第59話 カービィ30周年おめでとう!


 1992年とは。

 第2土曜日は学校が休みとなり、首里城が復元され、きんさんぎんさんがブームとなり、Jリーグが開幕し、伊集院静さんが『受け月』で直木賞を受賞し、映画『ボディガード』が公開され、ドラマ『ずっとあなたが好きだった』が放映し、サザンオールスターズが「涙のキッス」をリリースし、『クレヨンしんちゃん』のアニメ放送がスタートして、TRFやオアシズやココリコが結成して、ネイマールと霜降り明星のせいやさんが生まれた年である。ついでにいうと、私の誕生年でもある。


 そして、4月27日に、『星のカービィ』が発売された年でもあった。

 カービィ、30周年おめでとう!


 だが、子供の頃の私は、カービィとは馴染みのない生活を送っていた。ゲームよりも本が好きだったというのもある。

 また、アニメも放送されていたが、当時はCGが苦手で、唯一のCGキャラのデデデ大王が怖くて見れなかった。今思うと、もったいなく感じる。


 そんな私が、カービィに興味を持ったのは、大学生の頃だった。確か、自分は異形頭や仮面が好きということを意識して、じゃあどんな異形頭や仮面のキャラがいるだろうかとネットで色々調べていたら、メタナイトを見つけた。そもそも、メタナイトのことをその時知ったわけではなく、先述したアニメや弟たちが遊んでいた『大乱闘スマッシュブラザーズX』で使っている時に見かけたくらいで、その時はあまり気にならなかった。

 しかし、実はあれが仮面だということを知って、とんでもない衝撃を受けた。アニメやスマブラでは、あの仮面が割れるシーンがないので、ああいう顔のキャラだと勘違いしていたのだ。


 仮面だと知ってみると、滅茶苦茶かっこよく感じてくる。刀使用キャラが元々好きだったのと、騎士道を重んじる性格だったのも非常に刺さった。また、仮面が割れて見えた顔がカービィにそっくりなのに、メタナイトとの関係はいまだ不明というのにも惹かれた。

 そんなに知らなかったカービィについて色々調べていく内に、私と同じ年に生まれたことを知った。単純なことに、それだけでカービィのことを身近に感じて、ますます興味を持ち、好きになっていった。


 カービィのゲームは、私が思っているよりも奥行きがあるものだということを知った。ぽよぽよしていて、とても可愛らしいカービィやワドルティと言ったキャラクターたちの一方で、「みんなのトラウマ」と称されるような、恐ろしい展開や敵が登場したり、デデデ大王やメタナイトのように、一見敵のようで実は……というような展開があったりと、ストーリーも非常に魅力的だ。

 カービィの生みの親は、スマブラのディレクターでも知られる桜井さんだが、その桜井さんから引き継ぐ形でカービィのゲームを作っている熊崎さんの紡ぐ物語も、桜井さんとは違う色がある。既存のキャラクターへの深堀りに加えて、大人も涙してしまうような、感動が繰り広げられる。カービィを愛している人にしか作れないような小ネタも素晴らしい。


 ただ、ここまで語っておいて何なのだが、私はカービィのゲームをほとんどやったことがない。ちゃんと挑戦してみたのは、『星のカービィ ロボボプラネット』だけだが、難易度高めのボスラッシュで挫折してしまった。ゲームの腕が無さ過ぎる自分が情けない。

 そんな私がカービィに貢ぐのは、グッズが中心である。大学生の時、バイトをして自分の自由なお金を手にした頃は、ガチャガチャ、1番くじ、ぬいぐるみ、UFOキャッチャーなどなど、色々買い集めた。ブランケットやコップ、マグカップやハンドタオルなどは今も使っている。


 現在、カービィは完全新作の『星のカービィ ディスカバリー』をswitchで販売中だ。カービィシリーズでは初の3Dアクションゲームということで、注目を集めている。自然と滅びた文明が融合した新世界を、カービィが新たな能力「ほおばりへんけい」やお馴染みのコピー能力を進化させながら、縦横無尽に進んでいく。

 私は、このゲームを配信で真エンディングまで見てみた。ワドルディを攫う謎のビースト軍団、そして、カービィの新しい友達であるエリフィン……予想できない物語に、ずっとハラハラしながら見守っていき、ラストシーンはほろりと来た。かつて、カービィで遊んでいた人も、ぜひにお勧めできる一作だ……実際にやっていないくせに偉そうだが。


 さて、こうして30周年を迎えたカービィだが、ゲームがこんなに長く続けられるのは、奇跡的なんじゃないかということを最近ひしひしと感じる。一時的にブームとなって、続編がいくつもつくられたゲームシリーズでも、ある日ぱたりとそれが止んでしまうというのも、珍しくないのだろう。

 だが、カービィは、ファンと作り手に愛されて、これまで続いてきた。この先も、カービィと一緒に、一つずつ年を重ねていけたら、幸いである。



 

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