第275話アクア様が素で強いのですが!?
翌朝、目覚めた私は昨日の獲物の残りと持っていた材料を空間魔法で取り出し朝飯を作る。
空間魔法は
そんな風に朝飯を作っていると匂いに釣られたのかユエが起きて来た。そんな彼女はトコトコと私の横に来ると興味深そうに見ていたので「やってみる?」と言うと、嬉しそうに手伝ってくれた。
うん。興味ありそうだしご飯の作り方も教えてみるかな?
出来上がった頃には全員が起きて来たのでそのまま朝食を摂る。
まあ、その少し前に珍しく起きて来たアクアが私を手伝うユエの事を何故かずっと睨んでたりしたけど。あれは何故だ?
昨日の話ではギルドとある程度の協議をするから次に皆が来るのは一週間後、それまで私はこいつらを鍛える予定だ。彼女達七匹に行うトレーニングは私が心やソウに施されたものにしようという事になった。
その時何故か私以外はマジかコイツ? みたいな顔をしていたのはなんでだろう? 心外だ。
そんな訳で朝食後、午前中は体力トレーニングを行う。方法は簡単、ウエイトをしこたま着けた状態で走るだけのお手軽トレーニングだ。
しかも力尽きて気絶したら回復魔法掛けて、治療魔法掛けて、水を掛けて復帰させて貰えるサービス付き。私はこれを自分一人でやったんだから超厚待遇だよ! やったね♪
そんな彼女達の事は心とアクアに任せ、私は昼食の狩りに行くついでにギルドで受けていた三つのゴブリンの巣の破壊の依頼をこなしに行き。その内の二つの巣を破壊する。
依頼の期限は一週間、最後の巣の破壊はユエ達にやらせる予定なので放置する。とはいえヘルさんに頼んで巣の見張りをして貰い、人間に手を出しそうなら排除もして貰うので安心だ。
ヘルさんには頼りっぱなしだな。
〈それが私の役目なので気にしないで下さい〉
幸いユエ達の本拠地とさほど離れていない為、監視は容易らしいのは嬉しい誤算だ。
さて、狩りを終えた私が帰るとランニング組は虚ろな目で何故か笑いながら涎を垂らした酷い顔で走っていた。見た目わりとかわいいのに色々と台無しである。
うん。良い感じだな。
眺めているとまたサンが倒れたので処置をしてまた走らせ昼飯の用意に移る。
今日の昼飯は一角ウサギとビッグボアという猪のモンスターの焼き肉と、その二匹の骨を使ったスープだ。筋肉を付けるには肉が一番という事でこのチョイス。その代わりタレは自作で作ったので満足するだろう。
ご飯が出来た事でランニングの終了を告げると、何故か全員がやっと終わった!? と言わんばかりの顔をしていた。
う~ん。やっぱりただの走り込みだと暇なのかな? 次は私の時みたいに攻撃の回避も加えるか。よし! そうしよう。メモメモ。
私はトレーニングの計画を脳内修正しながら全員分のスープとタレを配り、適当に肉を焼いて見本としてタレを付け食べてみせる。それを見たユエ達も同じように食べ始めあっという間に肉が無くなった。
うむ。良い食べっぷりだ。
ここで内緒の話なのだが、実はユエ達のスープには私が調合した弱い毒が入っている。体に異常が出ないレベルなので気が付かないがこれでその内、状態異常系のスキルが手に入るだろう。
ご飯を食べてスキルもゲット。まさに一石二鳥だね。
昼食の後は私が買った格安の色々な武器を取り出し、それぞれに好きな物を選ばせてみる。一通り色々な物を使わせて自分に合った物、気に入った物を使わせる。
しばらく使って気に入らなければまた変えれば良い。
彼女達は基本的に私が成長を弄らずに行く予定なので、出来る限り自分達やりたいようにやらせる予定だ。
まあ、今後魔法を使えるようになったらステータスを調整とかしても良いけど。
実際、フレイは物理攻撃に極振りしたいと言って来たし、アスは逆に物防に振りたいと言って来た。まあ、それも含めて自分達で決めさせみる。
さて、そんな彼女達がそれぞれ選んだのがこんな感じ。
ユエが刀。フレイが大剣。スイが剣とバックラー。ジュピが短剣二本。コンとサンが弓と短剣。アスが斧と大盾だ。
この内ユエ、スイ、コン、サンには魔法の適性もありそうなので成長に期待だ。特にサンは今の段階で物理よりも魔法寄りの適性なので進化した後は杖を持たせようと思う。
本人も最初杖を選ぼうとしたが、魔法の使えない今の段階で杖を持ってもあまり意味が無い為、弓を渡し護身用兼接近された時の為に短剣を渡しておいた。コンも同じような理由だ。
選ばせた後はそれぞれの武器の扱いを教えて個人練習させ、その時々でアドバイスをしながら修正していると夕飯の時間になる。
夕飯はヘルさんが作ってくれた。軽めに野菜中心の料理にスープ、更に最近手に入れた米を使った炊き込みご飯だった。
米旨し!!
その後一時間程休んだ後は私との組み手の時間だ。
とにかく型は教えずに一匹ずつ好きなように攻撃させては叩きのめしていく。
付け焼き刃で型を教えるよりも、ある程度致死性の攻撃を避けられるように訓練した方が良いからね。
叩きのめしてはアクアが回復してを繰り越し、二周した辺りでちょっと疲れたかな? と思ったらなんとアクアが交代すると言い出した。
えっ? マジで? アクアさん本当に今回やる気あるね?
不安に思いつつもいつになくやる気のアクアに任せてみる。するとそれを見たユエ達も何故か私の時よりもやる気をみなぎらせアクアに対峙する。
う~ん。コイツ等実は仲悪い? もしくは下剋上的な? やだ!? 私もその内下剋上されちゃう!?
そんな風に思いながら眺めているとユエがアクアの前に立ち戦闘が始まる。幾ら戦闘経験が違うとはいえ、魔法寄りのステータスにしてしまったアクアでは苦戦するだろう。私はそんな想像をしながら動き出す二人を眺めていた。しかし結果はアクアの完勝だった。
嘘~ん!? アレ、水転流だよね!? なんで? しかもキレッキレなんですけど!
「ふむ。彼女は君の子供の頃の記憶や経験を知識として持っているから不思議ではないだろう。戦闘経験もあり多数の手本も見てきたから下地はあったんだろうな。それに力が無い分、昔の君のように相手の力を上手く使っている……完全なカウンタータイプだな」
マジかよ!?
その後もユエ達は代わる代わる何度も挑んで行くが、力を利用されては投げられ、勢いを利用されては打撃を喰らい沈んでいくまさにアクア無双という状態と化していた。
アクア様が素で強いのですが!?
そんなあらゆる意味で打ちのめされたユエ達為に、水魔法と火魔法でお湯を作り汚れを落とし乾かした後、土魔法でベッドを作り、マットレスも敷いて寝かせてやり一日が終わった。
その後もアイギス達が来るまでの間、そのサイクルで訓練を施したのだった。
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