日々是好日

シグマ

野を歩む


 一歩、また一歩。


 歩を進める度に草花の薫りが鼻をつく。


 暖かな陽気に包まれて、そよ風が心地よい季節。


 思わず伸びをしてしまうと、人の視線を浴びてしまう。されども気に留めることも無く、更に歩を進めて行く。


 見知った顔があるので近づくと、こちらに気付き、互いに歩を止める。


 暫しの、やり取りを終えると別れを告げた。


 お気に入りのベンチにたどり着き、飛び乗ったが最後。うとうとしてしまい眠りに落ちてしまう。


 日が傾き始めた頃、目を覚ました私は、再び歩を進める。


 時間を無駄にしてしまったことに一抹の後悔をしつつも、欲望には抗えないので仕方がない。


 お腹の虫に誘われるように、馴染みの場所でお腹を満たし、満足した所で帰路につく。


 往路と別の道を通り、夕暮れ時を向かえた町は異なる顔を見せる。


 人通りが多くなり、自由な往来は難しいが自分には問題が無い。


 足の間をすり抜け、歩を進める。


 揚げ物の匂いが鼻をつき、再びお腹が鳴るので、自然と足取りは早くなる。


 家にたどり着くやいなや、ご飯を要求するのだ。


「ニャー」


 こうして我輩の一日は終わるのであった。

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