第153話「快眠最高……ゴブ」
作戦会議から帰った私とヘルさんは会議の内容を全員に伝える。
そうかそうか、会議で決まったのはそんな感じか~。ヤベ、デバイスがあればもっと詳細にとか思えてしまう。
「ところで……先から説明はヘルさんがしてるけど、ハクアはやっぱり寝てたの?」
やっぱりとか何て言いぐさだ!
「そんな事ないよ?」
「いや、何で疑問系」
全くエレオノは失礼だな。
「開始五分で寝始めました」
「わぉ、普通にバラされた!?」
「あぁ、やっぱり。皆と多分そうだろうって話してたんだよね」
何て失礼な奴等だ! そんな会話を人の居ない所でするなんて。そういうのがイジメに繋がるんだよ! イジメよくない! そして仲間の事をもっと信じようよ! それともある意味信頼の結果か? ダメな方にだけど。
「だってハーちゃん、基本授業は八割寝てましたし」
「あの頃は私も若かったね」
「一年以内の思い出ですよね?」
私、過去は振り返らない主義なのだよ。
「ま、まあとにかく何が起こるか分からないから、出来る限り直ぐに起きて動ける様にしておこう」
「あっ! 誤魔化した!」
ははっ、なんの事かな?
「分かりました。では今日はもう解散ですか?」
「そうだね。じゃあフロスト達は横のに移動ね。もし何かあった場合は……ここが壊されている時は踏み込んで、後は──」
「壊れておらず外が騒がしい場合は入口付近の死守ですね」
「そう。よろしく」
「分かりました。では皆さん、結衣おやすみなさい」
オイコラ! さりげに結衣ちゃんを特別扱いとか得点稼ごうとすんじゃねーよ。
「はい。おやすみなさいフロストさん」
フロスト達が出て行き私達は寝床の準備に取り掛かる。
「エルザ達どうかしたの?」
「……いえ、ハクア様はこれを野営と言い張るんですね?」
「何かおかしい?」
「あはは、まあ確かに野営の寝床では無いですね」
なん……だと……。
「いや、そんななんだとみたいな顔してもその通りよ。こんなのミミの家よりずっと豪華じゃないのよ」
マジか!? 何がおかしい?
私は準備が終わった寝床を見直して考える。
土魔法で作った一段高いスペースに更に簡易ベットを作り、私の空間魔法やマジックバックから出した敷き布団に、マットレス敷いた寝床。そしてここ最近まともな家が手に入った事で、上質な眠りを高めたくなり新たに作った、鳥形モンスターの羽根で作った羽毛布団に羽毛枕。
うん、不思議な所は何も無い。一般家庭レベルだよね? むしろベットが硬い分マイナスな気もする。せめて意匠にもっと拘るべきだったかも知れない。
因みに、この羽根を持つモンスターは弱く、メイド組に訓練がてら退治して集めてもらった。その為メイド組も少しだけレベルが上がっている。
「何処かおかしい?」
「……普通、野営何て質素なテントで床に寝て、簡素なシーツと掛ける物が在れば豪華なくらいよ。貴族でもここまで多くは持ち込まないと思うわよ」
「えっ? マジで?」
ミミの言葉に私は思わずこの中で一番貴族寄りの生活をしていたエルザを見る。
「そうですね。貴族なら簡易ベッドくらい持ち込みますが、冒険者はそのレベルですね。それより上の王族や国の指揮官とかなら、豪華なベッドを持ち運びます。それでも極小数ですが」
マジか!? これ貴族並みか。いやでも私、一年中機械の力で快適な温度が保たれた中で育って来た現代っ子だからね! 夏にクーラー絶やした事無いもやしっ子なんだよ? 地面に寝るとか緊急時以外は嫌なんですよ!? それが許されるのはキャンブだけなんだよ!
それにほら、昔から慣れ親しんだ物はやっぱり必要だしね?
えっ? 過去は振り返らない主義? 誰だそんな事言った奴! 過去は人間を形成する上で大事な要素何だから大切にしないとなんだよ!
『シルフィン:軸がブレブレですよ』
うるさいよ駄女神!
「快適に越した事は無い!!」
「まあそうですね」
「確かに私達も出来ればちゃんとした布団で寝たいしね」
「流石にこればかりはご主人様の言う通りですね」
これだけですかアリシアさん? 他にももっと沢山あるんだよ。多分。
「うむ。我もこのウモーブトンが良いのじゃ。ふかふかで朝も暖かいのじゃ」
「快眠最高……ゴブ」
アクアさん? 既に少し寝てません??
「あはは、ボクもこの布団使ってからは他のは嫌かな」
「私も、国にこの布団が欲しい位です」
「帰る時あげるよ」
「本当ですかハクア様」
「もち」
「ありがとうございますハクア様」
「私達も嫌と言うわけでは無いですよ。ただ、これは野営とはもう言えないレベルの寝床ですけど」
「これ以下には絶対に下げない! 絶対に絶対だ!」
「かつて無い程言い切った!?」
「また、力強いお言葉で」
「ハーちゃんですから」
「皆さん、明日も早いですから早く寝て下さい」
「「「「すいませんでした」」」」
このパーティー、ヘルさんに怒られると皆素直だな!?
因みにヘルさんは眠る必要が無いので見張りを頼んである。そして私達は装備を枕元に置き、直ぐに動ける様にだけして眠りに付くのだった。
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