第145話お前の毛根を根絶やしにしてやる!
「お前が小娘か?」この一言に対して、私がどう返した物かと考えていると、一緒にいた瑠璃は躊躇する事も無く。
「はい。ハーちゃんはハーちゃんですよ。種族としてはモンスターさん何で、進化したらこうなりました」
おふ! それ普通に言うの?! あぁ、案の定ざわつき出したよ。どうすんのこの空気!!
「き、貴様! モンスターと言うのは本当か!?」
適当に誤魔化すって無理だよね?
「……転生者のモンスターね」
「転生者の? そうか、ルーリン君と馴染みなのだから当たり前か」
「そうそう」
「何を悠長な事を言ってるんですか! こいつはモンスター何ですよ!? きっと人類を根絶やしにする積もり何だ!」
どっからきたよ、その考え。
「そんな積もりは無いよ」
面倒くさいもん。
「そんな口から出任せ言った所で私は騙されんぞ!」
「いや、だから……」
「黙れこのモンスターめ!」
「聞けよ」
「うるさいぞモンスター!」
「ああ良いよ、そこまで言うならやってやる!」
「は、ハーちゃん!?」
「ご主人様!?」
「ふん、遂に本性を現したな! やはり私こそ正しかったのだ! さあルーリンさん! その様なモンスターの近くに居るのは危険です早くこちらへ!」
「好きにほざけ。だけど、人類を根絶やしにする何て面倒くさい事はしないからな! その代わりお前の毛根を根絶やしにしてやる!」
「はっ? いや、待て。何でそんな話しに」
「うるさい。その最後の砦の様に守ってる毛根引き抜いてやる!」
「ちょっ! 待て。待ってくれ。来るな! か、体が動かん! や、止め、ギャァァァァァア!」
その日、何かをむしる様な音と共に、悲痛な叫びがギルド内に木霊したとかしないとか? 私は知らん。
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「そ、そろそろ話しを聞いても良いかな?」
私が引き起こした惨劇を目撃した事で、ギルド長は若干及び腰になりながら話しを続ける。
「良いよ。とはいえ私よりもヘルさんの方が説明は良いよね。お願いして良い?」
「わかりました」
ヘルさんがギルド長に説明し始め、私はいつもの様に所々注釈をいれながら話しを進める。因みに、私が画策したアレコレに関しては勿論話していない。何か疑ってたけみたいだけど証拠なんて残してないし。立証出来ない事をとやかく言われるのは侵害ですよ?
「つまりは、偶然が重なった……と?」
「その通り。いや、ラッキーラッキー」
「ここまで都合よく事が運んでかい?」
「そう。全てたまたま、偶然、運命の悪戯。怖いよね。運がよかったよ」
「はぁ……、わかった。王や十商まで納得しているなら、私が言える様な事は無いからな」
「かもね」
「ふう、取り合えず君達にも話しておこう、約一週間で魔族討伐作戦が始まるが、その前に一つ、問題が起こったんだ」
「面倒な話ならパスで」
「まあ聞いてくれ。取り合えず今回の作戦の概要は簡単に言うと、アリスベルとフレイスの中間に在るここ、リクレス領のエルマン渓谷内の砦に居る魔族を両側から挟撃する作戦だ」
「本当に中間辺りですね?」
「アレ? ここにあるテンドラ領って、確か勇者召喚した国がある所でしたよね?」
ああ、確かそんな話も聞いたっけ? 確かテンドラ領にあるオームとかって国がやったとかなんとか?
「あぁ、だが勇者召喚には成功したらしいが、その勇者は居ないらしい」
「どう言う事?」
「それが今回の本題だ。更にここを見てくれ。アリスベルからエルマン渓谷に行く近くにあるここが、リクレス領を納めているフープと言う国だ」
「その国が何か?」
「実はオームが召喚した勇者に乗っ取られたらしい」
「「「…………は?」」」
「更にはエルマン渓谷にいる魔族と協力関係にあるらしいんだ」
「……マジかよ」
「あぁ、信じがたい事にな」
「情報源は?」
「それは私です」
私がギルド長に尋ねると、執務室の奥の扉から私の言葉に答えが返って来る。私の質問に答えた水色の髪推定年齢12歳前後の女の子は、一目で地位の高さを伺わせるドレスを着込み、ゆっくりと歩み出てきたのだった。
これは、今までと違う感じの美少女!? あ~、何か後ろにもいるけどまあ良いや。
「初めまして、私(わたくし)はリクレス領を納めるフープ第2王女アレクトラ・サンドライトと申します。後ろに居るのが私の従者クシュラです」
「先の情報は彼女から?」
「そうだ」
「どうか私の話しを聞いて下さいませんかハクア様」
「どうして私の名を?」
そこから彼女が語ったのは、勇者と出逢い、この場に居合わせるまでの経緯だった。
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