の子はそんな事は言っていなかったから私だけかな? 勘違いなら恥ずかしい。
・最近遠くの村などで白い少女と呼ばれる人が居るらしい→継続して情報を集めた方が良さそう? もしかしたら仲間になれるかも?
×日
初めてのダンジョン。
初めて生物を殺した感触がまだ手に残っている。
怖い怖い怖い。
私達がなんでこんな事をしなくちゃいけないの……。帰りたい。
お母さんにお父さんに家族に会いたいよ
(涙で滲んだ跡が残っている)
×日
訓練を受ける人が増えてきた。やっぱりダンジョンに潜った影響が強いのだろうか?
そんな中アルフィーナ姫から話があった。
それは勇也が本物の勇者だと言う事。
勇也は顔も良く、クラスを纏める立場などに居る。本人に自覚は無いけど周りを引っ張って行く勇也らしいと思った。
勇也は自分に都合良く解釈して突っ走る傾向が強いから私がしっかりしないと。
・勇者のクラスは色々な事が高水準で出来るらしい。中でも魔を退ける雷などが強力←重要
・私の劍巫女のクラスは刀や薙刀、弓に適性があり。簡単な回復と呪いの解呪、結界などを得意とするスキルを覚えられるらしい→劍巫女になったのは家が神社だから?
・対人戦とは違うモンスターとの戦いは頭の切り替えが必要
・白亜さん達に教えて貰って遊んだVRゲームが役立ってる?
(数日分アルフィーナと話した内容が書かれている)
×日
アルフィーナ様と話すととても心地いいまるで夢の中みたい。
話をした後はとても気分がスッキリする。
アルフィーナ様の為に何が出来るのだろう?
×日
今日のダンジョン探索では調子に乗った数人が大怪我を負った。
だけらあれほど調子に乗るなと言ったのに。
だけど、私もいつあちら側になるか分からない。それでもやらなくちゃ。アルフィーナ様の為に……
×日
あれから数度ダンジョンへと潜ったが今日初めての死者が出てしまった。
私達の命はアルフィーナ様や王族の方々の為にあるのにあんな下らない罠に掛かるだなんて。
抜けた穴の分隊列や役割を変えなくちゃいけない。ちゃんと考えなくちゃ。
アルフィーナ様の為に頑張るんだ。
×日
この国には気を許したらダメだった。
昨日ダンジョンで呪いのトラップを受け倒れた私は別の子の解呪を受けた。
それからだ。
書いた覚えはある。けれどここ最近の記憶はまるで夢でも見ていたかのような気分だった。
解呪で解けたからには私達は呪いを掛けられ操られている可能性がある。
皆にその話をしたけれど誰も信じて貰えなかった。きっと呪いは召喚された人間ほとんど全てに及んでいるのだろう。
そして勇也は……、勇者のスキルで呪いは効かないと言っていた。だから恐らく薬や催眠の類いだと思う。
そして、そんな事が出来たのは……きっとアルフィーナ。
こんな時、あの三人が居てくれたならそう思わずには居られない。
・しばらくは様子を見る
・頃合いを見て抜け出す?
・仲間を増やす? →気が付かれる可能性
・外部の助け→王都を敵に回すとは思えない
×日
昨日の事については誤魔化して勇也に伝えた。
その後にアルフィーナとも二人で話をした。
とても心配してくれていたが、アルフィーナが部屋から帰った後に、自分を解呪してみたら呪いが掛けられていた。
多分、気が付かれないように軽い物を段々と重ね掛けしているのだと思う。
今、誰かを信用するべきではない。
・しばらくは呪いに掛かった振りをして機会を伺う→バレた時の為に並行して脱出経路を探る
×日
脱出経路の目処はたった。でも出来る事ならこの世界の情報を出来るだけ集め、少しでも協力者を増やしたい。
その為にもギリギリまでここに居ないと。
×日
最近視線を感じる事がある。そろそろ危ないか──
(ここから先は血痕により読めなくなっている)
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