第66話『シルフィン:大分ギリギリな発言ですね?』

「でもさ、実際の所ハクアは私達だけであの魔族達に勝てると思う?」

「ボクもハクアにそれ聞いてみたかったかな?」

「どうなんですかご主人様?」

「ふーむ、まぁグロスとカーチスカなら各個撃破に持ち込めたら何とか行けると思う。その代わり、ガダルは今の所どんなに頑張っても無理」

「う~ん、そんな感じ?」

「うん。アリシアとアクアの魔法があれば私でもグロスを削れたから多分平気。カーチスカの方も魔力の糸だっけ? それに捕まらなければ皆、勝機はあったと思うよ」

「そうかな?」

「まぁ、それでもかなりギリギリだったろうけど」

「でも今回コロって言う頼もしい仲間も増えましたし、武器や防具も貰って、スケルトン祭りのお陰で大分レベルも上がりましたよ」


 そう言や私も結構レベル上がったな~。


 〈では、ここら辺で一度全員のステータスをチェックしましょう〉


 そうだね。よろしくヘルさん。


 〈分かりました。では、と、言いたい所ですが少しタイムです〉


 ガクッ! 何、ヘルさん何時の間にこんな技を!


 〈すみません。ですが、アリシアのクラスがMAXになっているので。エレオノにいたっては輪廻も出来ます〉


「えっもう!? この間変えたばっかだよ!」


 〈人形遣いの人形だったとはいえあれも魔族でしたからね。下位のクラスなら当然です〉


「それは確かに先に変えた方が二度手間にならなくて良いですね」


 ふむ確かに、じゃあ、クラリスとイシス今大丈夫?


『クラリス:えぇ、私は大丈夫よ』

『イシス:……私も平気よ』


 あれ? 何かイシス怒ってる?


『イシス:別に怒ってなんてないわよ! なんで私が怒らなきゃいけないの!』


 いや、そう思っただけなんだけど。


『シルフィン:イシスは魔族と戦闘になってから、ずっと貴女の事心配してたんですよ』

『イシス:ちょっ!? へ、変な事言わないでよ! ち、違うから! そんなんじゃないわよ!』


 そっか、心配してくれてありがとイシス。


『イシス:だから違うって言ってるでしょ……うぅ、そんな事よりも輪廻するんでしょ! 早く来なさい!』


 イシスさん尊い。


「アリシア、エレオノ行こう」

「うん」

「はい」

「あっ、ハクアボクも行って良いかな?」

「どうしたの?」

「えっと、前回はハクア達とここでお別れかと思ってサブクラスを選らばなかったけど、これからハクア達と一緒に行くなら必要かと思ったかな」

「OK行こう! 因みにアクアは?」

「面倒!!」


 相変わらず正直な。


 三人と手を重ね目を瞑るといつもの空間に居る。


 まぁ表現の仕方変だけど、実際そうとしか言えないんだよね。


『イシス:来たわね。ハクア先のはシルフィンの妄言だからね! 分かった!』


 お、おう。


 いきなり詰め寄ってくるイシスに若干引きながら返事をする。


『クラリス:フフッ、いらっしゃい皆』


「お久しぶりです。クラリス様イシス様」


 アリシアを筆頭に挨拶を交わしていく。

 そして、ようやくイシスは平常心に戻りエレオノの輪廻を行ってくれた。

 イシスはアリシアの時のようにエレオノの頭に手を置くと、その瞬間エレオノの体が光り、やはりアリシアの時と同様に直ぐに収まる。


「わぁ~! アリシアも言ってたけど凄いよハクア!」

「分かります。身体の奥から力が溢れるような感じですよね」

「そうそう、そんな感じ!」


 そんな凄いんだ?


『クラリス:さて、それじゃあ次は私の番かしら? それで次は何を取ったの?』


「私は予定通り精霊術師になりたいと思います」

「ボクは、この間は断ったけど騎士になろうと思ってます」


 あぁ、また語尾が……。


「私は、軽戦士とか、ウォーリアー、フォートレスになろうとしてたんですけど……」


 とうしたの?


