第65話 はい、しゅーりょー本日ここまで。

「はぁ、確かに今回魔族が祭りで暴れた原因の一部・・に私達が関わっているのは認めるよ。でも、それはあくまで一部の話しだ。それで、スケルトン祭りに魔族を引き入れて・・・・・多くの命を失う原因を作ったギルドは私達に何をしてくれるの?」

「なっ? それではまるで私達が魔族と共謀していたようではないか!?」

「当然だよね? だって、魔族を祭りに参加させたのはギルドだし、それを見付けられなかったのもギルド、私達は巻き込まれた被害者でむしろ騒動を押さえた側、加害者はそっちだよ?」

「勝手なことをそもそも君達が居なければ魔族は来なかった筈だ!」


 おっと、掛かった掛かった。


「貴方!」

「アリシア、良いよ」

「でもご主人様!」

「大丈夫。私達が居なければって言ったよね?」

「言ったがそれがどうした!」

「ねえ、あの魔族が入れ替わってたチーム、何時からポイント動いてなかった?」

「何を言って、あっ!」

「私達が参加したのはかなり後の方だよ。それより前は本格的に参加する意思すら無かった。と、言うよりこの村に来たの自体祭りの後半だよ」


 まぁ本当は参加するつもりだったけど。そこまで言う必要ないよね? 交渉は言い切るのが大事。


「今回事が起こったのは決勝、しかも最初にやられたのは私達ですらない。それで? 何で私達だけが狙いって事になるのかな? むしろたまたま参加してた私達こそついでだった。そう考えた方が自然な考えだと思うけど?

 なのにあんたは今奴等の目的が私だったと言いきった。それはおかしくないか。今この場では誰がどう聞いても、あんたと魔族が共謀していたから目的を知っているようにも聞こえるよ」

「そんな物は結果論だ!」

「それはそっちも同じだ。むしろ傍から聞けば正当性はこちらにある。そして最初に言い掛かりを付けてきたのは勿論そっちだったよね?」

「くっ!」

「報酬は要らない。その代わり、エレオノのクリムゾンローズは貰って行く」

「なっ! そんな事が許されると──」

「思ってるよ。むしろ、最大限の譲歩だ。それとも、ここのギルドは魔族を引き入れているってウワサとか流してみるか? 実例があるからあっという間に広がると思うが、そしたらどうなるのか試そうか?」


 私がそう挑発的に笑うと、今にも歯軋りしそうな顔で悔しそうにしている。


「くっ! 分かった。クリムゾンローズは君達に贈ろう……」

「贈ろう? 違うよね。まだ自分の立場が分かってない?」

「ぐっ! ……贈らせてくれ!」

「だってさ、良かったねエレオノ」

「う、うん。ありがとハクア」


 さて、欲しい物は手に入ったしもう用ないかな?


「ハクアってブチ切れると冷静に追い詰めてくるから恐いね」

「うん、怒らせたらダメなタイプかな?」

「最恐ゴブ」

「私も言われてみたいかもです」


 前半二人は失礼な感想だな! アクアは絶対漢字違うよね!? そしてアリシアさんは何処に行くの!?


 〈責任は取ってあげて下さい〉


 私何もしてないですけど!!


「行こ、皆」

「「「は~い」」」


 こうして私達はギルド長を脅……平和的に話し合いをしてクリムゾンローズを手にいれた。

 すると、何故か一緒にライアスが退出して私達に付いてきた。


「何故に一緒?」

「お前、あの空気の中あんな所居れるかよ!」

「???」

「はぁ~、まぁ良い。良かったらメシ一緒に食おうぜ」

「え〜……」

「……奢るぞ」

「行く!」

「ご主人様……」


 止めてそんな目で見ないで!

 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

「しかし嬢ちゃんよ。あの状況でよく脅すなんて方法思い付いたな?」

「脅すなんて人聞きの悪い。お互いに話し合った末、双方の利益を取った結果だよ?」

「うわ、すげぇいい笑顔。たち悪ぃ」

「それがハクアだから」

「そもそも私達に利益無いしね今回」

「あん? ちゃんと剣ゲットしてんじゃねぇか」

「あのまま普通に決勝戦が進んでいけば、逆転の手なんて無さそうだったし私達が優勝してたから当然。まぁ、多分ギルドというかあのオークは元からあの剣渡す予定無かったかもだけどね」

