第141話「……狡いゴブ」

「よし! じゃあまずはいつも通りアクアからいくよ~」

「ゴブ」


 ▶アクアの進化先が複数ありますどのモンスターに進化するのか選んで下さい

 1.ミニゴブリンプリースト(☆)

 3.ホブゴブリン(☆☆)

 2.ピクシー(☆☆☆)

 2.バンシー(☆☆☆☆)

 4.ブレイブフェアリー(☆☆☆☆☆☆)

 3.シルフ(☆☆☆☆☆)


「ハクア様? 星は何となく分かるのですが、この名前の横の数字は何ですか?」

「ヘルさん分かる?」

「恐らくは生物が幼体から成体になるような、進化の深度を表しているのでは無いでしょうか?」


『シルフィン:ヘルの言う通りです。今回のアップデートで追加しました。因みに並びはオススメ順です』


「え~とつまりは?」

「まあ、簡単に言うと下位職から上級職に成る感じだね。今の私はミニゴブの一個上、クラス的にはゴブリンと一緒って所かな」

「あっ、それなら分かりやすい」

「じゃあこの4ってなってるの選べば、今よりも強くなれるのかな?」

「うん。そんな感じだと思う。とはいえ深度が同じ物でもレア度が高ければ、そっち選んだ方が強くなれそうだけどね」

「えっ? 何で?」

「同じ物を作るんでも、素材の品質が良い方が良い物作れるでしょ」

「ボク的にはそっちの方が分かりやすいかな」

「ではアクア様はこのブレイブフェアリーですか?」

「どうかなヘルさん?」

「ブレイブフェアリーはレア度、深度共に高いですが、この先の進化は無いようです。その代わりすぐに強くなれますよ」


 う~ん。とうとう行き詰まる物も出て来たか。

 これ下手に食い付くと、短期的には即戦力だけど最終的に戦力外になる地雷系だよな。何気に退化も出来るみたいだけど、どんな扱いになるの?


『シルフィン:よく気が付きましたね。因みに退化は一部の固有スキル以外は退化の時点で全て無くなります』


 一回前の進化直後の状態に戻るの?


『シルフィン:はい。ですからお勧めはしません。時間の無駄になりますからね』


 確かに。


「因みにヘルさんって進化後の進化先分かるの?」

「いえ。私もそこまでは、私に分かるのは進化後にまだ進化先が在るかどうかです」

「それでも十分。シルフについても教えてくれる?」

「では説明を、シルフは風その物とも言われ、今のエーリエルの純正進化ですね。今の風と回復の力を更に強力にした物です。通常の風魔法に加えシルフ固有の風魔法も覚えます。ブレイブフェアリーは妖精族の勇者とも言われ、魔法に加え近接戦もこなせる種族ですね。平均的にステータスが上昇し物理、魔法も平均的に覚えます。他も説明しますか?」

「いや、いいや」

「じゃあシルフが良いゴブ。おねちゃんいい?」

「OKそれで行こう。次はクーだね」


 ▶クーの進化先が複数ありますどのモンスターに進化するのか選んで下さい

 1.ゾンビ(☆)

 1.キョンシー(☆)

 1.スケルトン(☆)

 1.マミー(☆☆)

 2.ハイグール(☆☆☆)

 1.バンシー(☆☆☆☆)

 2.デュラハン(☆☆☆☆)

 2.リッチ(☆☆☆☆☆☆)


「うむ。我のはこんな感じか」

「何と言うか……」

「見事にアンデット系ですね」

「クー様はどうなさるんですか?」

「我は……」

「デュラハン?」

「主様! 我それだけは嫌じゃぞ」

「何故に!?」

「だってデュラハンだぞ! 首がポロッとなるんじゃぞ! そんな恐怖体験したくないのじゃ」

「ヘタレんなや元魔王……」

「それに、我の首がポロッとなったら主様にそれでイタズラされる未来しか見えんのじゃ!」

「「「あ~」」」


 失礼な!? いくら私でも生首で遊ばんよ!? するとしてもちょっと取って来~いとかするだけだよ!?


 〈それですよ〉


 何と!?


