第21話なにかきこえた

 予想外の連戦をした私達は連戦の傷を癒すため少しの間小休止する。


 そういえば、私達が最初に倒したゴブリンってどうしたんだろう?


 〈あのゴブリンならアリシアが治療の最中に魔石を取り出しましたよ〉


「ご主人様のスキルの事があるのにどうしようかとも思ったんですが、残しておくとあの男に奪われるかもと思って……」


 相当頭に来てるな。そして私もそう思うのだからどうしようも無い。


「だいじょうぶ。いいはんだん」


 そんな私の言葉をアリシアは明らかにホッとしていた。


 まぁ、私もダンケルは全く信用出来ないしね。


 〈傷を治して貰って居る間、何もしないのも勿体無いのでステータスの確認しますか?〉


 うん、そうしよっか。とっ、その前に魔石とスキル回収しなくちゃ。


 〈では表示します〉


 名前:ハクア

 レベル:1→3

 性別:女

 種族:パラライズミニゴブリン

 HP:190→215

 MP:90→110

 物攻:23→35+5

 物防:23→35+10

 魔攻:28→38

 魔防:28→38

 敏捷:55→75

 知恵:180→190

 器用:120→130

 運 :40→50

 武器:支給ナイフ

 副武器:銅のナイフ

 防具:布の服

 アクセ:ステイシアの腕輪

 魔法:風魔法LV.3

 魔法名:鎌鼬

 称号:転生者、同族殺し、同族喰らい

 強敵打破ジャイアントキリング

 スキル:戦闘系スキル

【マヒ爪攻撃LV.4→LV.5】

【マヒ噛みつきLV.1】

【麻痺崩拳LV.1→.LV2】

 技能系スキル

【鑑定士LV.7】【集中LV.4】

【野生LV.8→LV.MAX】→【直感LV.1(新)】

【罠師LV.4】【跳躍LV.1】

【会心LV.2→LV.3】【見切りLV.2→LV.5】

 耐性系スキル

【マヒ無効】【毒耐性LV.7】→【毒無効(新)】

【痛覚軽減LV.8】

 ステータスUP系スキル:

【剛力LV.3】【堅牢LV.3】

 スキル補助系

【魔法の片鱗LV.2→LV.3】

【魔法のコツLV.2→LV.3】【武器のコツLV.6】

【風魔法のコツLV.1】

 攻撃ダメージUP系

【背後攻撃LV.7】【急所攻撃LV.4→LV.6】

【ゴブリンキラー】【格闘LV.3】

 属性スキル

【破壊LV.1】【マヒ附与LV.1】

【麻痺毒LV.1(新)】

 補助、その他スキル

【喰吸LV.6】【言語】【奴隷術】

【魔物調教LV.7→LV.8】【危機察知LV.1】


 新しく魔法名の項目がスキルも【直感】と【毒無効】が増えてる。


 〈最近は魔法も増えましたからね。後、レベルMAX迄行ったスキルは名前だけにしました。【直感】は【野生】の上位スキルですね【野生】とは違い罠や気配が分かるようになります〉


 へ~、今迄は気が付くレベルだったけど、そこに居るって気配で分かるようになるのか【毒無効】も毒持ち相手なら楽に戦えるようになるのは大きい。


 〈次はアクアです〉


 名前:アクア

 レベル:1→3

 性別:女

 種族:ミニゴブリンプリースト

 HP:160→180

 MP:190→205

 物攻:11→14+2

 物防:10→14

 魔攻:39→51+4

 魔防:39→51

 敏捷:22→32

 知恵:140→160

 器用:100→110

 運 :35→40

 武器:支給杖

 防具:布の服

 アクセ:無し

 魔法:

 風魔法LV.4、治療魔法LV.3、光魔法LV.1

 強化魔法LV.1→LV.2

 魔法名:シューティングレイ、ウインドブラスト

 ウインドカッター、ヒール、ストログ

 称号:眷属、同族殺し

 強敵打破ジャイアントキリング

 スキル:戦闘系スキル

【爪攻撃LV.3】【噛みつきLV.2】

 技能系スキル

【野生LV.6→LV.8】【罠師LV.4】

 ステータスUP系スキル:

【剛力LV.2】【堅牢LV.2→LV.3】

【魔術LV.2(新)】【魔抗LV.2(新)】

 攻撃ダメージUP系

【背後攻撃LV.4】

【ゴブリンキラーLV.3→LV.5】

 スキル補助系

【癒しの天才LV.5→LV.6】

【癒しの技巧LV.5→LV.6】

【杖のコツLV.3→LV.4】【棍棒のコツLV.3】

【風魔法の片鱗LV.1(新)】【風魔法のコツLV.1(新)】

 補助、その他スキル

【言語LV.6→LV.8】【言語理解】


「まほ、の、すきる、やたっゴブ」


 〈はい【風魔法のコツ】と【魔法の片鱗】【魔術】【魔抗】が増えています。その他はスキルレベルが上がっていますね【魔術】【魔抗】はそれぞれ【剛力】【堅牢】の魔法版です〉


 新しいスキルが結構増えて、魔法系のスキルは結構上がってきいた。それにステータスup系は正直羨ましい。


 〈最後にアリシアです〉


 名前:アリシア・アールヴ

 レベル:9→10

 性別:女

 種族:エルフ

 クラス:なし

 HP:290→310

 MP:250→270

 物攻:37→42+6

 物防:35→40

 魔攻:85→92

 魔防:85→92

 敏捷:46→50

 知恵:180→200

 器用:93→100

 運 :9→10

 武器:支給弓

 副武器:銅のナイフ

 防具:布の服

 アクセ:無し

 魔法:風魔法LV.5、土魔法LV.3

 火魔法LV.6→LV.7、水魔法LV.2、除去魔法

 魔法名:ウインドブラスト、ウインドカッター

 ファイアブラスト、ファイアアロー、ウォーターウォール

 アースクリエイト、クオリア

 称号:奴隷、王家の血筋、強敵打破ジャイアントキリング

 スキル:技能系スキル

【薬草調合LV.5】【集中LV.6】

【料理LV.4→LV.6】【野生LV.2→LV.3】

 ステータスUP系スキル:

【剛力LV.1→LV.2】【堅牢LV.1→LV.2】

 スキル補助系

【魔法の天才LV.5】【魔法の技巧LV.5】

【弓のコツLV.1】

 攻撃ダメージUP系【魔力覚醒】

 補助、その他スキル【精霊契約】【速攻魔法】


「……私は新しくスキル覚えられませんでした」


 〈それが普通です。しかしアリシアはレベルが10になったのでクラスが取得出来る様になります〉


「けっきょく、クラスってなんになるの?」


「私もよく分からないです」


 てへっ。と言う感じに困るアリシアは可愛いと思います!


 〈前にも言った通り、クラスは個人の能力をクラスによって上げる事が出来ます〉


クラスには固有のスキルもあり、クラスの熟練度を上げマスターする事で、幾つかのスキルを他のクラスに変えても使えるようになり、複数のクラスをマスターすると、更に上位のクラスになる事も出来るらしい。


 それもゲームと似てるな。これは全部のクラスをコンプすれば最強に──。


 〈下位のクラスならまだしも、上位のクラスは熟練度が上がりづらく。一部のクラスは称号等取得条件が色々あります。個人の才能で向き不向きが顕著に出ますし、クラスの上がり易さも違います。とりあえず依頼を終えて帰ったら、詳しくやり方などを教えます〉


 よろしく。う~ん、色々考えないとだな。


「帰ったら相談にのってくださいね?」


 ステータスの確認が終わると、説明を受けている間に治療は終わっていたのでゴブリンの巣へと移動を開始する。


 巣の方向はこっちだよね?


