第307話 コレが無かったらと思うと恐ろしいぜ

 あれから更に数日経って色々とあった。


 まず始めにブランはなんとかマスコット枠同盟に受け入れられた。


 ここに至るまではマスコットたるや。と、言うような熾烈な争いがあったがそれは割愛。現在ではそれなりに仲良くやっている。


 ただ夜寝る時にはアクア、シィー、ブランが誰が私の横に寝るかで時々争っている。


 シィーは猫にも成れるんだから、ブランと片側に収まれば良いと思うのだが、何故かシィーは頑として猫に成らずに私の腕に抱き付いて寝る。正直たまらん。


 ついでに言うと、たまに一人で寝た筈なのに朝起きると何故かリコリスが横で寝ている事もある。正直どうやって侵入しているのかは謎である。

 侵入者が居てもわかるように糸はつねに仕掛けてあるし、寝ていても気配でわかるはずなのだが……。そしてそれが見付かると、怒られるのが私なのも謎である。解せぬ?


 さて、そんなリコリスの娘のリリーネだが悲しい事に、えぇ、本当に悲しい事に未だに私を敵視している。


【夢の館】も軌道に乗り、良い感じだからそろそろデレる頃かと思うのだがなかなか上手くいかない。


 それどころか「皆の居場所を作ってくれた事には感謝するけど、私はあんたの事なんて絶対認めないんだから! 善人ぶったって私は騙されないわよ!」等と言われる始末。


 それに対して私は「ふふふ、善人? 違うね、私は基本に悪い奴だけど時々良い事もするだけだ!」と、言ったら「結局ただの悪人じゃない!?」と、言われてしまった。おかしい何を間違えた?


『シルフィン:全部なのでは?』


 そんなバカな!? 雨の日に捨て猫に傘を使う不良並みに好感度が上がるジョブなのに!


『クラリス:……流石にそれをジョブと言われるのは困るわ』

『エリコッタ:凄いですね。言い切ってます』

『ティリス:コレがハクアさんの凄さです』


 何か色々と混神してきたけど放置だ。放置。


 まあ、そんな感じで未だに警戒心MAXなリリーネは、これからもおちょく──ゲフンッ! ゲフンッ! ではなくて、からかい──でもなく仲良くなるために努力していきたい所存。うん。これだ。


 因みにさっきも言ったが【夢の館】は順調そのもの、ついでに従業員には月兎族の皆も使っているため、アリスベル内でのサキュバス、月兎族の風当たりは当初に比べ大分緩くなって来た。


 サキュバスの皆は持ち回りでメイド業務もこなしている為、物腰から身だしなみまで整えられ、以前よりも艶を増しているように思える。

戦闘を行える者達は戦闘訓練まで受けているので【夢の館】で何があってもほとんどの者は何も出来ずに袋叩きに遭う事だろう。


 そして、月兎族の皆もある程度最低限の教育過程を終えた者から、順次希望する所に配属している。


 何をするにも教養はあって困らないからね。配属した各所から文字の読み書き、計算が出来る人材として重宝している。と、獣人でありながら評価もされている。


 ふふふ、狙い通り。


 そしてもう一つ。ユエ達、元ゴブリン組とリンク、リンナは、私の訓練を半分に減らし冒険者として活動するようになった。その時々でパーティー編成を組み換え破竹の勢いでランクを上げているらしい。


 と、いうか。私が依頼を受けない間に既にランクを抜かされてしまった件。不覚なり。


 中でもリンク、リンナと違い仕事の無いユエ達は、何時の間にやら七耀などと呼ばれ、フープの冒険者達からは一目置かれる存在になっているのだとか。


 因みに七耀の名前の由来は、全員の髪の色がそれぞれ違い七色な所から来ているらしい。


 中二心をくすぐられる良い通り名だと思います。はい。


 そんなユエ達は現在、全体での動きの訓練から個々人の資質に合った訓練、その他にもそれぞれで魔法の研究、武器の製造、読み書きなどの勉強もおこなっている。


 特にユエはその全てに参加して更にテアからメイド修行も受けている。


 その内私よりも優秀になるのではないだろうか。


 リンク、リンナもユエ達には劣るもののなかなか様にはなって来た。まあ、慢心する前に叩き潰しているのが効いているのだろうが、その内このメンバーにはステータスを抜かれそうで内心ビビっております。


 それと、最近出番が全く無いが私が検体として下僕にしたヨドム達ゴブリンも、なかなかの強さになってきている。


 彼等は今ここから少し離れた森を基点に、周辺のゴブリンを狩らせていたが、ここ最近はようやくゴブリンも少なくなり、更に遠くのもっと大きな森を拠点にして活動させている。

同時に抵抗しなかった者は部下にもしているので大分勢力も増してきた。


 その都度私が能力を弄っていたが、何度もやっているうちに、一度配下にした事のある魔物は、配下に加わる度に同じ設定に自動で出来るようになった。


 コレが無かったらと思うと恐ろしいぜ。


 因みに雌ゴブリンも何匹か加わり、ヨドムをふくめた最初の六匹がつがいになったようです。そして私の考えの通り、産まれた子供の能力も親と同じで性欲とかが抑制されていた。


 これには、色々と悩まされていたゴブリンの問題に解決の糸口が見えたとアイギスもギルドも大喜びだった。


 それと、分かりやすく私の仲間と分かるよう私の配下になったゴブリン達は、配下になると同時に額に契約の印が浮かぶようになった。これでなんとか見分けが付くはず。うん。後は知らん。


 更にヨドム達には同じ森で勢力を拡大して人間を襲っているオーク、コボルトの勢力も駆逐対象に入れてみた。


 その結果なんとそのオークは全滅。コボルトも半分程を配下に収める事に成功した。


 そんなこんなで総勢百程の勢力になったヨドム達に、現在は森の中で生活拠点を作らせている。その内モンスターの住む村が出来る予定だ。


 どんな村が出来るか非常に楽しみである。

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