「私には一つ疑問が有った。それはデュラハンの首の断面がどうなっているのかという……」

「そんな些細な好奇心の為に首落としたく無いのじゃ! 我はリッチが良い!?」

「チッ! しょうがない」

「舌打ちされた!?」


 まあ、最初からそのつもりだけどね。興味は本当にあったけどな!


「リッチは魔道の探求者と言われるグールのレア進化ですね。個体としては魔法を得意とし、魔法系のスキルを多く覚えます。決めた様なら他の説明は不要ですね」

「じゃ、次は私で」


 ▶ハクアが進化出来ます進化先が複数ありますどのモンスターに進化するのか選んで下さい

 1.パラライズミニゴブリン(☆)

 3.ホブゴブリン(☆)

 3.ゴブリンジェネラル(☆☆)

 3.疫大鬼(☆☆☆)

 2.炎鬼(☆☆☆☆)

 2.風鬼(☆☆☆☆)

 4.オーガ(☆☆☆☆)

 2.癒鬼(☆☆☆☆☆)

 2.雷鬼(☆☆☆☆☆☆)


「この疫大鬼って言うのがハクア……様の純正進化ね……ですね」

「ミミ言葉使いは直さなくても良いよ」

「えっ? 本当に?」

「私が良いって言ってる」

「う、うん」

「それでは簡単に説明を、疫大鬼は今の純正進化ですね。疫攻撃が更に強化されある程度のパワーも付きます。

 次に炎鬼、風鬼ですがこれ等はそれぞれの属性を得意としています。炎鬼は物理系スキルを、風鬼は魔法系のスキルを多く覚えます。

 次に癒鬼ですが、これはそのまま治療を得意とし。また、相手にデバフを掛けるのも得意な種族です。主にサポート系のスキルを多く覚えます。

 雷鬼は暴風に火炎魔法を覚えている事で進化できる個体の様です。ステータスはそこまで高くありませんが、一撃必殺のスキルは威力が群を抜いています。敏捷が高く、多彩なスキルで戦うピーキーな進化です」

「雷鬼一択!!」

「うん。ハクアっぽいよね?」

「ですね」

「ハーちゃんの好きなスタイルです」

「確かにそうかな」

「うむ」

「ゴブ」

「確かに先輩ッポイかも?」


 さっきから評価がおかしくない?


 〈自業自得です〉


「それぞれアクアがシルフ。クーがリッチ。私が雷鬼で良いね?」

「うむ」

「ゴブ!」

「じゃあ暫くよろしくね」

「はい。わかりましたご主人様」


 ▶アクアの進化先が複数ありますどのモンスターに進化するのか選んで下さい

 1.ミニゴブリンプリースト(☆)

 2.ホブゴブリン(☆☆)

 2.ピクシー(☆☆☆)

 2.バンシー(☆☆☆☆)

 4.ブレイブフェアリー(☆☆☆☆☆☆)

 3.シルフ(☆☆☆☆☆)⬅


 ▶アクアの進化先はシルフで良いですか?

 はい←

 いいえ


 ▶アクアがシルフに進化します。進化を開始します。暫くお待ち下さい。


 ▶クーの進化先が複数ありますどのモンスターに進化するのか選んで下さい

 1.ゾンビ(☆)

 1.キョンシー(☆)

 1.スケルトン(☆)

 1.マミー(☆☆)

 2.ハイグール(☆☆☆)

 1.バンシー(☆☆☆☆)

 2.デュラハン(☆☆☆☆)

 2.リッチ(☆☆☆☆☆☆)←


 ▶クーの進化先はリッチで良いですか?

 はい←

 いいえ


 ▶クーがリッチに進化します。進化を開始します。暫くお待ち下さい


 私がそれぞれ二人の進化先を選ぶと、何時もの様に体を光る糸が巻き付いて繭状になる。


 うし。これで大丈夫。次は私っと。


 ▶ハクアが進化出来ます進化先が複数ありますどのモンスターに進化するのか選んで下さい

 1.パラライズミニゴブリン(☆)

 2.ホブゴブリン(☆)

 3.ゴブリンジェネラル(☆☆)

 3.疫大鬼(☆☆☆)

 2.炎鬼(☆☆☆☆)

 2.風鬼(☆☆☆☆)

 3.オーガ(☆☆☆☆)

 2.癒鬼(☆☆☆☆☆)

 2.雷鬼(☆☆☆☆☆☆)←


 ▶ハクアの進化先は雷鬼で良いですか?