 〈はい、前方に見える洞窟です〉


 見えて来た洞窟に警戒しながら近付いて行く。周りに生き物の気配は無いようだ。私が二人を見ると二人が頷く。


 〈私が確認した限りでもモンスターは見当たりません〉


 ヘルさんのお墨付きも貰った私達は、周囲に気を配りながら巣の中へと入って行く。


「洞窟なだけあって暗いですね。こう暗いと奇襲が少し怖いです」


「たしかに、ここまでくらいとぎゃくに、みつかるかのうせいがあっても、あかるいほうがいいかも」


 アリシアとそんな会話をしていると「ライティ、ン、グ」とアクアが呟き周囲に光が満ちる。


「アクアのまほう?」


「ゴブ!」


 いつの間にこんな便利な魔法作ったんだろう? でも偉い!! 流石ウチの子。感謝とご褒美の意味を込めてアリシアと二人で頭を撫でると、嬉しそうにしていた。尊い。


 アクアのお陰で探索スピードが上がり、警戒しつつも確実に探索をこなしていく。


「──っ」


「なにかきこえた?」


「はい!」


「ゴブ」


 奥の方の道から誰かの声のようなものが聞こえた。

 私達は戦闘が何時起こってもいいよう構えながら声の方へ進んでいく。

 最後の部屋の入り口に着き、中を軽く覗くもゴブリンの姿は無し、どうやら本当にさっきので全部だったようだ。


「──」


 部屋の隅から微かな息遣いが聴こえ、急いでそこまで駆け付ける。ひと言で言えば酷い状態だった。


 年の頃は15~6位の女の子で、髪も服もボロボロにされ至るところにすり傷や打撲、骨折をしていた。そしてその目は何も映さず私達を見ても虚ろなままだった。


「……ひどいね」


「この足の傷の腫れ上がり方、まさか毒!? 毒は私が、アクアは傷の治療を! クオリア」


「ゴブ!」


 アリシアが除去魔法のクオリアで毒を消し、アクアが体の傷を癒していく。その間に私は他の場所に有った布を拾い、女の子の肌を隠した。

 そのまま周りを見回すと、もう一人の死体が目につきその子も布で隠してあげた。


「治療は終わりましたけど意識はまだ戻らないようです。どうしましょう?」


「たぶん、ちかくにあるしゅうらくのこだろうから、つれていこう」


 こうして私達はゴブリンの巣の捜索を終えて、依頼を出した近くの集落に立ち寄った。


「こんな何も無い集落にようこそ。どうかしましたか?」


「ギルドでいらいうけて、ゴブリンぜんぶたおした」


「あ、貴女方が……ですか?」


「そう」


 私達を見回した男がメンバーを見て疑わしそうに聞いてくる。


「どうした?」


「あ、長、実は」


 集落の青年が長と呼ばれたおっさんに事情を説明している。


「そういう事なら青年団を連れて見て来てくれ」


「はい」


 最初に話していた青年が長の指示で駆けていく、そして長は私達の方へと振り向くと済まなそうな顔で話し掛けてくる。


「悪いな近くの村で依頼の不備があったらしくてな。こっちにとっても切実な問題なんだ」


「だからって!」


「いいよ。アリシア」


 私はアリシアを制し長と呼ばれたおっさんを擁護する。


「とうぜんのはんだん。むしろ、それをしっているのにかくにんもしないほうがおかしい」


「そう言ってくれるとこちらも助かる。詳しく聞いても良いか? それと若い娘が居なかったか?」


「このこ、みたことある?」


「その背負っている娘か? いや、無いな、その娘どうしたんだ? それにこっちの質問も──」


「この集落の人間じゃないんで──」


 おっさんの言葉に驚くアリシアの言葉を遮って私はおっさんの質問に答える。


「ここにくるとちゅう、たおれていたからたすけた。それと、すのなかでひとりなくなってた」


「そう──か、それなら話を聞くついでに俺の家に寝かせて置こう」


 その言葉に甘え、私達は長の家へと付いていき女の子を布団に寝かせ、ゴブリンとの戦闘についてすべて話した。


