第69話おべんきょうパート2開始だね。
「やっぱり終わらないよねー……」
「どうしたんですかご主人様?」
「いや、なんでもない」
図書館は中に食べ物を食べるイートインスペースがあったので、そこを使わせて貰い休憩がてらアリシアと昼食をとる。
「何か分かりましたかご主人様?」
「うん、種族が結構居てびっくりした」
「あぁ~、そうかもしれませんね。私もさっきヘルさんの話を聞いた時は驚きました」
「アリシアも知らなかったの?」
「ええ、かなりの数の種族が存在するのは知っていましたが、あんなに多いとまでは……とはいえ、世界中を旅してる冒険者でさえ、全ての種族と会うのは不可能と言われてますからね」
「そうなんだ」
〈はい、この世界は広いですからね〉
「そんなに広いの?」
『シルフィン:地球の約三倍の大地です』
広いな!?
「そういえば、アクアが妖精種ならご主人様は鬼種という事になるんですか?」
〈そうですね。マスターは現在疫鬼と言う特殊な個体に分類されていますからね〉
「やっぱり、特殊タイプだよね?」
『シルフィン:これからの進化次第ではいろいろ変わりますよ』
フム、進化チャートが欲しい!
『シルフィン:却下!』
チッ!
『シルフィン:私女神なのに舌打ちされた!?』
「私も一つ思ったけど、種族の中にこれモンスターの部類じゃね? と、ってのもいたよね?」
『シルフィン:確かに魔族以外にも、鬼種、妖精種、巨人族、獣種、竜族等にはモンスターの部類もいますね』
「ですね。オーガやドラゴン、サイクロプスなんて強力なモンスターとして有名ですからね」
『シルフィン:まぁ、知恵が無い者はモンスター、知恵があって襲ってくるのは敵です』
「それでいいのか駄女神!?」
『シルフィン:悲しい事ですがしょうがありませんね。人間だけでも争い殺しあいますから種族が違えば尚更です。貴女は生き残る事を優先しなさい』
「まぁ、最初からそのつもりだから良いけどね」
〈ブレませんねマスター〉
まあね!
「そういえば、冒険者って強いの?」
「また、漠然とした質問ですね?」
〈まぁ、マスターがそう仰るのはしょうがないですね。今までの相手が魔族ですから〉
「あぁ~」
〈前にも話をした通り、冒険者のランクは上からSSS、SS、S、A、B、C、D、E、F、Gに分かれていて、
Gランクでステータス平均が10~200位
Fランクで平均200~400位
Eランクで400~700位
Dランクで700~1000位
Cランクで1000~3000位
Bランクで3000~8000位
Aランクで8000~20000位
Sランクで20000~50000位
SSランクで50000~100000位
SSSランクで100000~となっています。CからBに上がれるかどうかでプロとアマに分かれると言われていますね〉
「なるほど、其処でBランクに上がれるかどうかで、実力が試されるんですね」
〈はい、なので冒険者の大半はCランクとなります〉
道理で今まで会った冒険者の実力に開きが明確にあるわけだ。
〈そうですね。まぁ実際はここにスキルが加わるので比較は出来ませんが、一応コレが平均値です〉
因みに邪神とか、魔王って何れくらい?
『シルフィン:そうですね。え~と、過去討伐が~、あっ、あった、ありました。えっと邪神が平均100万で魔王が20万位ですね』
そんなのに向かっていくとか勇者バカなの?
『シルフィン:まぁ勇者の場合、チートスキルとチートステータスが与えられて、その上で、魔王倒さないと帰れないとか言われますからね』
召喚者の召喚って割とやり口、エグいよね?
『シルフィン:……ノーコメントで』
逃げんなよ!
『シルフィン:担当じゃないんです~。私は転生担当ですから!』
役所仕事か!
『シルフィン:ええその通りです!』
うわっ、認めたよこの女!?
〈マスターそろそろ再開しましょう〉
「そうですね。戻りましょうご主人様」
しょうがない。おべんきょうパート2開始だね。次は歴史かな?
〈そうですね。ここに関してはあまり私は分かりませんね〉
「そうなんですか?」
〈私が有している知識はあくまでチュートリアルのものですから〉
なるほど。
『シルフィン:貴女には特に何も教えていないので教えられる部分は教えてあげますよ』
いや、最初から教えろよ!
『シルフィン:普通は私が教える事などしませんよ? 貴女は人間に生まれれば教えて貰える事を教えて貰えないからしょうがなくです』
すいませんね! 元ミニゴブリンで!!
〈落ち着いて下さいマスター〉
「ご主人様、深呼吸です深呼吸」
私が少し荒ぶるとアリシアがどーどーと鎮めてくる。
あーもう、時間勿体無いさっさと読もう!
