第124話まさか……ボケが無かったからこの反応?!

「ふぅ~」


 モンスターとの戦闘を終えた私は、倒したモンスターにいつもの処理をしながら今の自分の戦闘を振り返っていた。


 蛙の一撃は完全に油断だったな。

 それと前から思ってたけど、ギルドで買えるモンスターの情報が薄い。モンスターの絵と特徴的な攻撃、弱点と思われる属性くらいしか書いてないもんな~。

 暇が有ったら一度自分で纏めた方が良いかも?

 同系統の進化個体なら、より特徴を特化させたのが多いから、データ集まれば少しは対策立てやすいだろうし。


 それと【魔闘技】と【結界】の使いどころが戦闘中は難しいな。

 武器攻撃の時は【魔闘技】の方が攻撃には向いてるけど、防御の時なら【結界】を薄く纏わせる方が良さげだった。

 最後に猿の攻撃両方で受けたけど【魔闘技】だと微妙に嫌な感覚したから。あんまり持たなそうだし。


 使い分けの判断とスキルの滑らかな変化。これが課題かな?

 それに【結界】についてもいろいろ確かめられたのが、今回一番の収穫だったな。


 一つは、自分の体から離れるとそれだけで強度が下がってしまう事。

 これについては、通常よりも多くの魔力を使う事で、何とか解消出来る。──が、そんな事してたらすぐにガス欠になっちゃうからな。


 二つ目、こっちが本命の収穫だった。

 何と【結界】には、魔法を付与する事でリアクティブアーマー。俗にいう、爆発反応装甲のような事が再現出来る。


 爆発反応装甲とは、戦車などの補助装甲として使用される装甲板で、二枚の鋼板の間に爆発性の物質を挟み込み、爆発反応装甲に敵弾が命中すると、爆発反応装甲が浮き上がり、敵弾の爆発が分散され、戦車の本体の装甲には傷が付く程度にダメージを下げる物である!


『シルフィン:説明が嫌に詳しいですね。まさかのミリオタですか?』


 そんなでもないよ?


 とにかく、その技術を応用して使う事で、敵の攻撃を分散させたり、逆に相手の攻撃が当たると、相手に向い爆発する。何て事も出来る。

 またそこまでしなくても、例えば雷の魔法を付与して相手が【結界】に触れると、電撃が流れるようにも出来る筈。


 いやぁ~、要検証だね。やり甲斐あるわ~。


 と、戦闘についての自己評価をしつつ、モンスターの回収を終えると、ふと自分に向かう視線に気が付く。


 何事?!


 振り返ると、何故か瑠璃以外の全員が私の事を見て固まっていた。


 えっ? 何、何かした? 今回は何もしてないよ? 真面目にやったつもりだけど……あれ? まさか……ボケが無かったからこの反応?!


『シルフィン:それは無いでしょう』


 ですよね?


「えっと、皆どうしたの? 私何かしちゃった?」

「あっ、いえ、違います。ただご主人様の戦いぶりに驚いて……」

「へっ?」

「いやぁ~。ハクアってこんなに強かったんだって、改めて思ってさ?」

「うん。ボク達のステータス的には結構簡単だけど、ハクアにとってはボク達程、ステータス差が無い筈なのに、あんな一方的だったから驚いたかな」

「我的には、スキルや魔力の使い方が驚くほど滑らかだった事に驚いたのじゃ」

「あっ、それは私も思った。後で訓練の仕方教えて」

「私的には、まだ課題が残るレベル何だけど?」

「あれで? ゴブ」

「うん」


 えっ? だって出来るなら、技と技の継ぎ目が分からないくらいにしたいじゃん!


「それよりもハーちゃん。今の戦い【波紋】が雑でしたよ」

「うっ、バレてた……」

「あの先輩達、ハモンって何ですか?」

「【波紋】は水転流の、まあ……心がけみたいな物です」


 自分の流派の基本にして奥伝の業を心掛けって……。


「えっと【波紋】と言う言葉は分かりますか?」


 瑠璃が皆に聞くと全員が頷く。


 えっと、敵地のど真ん中でやりますのん?


 〈警戒はしています〉


 ヘルさんが流石すぎる。


「水転流の【波紋】はその名の通り、物を投げ入れた最に着水した所から輪のように広がる波紋のように、自分を中心に集中を拡げ、周りの全てを把握する業の事です。これが出来れば一人で複数の相手とも渡り合えます」

「凄いですね。そんな物をご主人様やルリは使えるのですか?」

「私は少し苦手かな? 瑠璃は得意だよ」

「ハーちゃんは考え過ぎ何ですよ。戦ってる最中もいろいろ考えてますからね。その代わり、ハーちゃんは一対一の戦いなら得意です」

「まあね」


 まあ、前は体力的にキツかったのが大きいけど。でも、今なら動けるからちゃんと訓練しないとな~。


「はい、話はおしまい。先に進もう。訓練は帰ってからね」


 私も試したい事いろいろやらないとだし。


「じゃあ、次は私の出番だね!」


 と、私の戦闘に触発されたのか、エレオノは両手で頬を叩いて、気合いを入れていた。

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