「長! ゴブリンの巣はもぬけの殻だったぜ! 一応周囲も見て回ったけど足あとひとつ無いそれと──」


「いや、良い。彼女らから聞いた。ご苦労」


「ああ」


「聞いた通りだ。この度は依頼を達成してくれてありがとう。心の底から礼を言わせてもらう」


 頭を下げ心の底から私達への感謝を示すおっさん。


「あたまをあげていい、わたしたちはしごとだった。それに──けっきょくまにあわなかった」


「そうか、君が謝る必要はないこちらこそありがとう。それで、君達はこれからどうするんだ? ここに泊まりたいと言うなら場所は用意するが?」


 少し考えた私は気になることもあるのでその申し出を断る。


「ギルドにほうこくするためかえる」


「わかった。あの娘はまだ目覚めていないがどうする?」


「つれていく。そのほうがあんぜん」


「最近はあまり見かけないモンスターも出る。道中気を付けてくれ」


「ありがとう」


 仕事の報告を終えた私達は長に見送られ集落を後にする。そして私達の監視をしているダンケルを、ヘルさんに探して貰った。


 〈彼処の木にいます〉


「ダンケル」


「ちっ、何か用か」


「いらいのしごとはおわった。さきにかえっていて」


「お前に指図される謂れはない」


「ほうこくは、はやくするべき。それにこれいじょうは、こちらもみはられるどうりはない、つづけるならあんたはてきだ」


 私の敵意を感じたのかダンケルはイラ付きながらこちらを睨み付ける。


「ちっ、せいぜい油断して帰り道で死なないようにな」


「くっ! 何処までもバカにして」


 アリシアが怒る気持ちも分からなくないけどね。取り敢えず早く休みたいのに泊まるのを断った理由を片付ける。


「おとこはいなくなったよ」


 私がそう言って振り向くと、アリシアに背負われた女の子が体を揺らした。


「貴女起きていたんですか?」


 少しビックリしながらアリシアは女の子を下ろしてそう質問する。


「だいじょうぶ。ゴブリンはぜんぶたおした」


 私のその言葉に女の子は声を殺しながらすすり泣いた。それをアリシアが見て優しく抱きしめる。


 さて、どうなるかな?


「はなし、できる?」


 女の子は動かず、アリシアは女の子を優しく抱きしめて頭を撫で続ける。


「わ、私は何日か前に、家に帰ったらいきなり後から殴られて、それで、それで、き、気が付いたら目の前にっ──」


「もういいです。もう話さないでいいです。ご主人様!!」


「大丈夫です。私は殴られたりしてただけだから」


「えっ?」


「きいても?」


 私の問い掛けにコクリと頷くと、意を決したように女の子は自分に起きたことを話し始めた。


「はい。私と一緒にいた人は他のゴブリン達に奥に連れられていって、でも、私の方に来たリーダーみたいなゴブリンは少し違って、殴ったり、蹴ったりされただけでした。私、何度も悲鳴聴こえてたのに……それなのに、何も出来なくて……」


 私は女の子の頭を撫で。


「うん。ツラいのにはなしてくれてありがとう。ごめんね」


「ひっぐ、うっく、い、いえ、私も……助けてくれてありがとう。何回も死のうと思ったけど動けなくなるまで痛めつけられて。それで、その、もう一人の女の人は──」


 私は首を振る。


「そんな! そんなことって」


「貴女のせいじゃありません。だから自分を責めないで」


「違います! 違っ! だって、私の父親はギルド長で本当ならもっと早く」


「ゴブリンのいらいは、だれもうけたがらないからしかたない」


 私は慰めながらもこの子の言わんとする事を考える。


 たしかに自分を責めたくなる気持ちは分からなくもない。

 けど、やっぱり仕方の無い事だと思う。


 私達は女の子が泣き止むまでゆっくりと待ち。

 エルム村まで帰るのだった。

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