第108話全員にハモられるだと!?
「でも、皆怪我も無さそうだし良かったよ」
説教タイム終了後、私は戻って来た皆を見回しながら安堵していた。
絶対何て事は無いから心配してたけど皆無事で良かった。後、決して怒られたから話題を変えた訳では無い。
「……ええ、まあ」
「どうかしたの?」
「う~ん。ハーちゃんの作戦のお陰であまりにも一方的でしたから」
「こっちもだよ」
いやいや、アリシアさん、エレオノさん良いことですよね。それ? 何か問題が?
「ハーちゃんの作戦って効率的でエグいですよね」
エレオノ達は作戦も何も無く【霧化】で物理無効のエレオノ。
【飛行】と【結界】でゴブリン程度の遠距離攻撃なら全く意味をなさずほぼ一方的に倒せるアクアのコンビ。
しかも、依頼書通りゴブリンしか居なかった様なのでゴブリンに勝てる要素はまるで無し。
アリシア達は三人だったから依頼書の中で一番ゴブリンの数が多い所に行って貰った。
そしてゴブリンの巣は私達が居たのと同じでどちらも洞窟タイプだったから、私特製の発煙筒を渡しておいた。
だって、ワザワザ相手のフィールドで戦う何て嫌だしね。そんな訳で発煙筒を使う作戦を立てたわけだよ。
方法は簡単、前にも言ったけどゴブリンだって罠を張る。
そんな事を考えないたかがゴブリンと侮った新人冒険者が返り討ちに遇う──が、ゴブリンは自分に罠を張られるとは考えない。
だって自分達は侮られるのが当たり前の弱者だから。
だからこそ、私が渡した発煙筒で巣穴に煙が充満すれば火事だと思って慌てて出て来る。
後はそれを仕留めるだけの簡単なお仕事。
皆ならゴブリン程度一撃だし。何より他に出口が在っても使った時点で煙が流れるから取り零しも無いしね!
この完璧な編成と作戦の何が不満なんだ? 解せん?
「まあ、ハーちゃんですしね」
「そうですね。ご主人様ですし」
「ハクアだもんね!」
「納得いかね~」
「「「何処が?」」」
全員にハモられるだと!?
そんな会話をしながらギルドに依頼の報告を行っていると、結衣ちゃんを見付けたので報告を瑠璃に任せ話し掛ける。
「結衣ちゃん」
「あっ、白亜先輩」
「一人でギルドに来るなんてどうしたの?」
「えっと、フロストさん達が昨日帰って来まして、どうやらカリグは私に構っていられない程、他国に動きがあって動けないそうなんです」
「……詳細は分かる?」
「すいません。フロストさん達も其処までは……まぁ、そんな訳で今の内に出来るだけ強く成れるように、こうしてギルドの依頼を受けようと言う事になりました」
「そっか、じゃあこれなんて良いんじゃない?」
私は掲示板から一枚の依頼書を取り結衣ちゃんに手渡す。
「ザザフロッグの討伐ですか? えっと、うん。場所もわりと近くて良いですね! ありがとうございます。これ受けて来ます」
「直ぐに行くの?」
「いえ。フロストさん達も疲れているでしょうから明後日行こうかと」
「そっか……頑張ってね。諦めちゃ駄目だよ?」
「???はい」
私の言葉に少し首を傾げながらも返事をする結衣ちゃんは、私達に挨拶をして受け付けに行く。すると瑠璃も丁度報告が終わって戻って来たので私達はそのまま帰宅する事にした。
因みに今回のクエストは魔石の売却と依頼料込みで銀貨10枚銅貨15枚。
うん。六件でこれじゃ確かに誰も受けないわ! しかもこれ、ゴブリンの巣にあった物も売ってだからね。
こうして改めてゴブリン退治の人気の無さの原因を理解した私だった。
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翌日、朝食を食べて居るとチャイムの様な音がいきなり鳴り少しビビる私。
「誰か来たみたいですね?」
そう言ってアリシアが例の水晶玉に触れて会話を始める。
そうか、あの水晶って中に居るとああやって報せて来るのか。
水晶越しに相手を確認したアリシアが玄関に行って相手を出迎えると、アリシアと一緒に来たのはデミグスだった。
デミグスは私や皆に一礼してから私に要件を伝える。
「おはようございますハクア様。朝早くから申し訳ございません。我が主が昨日ハクア様の要望の物を競り落とす事に成功し、その品物が今日の朝届きましたので、失礼とは思いましたが朝早くお伺いした次第です」
「えっ、もう」
「はい、就きましては今日これから受け取りに来られますか?」
「うん。行く!」
こうして私達は今日の予定を全てキャンセルしてカーラ邸へ向かうのだった。
ヤベ、楽しみ過ぎる!!
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