第4話

りさやりゅうがTOKYOというところに行ってから

ずいぶんとおうちも淋しくなった。

TOKYO、っていいところなのかな?

あんまりおうちに帰ってこなくなった。








ぼくは外の世界には、あまり、というかほとんど出たことがなかった。

興味はとてもあったけど、すこし、いやとても怖かった。

けれど玄関のまわりを少し歩くだけでも世界観が変わったよ。






ぼくは、おうちの中が大好きだけど

外は、空気やにおいがぜんぜんちがうんだね。

きっとTOKYOもそうなのかな…。







こないだ、実はね、パパがぼくを外に少し出してくれたんだ…。

なんでだろうね。その時、ずっと玄関から見守ってくれてた。

けど、半径10メートル以内!

ぼくは、怖くてそれ以上はいけなかったので…。

もっと行けば良かったな!今思えば。








りさ、りゅうがいなくなって

みんなをいじめることもできなくなった。

りゅうをガジガジしたり、ケンカしたり、トイレ、お風呂襲撃もできなくなった。

りさが寝ているおふとんへのもぐりこみ作戦もできなくなった。













ほんとは、お昼に誰もいないのは、結構さびしかった。

でも寝てると、あっと言うまにすぐに夕方になっていたので

あまり気にはならないよ、うん。







夜にママやパパが帰ってくると、やっぱりうれしい!

しばらくは、みんなの足にまとわりついてしまう、だって猫なので。

でも最近は、パパやママの帰り遅いとき

ぼくは、おむかえ出来なくなってきた…。

なんでだろう。

でも、さぼってる、わけではないよ!











それと、

パパのだっこはうれしいけれどたばこのにおいがくさくてとてもいやだ。

あとで毛繕いをするのがたいへんだからパパのだっこチューは正直やめてほしい。

それと、ぎゅーしながらチュー、もいつか骨が折れると思うので怖いからやめてほしい。






ぼくも年を取ってずいぶん痩せてきたけれど

毛のかたまりは、やっぱり取ってほしい。

自分で取るの、もう限界っぽいかも…。






(ここから少しパパの声。

こないだ、パパがぼくをだっこ中、つぶやいてたのを聞いたんだ…。)













トム、今までいろいろすまんかったな。




ずっとお外に出さずにおうちの中で過ごさせて。

(それは、全然ダイジョウブ!)





小さいとき、アタマ、たたいてごめんな。

(それは、正直やめてほしかった)





ひきずりまわしてごめんな。

(これも正直堪忍してほしかった)





掃除機で脅かしてごめんな。

(これは絶対、やめてほしかった)





すまんことしたと思う。

毛が長いのに、ブラシこまめにしてあげなくてごめんな。

(今からでも遅くないと思うけど…)





いっぱい、謝ることあるけれど

トムは、怒らないね。怒っているのかもしれないけれど。

(わりと、怒ってる、でもすぐ忘れてあげる…)





いつものように朝は、パパを見ているね。

パパが帰ってきたら頑張って、ニャァ、おかえり、と言うね。、ありがとう…。

(気づいたらそうしてるので…、自分でもよくわからないよ)















こないだね、ちょー、しんどい目にあったよ。

うんち、が出なくて…。



もう、うんちがでないと食べる気もおこらないし

動けない、2階にもあがれない…。

そして、ニャァ、も言えない…。

たぶんもう、このままなのかな、と思った…。





そしたら、ママとパパが病院へ連れて行ってくれた。

注射と点滴、それにお医者さんがつまっているうんちを

取り出してくれた!おーーー!




一気に空が明るくなった!






これでぼくは、また元気になった。

ママは、鳴きすぎ!と怒る位に声も出るようになった。





いつものソファの寝床にもジャンプできるようになった。







ぼくは、もう16才、人間でいうと80才だ。

家族の中でいちばんの年長者だぞ! みんなリスペクトしなさい!










あー、でもね、毛づくろいするのもつかれてきた…。

つめをとぐのもしんどくなってきた…。


パパがんばってブラッシングしてね、おねがいします。







こないだ、バテてたとき、おひるもクーラーいれてくれてありがとう!

すずしかったよん!

(でも少し元気になるともとどおり暑かったよー、クーラー切られちゃった)

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