「えっ? そうなの?」

「そうなんですか!?」

「どうしてそう思ったのかな? ハクア」

「ん~、だってさ、あの一位のチーム」

「……ガストな」


 呆れながら言われた!? し、知ってたし。


「ガストが不正しても失格にするとか脅すだけで、実際やる気は無さそうだったじゃん?」

「まぁ、確かにな」

「だから、ガストのチームが優勝してたらいちゃもん付けて、賞品は次回に持ち越しする予定だったんじゃないかな?」

「……マジかよ」

「私達が勝った場合は?」

「それも同じだよ。最後に暴露でノーコンテストってね」

「「「……うわ〜」」」

「まぁ、憶測の域は出ないけどね」


 私が最後にそう締め括るとライアスは「いや、ここのギルド長ならあり得る」と頷いていた。


「本当なら最低ですねあのオーク」

「改めてありがとねハクア。お陰で取られないで済んだよ」


 うん。この笑顔が見たかった。


「さて、じゃあ今度は嬢ちゃん達の事教えてくれるか?」

「……ナンパか」

「違げぇよ変な事言うな! ほら、そっちの嬢ちゃん達が警戒してんだろ」

「冗談、アリシア教えて上げて」

「良いんですか?」

「むしろ教えないと敵になるからね」

「……本当に物分かりの良い嬢ちゃんだ」


 私とライアスの会話を聞きアリシアが知られても良い部分のみ話していく。


「そう言う経緯で私達はここにいます」

「なるほどな、それでお前らアリスベルに行くって言ってたが具体的にはどうすんだ?」

「まずは、さっきも言ったけどここの鉱山のダンジョン潜ってみる。祭りの間に一回行ったけどその時より敵弱いんでしょ?」

「あぁ確かにな、祭り直後は弱い筈だぜ」

「うん、だから実力付けるためにも攻略したいんだよね? いろいろ試したい事もあるし」

「まぁ多少アブネェが嬢ちゃん達の実力なら大丈夫だろうな」

「私は賛成です。今回の事でもっと実力を付けたいと思いましたから」

「私も!」

「ボクも頑張るかな!」

「ゴブ!」


 〈私も賛成です〉


 うん、異論なくて良かった。


「アリスベルでは何か予定あんのか?」

「あるよ。一つ目はここと同じくダンジョンに入る事、二つ目は情勢を調べる事、三つ目は本だね。後はアリスベルで買い物かな?」

「一つ目以外はよく分からん予定だな?」

「情勢を調べるのは、さっきのハゲ未満が最後に聖国とか騎士国とか言ってた事について調べたい。本はこの世界における私の知識の補填だね。買い物は装備もそうだけど、どんなアイテムが有るのかとかいろいろ調べたい」

「小さいけどこの村にも図書館あるからそこに行けば良いかな」

「えっ? 凄、私の村には無かったのに!?」

「一応、鍛冶で潤ってるからかな?」

「うぅ~! 何か負けた気分……」

「なるほどな、そういう事なら二つ目は少しだが協力出来るぜ」

「ほう」

「普通ならあり得ない事何だが、聖国と王都の二か国で勇者の召喚が行われたらしい。他の小さな国でも何人か召喚されたらしいしな」

「勇者……ね」


 ポコポコ喚びすぎじゃないの勇者?


『シルフィン:私もそう思います』


 担当じゃないの?


『シルフィン:勇者召喚になると別の女神が担当ですね。しかも最近は魔族が活発に動いているせいで、なかなか召喚が多いようです』


 その内、勇者のせいで滅ぶんじゃない? そんな数打ちゃ当たる理論だと?


『シルフィン:数が多い分質も悪いようです』


 どうなのそれ? まぁ私には関係無いか。無いよね? あれもしかしなくても私、勇者からしたら討伐対象?


『シルフィン:強く生きて下さい』


「で、何で勇者が増えるとギルドが大変なの?」

「あっ、私も思った」

「まぁ、嬢ちゃん以外は知ってると思うが、この世界には複数の魔王が居るんだ」


 えっ? 魔王も量産型?


「んでまぁ、それを倒しちまうと国同士のパワーバランスが崩れるんだとよ。下手すりゃ戦争もあり得る」

「共通の敵が居るのに小競合いとか」


 バカなの?


「まっ言いたい事は分かるぜ。でもまあ、お偉方にはお偉方の考えがあるのさ」

「とりあえず分かった。ありがとうライアス」

「おう。俺もアリスベルが拠点だからこれから帰るが、その辺の情勢調べといてやるよ」

「良いの?」

「ああ、上手くすれば俺も話に乗れるからな! まあ、相互利益だ」

「相互利益ね? サンキュ、ライアス」


 私達は食事と話を終えライアスと別れ一度コロの家に戻り。今後についてもっと詳しく話し始めた。


「あっ、そうでしたご主人様。そう言えば、カーチスカが操っていた魔族の腕を取っておきました」


 そう言ってアリシアは腕を取り出す。


 ナイス! 今締めに入ってた所だけど良いや。


 ▶【喰吸】のスキルが発動しました。

【MP自動回復LV.1新】を習得しました。

【魔術LV.1新】を習得しました。

【結界LV.1新】を習得しました。


 はい、しゅーりょー本日ここまで。


『シルフィン:締めかたが雑!?』

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