「あっ、えと、なんか今まで無かった吸血騎士ヴァンパイアナイトっていうのが、いきなり増えてたんだよね。何なんだろコレ?」


『クラリス:あら、凄いわねそれ、特殊クラスよ』


 特殊クラス?


『クラリス:ええそう。それは、一部のダンピールがなれるものよ。主の吸血鬼を守る者が吸血騎士ヴァンパイアナイトに、吸血鬼を狩る者が吸血狩りヴァンパイアハンターになるのよ』


「私、別に吸血鬼の主なんて居ないんですけど?」


『クラリス:貴女の場合は、その剣で真祖の力を手に入れたからでしょうね。吸血騎士ヴァンパイアナイトの特徴は、高い攻撃力と敏捷性にあるわね。スキルとしては吸血鬼特有の血液を使った攻撃や、【飛行】のスキル等を覚えるわ』


「そっか、吸血鬼としての私の力……クラリス様、私は吸血騎士ヴァンパイアナイトでお願いします」


『クラリス:良いのかしら? これは人とは違う魔族の力よ。貴女にその力を使っていく覚悟はあるかしら』


「はい!」


『クラリス:分かったわ。じゃあ、精霊術師に騎士、吸血騎士ヴァンパイアナイトで良いのね?』


「「「はい!」」」


 クラリスは皆に確認を取るといつものように手を翳しクラスを変えていく。


『クラリス:フウッ、終わったわ。これからも頑張りなさい』


「「「はい!」」」


『シルフィン:ハクア少し良いかしら?』


 分かった。アリシア達は先に行ってて。


「はい、分かりました」


 私が言うとアリシア達は先に帰っていった。


 それで、何か用なの?


『シルフィン:引き留めて悪かったですね。一つだけ注意しておきたかった事があったので』


 注意? それって私にだけ?


『シルフィン:違いますよ。私が担当した転生者には全員に言っています』


 聖国には気を付けろもしくは近寄るな……とか?


『ティリス:凄いですハクアさん何で分かったんですか!?』

『ブリギット:あぁ、確かに驚いた』


 ……二人共居たんだ!?


『シルフィン:それで私が言おうとした事が何故分かったんですか?』


 まぁ、ハッキリと言うとただの勘だよ。ただし、このタイミングでの話で他の転生者にも言ってるって事は、まぁ国絡みの事だとは思ったけどね。


『シルフィン:それで何故聖国だと? 他にも王都や騎士国というのも聞いた筈ですよ』


 聖国なんて名前なら宗教関連だと思ったからね? 何処の世界でも宗教国家は色んな意味で危ないからね。出来れば関わりたくない。


『シルフィン:大分ギリギリな発言ですね?』


 自覚はある! 反省は無い!


『シルフィン:たちが悪い!』

『約全員:流石』

『シルフィン:まあ良いです。貴女の言う通りこの世界の宗教は危険です。一応は私を信仰しているという事になっていますが実際は名ばかり。立場上、これ以上の事は言えませんが、末端はともかく上の方は信仰心なんて殆んどありませんよ』


 なるほどね思った通りか。超関わりたくない。


『シルフィン:それが良いです』


 サンキュー、じゃあそろそろ行くよ。


『シルフィン:えぇ、頑張りなさい。あのガダルと言う魔族は今の貴女では絶対に勝てませんから』


 わかってる。それじゃあね。


『ほぼ全員:また!』


「……んっ」

「おかえりなさいご主人様」

「何の話してたの?」

「あぁ、実は……」


 私は皆が帰った後の話の内容をアリシア達に話した。


「そうなんだ」

「確かに良くない噂も聞くかな?」

「気を付けた方が良さそうですね」

「うん」


 〈さて、それではステータスの確認に移りましょうか〉


 そうだね。お願いヘルさん。


 そして私達はステータスの確認に移るのだった。


 あっ、把握面倒そう。

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