 はい←

 いいえ


 ▶ハクアが雷鬼に進化します。進化を開始します。暫くお待ち下さい。


 私は何時ものアナウンスを聞きながら糸に包まれ、何時もの様に意識が途切れた…………。


 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 ご主人様達の進化が始りそろそろ丸一日が経とうとしています。

 昨日はいきなり繭に包まれていく三人を見て、進化を見た事が無かった皆が驚いてましたね。


 何気にコロまで進化を見るのが初めてだったのは驚きました。そう言えばそうだった事をすっかり忘れてました。


 混乱する皆に説明をして何とか落ち着いて貰ったんですが「説明はアリシアに」と、言って私に丸投げしたエレオノは、ちゃんと説明の後に叱っておきました。


 もうちょっとその辺の努力はして欲しいものです。


 朝食を食べ終えた頃にクーの進化が終わり、いつもの様に繭から出て来たんですが、出て来たクーは少しだけ背が伸び、何と言うかご主人様好みな感じになり、今までよりも胸部が成長していたので要注意です。

 何が? と聞かれるとよく分かりませんが、ルリと一緒に警戒しようと言う意見で一致しています。


 因みに繭になってから聞いた話しでは、進化は強力な個体になればなるほど時間が掛かって来るそうですが、ある程度まで強くなると今度は繭にならず寝ている間に進化出来るのだとか? そして話しに有ったそれ以上進化出来ない個体は、進化出来ない変わりに私達のように輪廻が出来る様になり、レベル上限が上げられる様です。

 まあ、それも才能次第と言うのもある様ですが。


 そしてヘルさんの話しでは、そろそろアクアとご主人様の進化が終わる頃だろう。という事で、フロストさん以外の皆が食堂に集まっています。


「でもまさか進化直後が裸だとは思いませんでした」

「うん。私もエルザもミミさんも驚いたもんね」

「確かにそうね」

「我も久しぶりだから忘れてたのじゃ」


 と、先程のクーの進化の事でメイド組の皆とクーが話しています。

 ご主人様の計らいでメイド組は私達にも普通に話しているので、私達とも大分接しやすくなったようです。

 それに昨日の夜は三人で話した様で仲も深まったみたいで何よりです。


 私がそんな事を考えていると。ガリガリと音がしてアクアが繭から出て来ました。


「おはゴブ」

「おはようございますアクア。服はこっちにあるので来てください」

「ありがとゴブ」

「アクアの見た目は今回変わって無いね?」

「???」

「ふっふっふっ、我は少しだけ大きくなったのじゃ!!」

「…………狡いゴブ」

「ヒギャ~」


 胸を強調する様に張ったクーの言葉に、アクアは自分の胸元を触り、そのままクーを座った目で睨み付け、おもむろにクーの大きくなった胸を思いきり揉みしだきます。


 こういう所でご主人様の悪影響を感じますね。


「アリシア! 生暖かい目で見てないで助けて欲しいのじゃ~。あっ、コラ! そんな所まで揉むなミニャ~」

「アクアそろそろ終わりですよ?」

「わかったゴブ」

「それにしてもハクアは遅いかな?」

「そうだね。ヘルさん分かる?」

「生命活動はあるので大丈夫です。少し時間が掛かっているのでしょうか」

「どうなんでしょう? アリシアちゃんどうします?」

「暫く待ってみて時間が掛かりそうなら、食堂を閉鎖しましょう」


 フロストさんにご主人様の裸を見せる訳にはいきませんからね。もしご主人様の裸を見られてしまったら──まあ、自信もありませんし……。


 そして暫く待ってもご主人様は全く動く気配が無く、その場は一時解散になりました。

 しかし、ご主人様は翌日になっても繭から出て来ないのでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る