第3話

子供のころ、パパによく殴られた。

パパがとてもこわかった。

床を引きずり回されたこともあった。

掃除機の真似されておどされて、とてもこわかった。

だから、たぶん、そのせいでぼくはアタマ少し悪くなったと思う。

あんなにたたかなくてもよかったのに…。

きっと、ぼくが掃除機がダメなのはそのときからだ…。






でも、そのおかげなのか、ぼくはトイレはすぐに覚えた。

覚えとかないと、また引きずり回されるから。

覚えておいてほんとよかったと思う。

けど、今ではもう歳なのか、ときどき、ちびってしまうけど…。




みんな!、ちびるの笑うな!

だって、歳とともにそうなるんだもん…。

うんちが近い。









つめをとぐのがぼくの仕事のひとつだけれど

パパは、それが好きではなかったみたいだ。

だからカベに張られたじゅうたんで控え目に少しといでた。

つめとぎ板も昔に買ってもらったけれどやりかたがよくわからずじまいで。

教えてもらったんだけれど。

これは、ごめんなさい…。





いつのことかずいぶん前だと思う。

3日くらい、家の外で生活したことがある、あまりおぼえていないのだけれど。

迷子になったんだ。学校にりさを迎えに行くじいちゃんの車から

飛び出してしまった。

じいちゃんは、ぼくがブレーキの下にいたからブレーキを踏まずに

事故してしまった。

ぼくを踏んづけてくれてもよかったのに、と思う…。

事故よりもぼくのからだを優先してくれた…。

あの時、ぼくをりさに会わせたくて車に載せてってくれたんだ。

ごめんね、じいちゃん…。






外に飛び出してから…、

パパやママやみんなが何度も呼びに来てくれてたけど

もう少し外で遊んでいたかった。

近くの夫婦がママに電話してからママが迎えに来てくれた。

これは、とてもうれしかった!

なにも食べていなくてきれいなお水ものんでなかったし…。






ママたちがぼくの捜索チラシを近所のおうちに

配ってくれていたのも知っているよ。

パパがしきりに配っていてくれたことも、ママが作ってくれてたチラシを…。

ママやパパが、さんま、を焼いてくれて草むらに置いてくれてたことも…。












あと…。

実は、パパとはあまり遊んだ記憶がなくて。

いつもおうちで遊んでくれたのは、ほとんどママ。




だから、ママのにおいが大好き。

髪の毛のにおいが好きでぼくも全身こういう匂いになれたらな、とおもってた。

いつもママのあたまに突っ込んでにおいをかいで、んで、おこられてた。

でもいつか、ぼくもきっと、そうなれるとおもってたんだ。











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