「そういえば、何で歴史何で調べるんですか?」
「???」
「あっ、その種族と地理を調べる理由は分かるんですけど、歴史なんて調べてどうするのかと」
「あぁ、そういう意味か。……う~ん、この世界って平均的な寿命なんて、種族別でバラバラじゃん? だから人間にとっては唯の御伽噺でも、他の種族にとっては下手したら今もまだ生きてるのがいると思うんだよね?」
「確かにそうかも知れませんね……」
「だから調べて知っておく事は無駄じゃないと思うよ?」
「……はぁ~。考えもしませんでした」
『シルフィン:正しいですね。実際精霊等は命の概念が無い者も居ますから』
「流石ご主人様です」
「後は、力のある精霊の居場所が分かるかも知れないからね。伝説、噂この辺はバカに出来ない」
『シルフィン:確かにあるかも知れませんね』
「私も探します」
「探すなら強風がずっと吹く場所とか、いきなり泉が出来たみたいな感じのでよろしく」
「何でですか?」
「自然の影響が強いって事は精霊が居るからの可能性が高い」
「なるほどです。分かりました」
さってと、早速読むかな?
ふむ、火山なんかはチェックだな。後は……精霊はこんな感じかな? ──次は~賢者に聖女、うわっ、大賢者や拳聖、剣聖、黒の聖女、英雄に勇者か~、盛り過ぎじゃね!?
『シルフィン:それについては普通に謝ります。盛り過ぎました』
うわ~、謝られた。
次はっと、え~と、蠱毒の魔王、不死の王、暴食の王、漆黒の魔獣、煉獄の主こっちも多いな! よく昔の奴はこんなに倒したな!?
『シルフィン:まぁ勇者はチートステータスありますからね。それに全部が全部倒した訳でもなく、封印した者や仲間になった者もいますからね』
仲間になった奴なんているんだ?
『シルフィン:ええ、誰とは言えませんが』
ふーん。そういえば勇者についても少し教えてくれる?
『シルフィン:勇者について?』
そう、例えば今回何ヶ国が召喚したんでしょ? 人数とか教えてよ。
『シルフィン:そうですね詳しくは知りませんが、かなりの数の人間が召喚されたらしいですよ』
そんなに多いの?
『シルフィン:勇者には二つの召喚があります。一つは少ない人数に巨大な力を与える召喚。もう一つは、大人数を呼び出す召喚です』
「その二つは何が違うんですか? 人数が多い方が有利だと思いますけど?」
駄女神のセリフに興味を持ったアリシアが訊ねる。確かにその通りだ。
『シルフィン:確かにそうですが、二つ目の召喚では大きな力はあまり持たされません』
「なら一つ目だけで良いじゃん?」
『シルフィン:呼ぶ者を選べる訳でもありませんから、過去には巨大な力を使い、呼び出した国を支配した者もいますし、あれは酷かったですね。後に魔王とも呼ばれましたし』
「そんなんもいたのか」
『シルフィン:ええ、そして二つ目ですが力が低い分、危険が少ないです』
「でもそれだと魔族の相手は危なくないですか?」
確かに。
『シルフィン:大変気に入りませんが方法があります。それは、一緒に呼ばれた勇者が死ぬ事で残った勇者に力が移ります。そしてそれはある程度、呼び出した人間がコントロール出来ます』
「何その蠱毒の蟲みたいなの?」
「ご主人様何ですかそれ?」
「あぁ、えっと、一つの壺に沢山の毒虫を入れて放置すると、共食い始めて最後の一匹は強力な毒を持つっていう、呪いの類いだよ」
「恐いですね」
『シルフィン:システムの着想はそこかららしいですよ』
最悪だな考えた神。
『シルフィン:同感です』
〈マスターそろそろ時間です〉
マジか! もうそんな時間? ごめん最後に良いか駄女神?
『シルフィン:何ですか?』
答えられないなら良いけど、一般人が付与を行う事が出来るアイテムって在る?
『シルフィン:有りますよ』
じゃあ機人種って機械なの? アンドロイドとの違いは?
『シルフィン:全員がそうとは限りません。アンドロイドとの違いは魂があるかどうかです』
魂?
『シルフィン:はい、同じ個体でも魂が無ければアンドロイド、アンドロイドに魂が付与されていれば機人種です』
魂を付与……。
『シルフィン:……あぁなるほど』
……何だよ。
『シルフィン:お優しい事ですね。それもありますよ。アリスベルなら値段は分かりませんが有るはずです。後は、もう一つが手に入るかどうかですね』
まぁその辺は運だろうけど、その時はまた聞くかも
『シルフィン:良いでしょう。面白いので協力しましょう』
〈何の話ですか〉
今は内緒で。
〈分かりました〉
「そろそろ出ようかアリシア」
「はい、ご主人様」
駄女神もサンキュー!
『シルフィン:どういたしまして』
私達は図書館から出て、帰りにギルドでエレオノに頼まれた周辺のモンスターを記した本を買ってコロの家に帰った。
こんな本……あるの知ってたら最初から欲しかったな。
因みに本の値段は、銀貨20枚でした。
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