第56話 アプリをやっていないウマ娘好き


 ウマ娘にハマった。

 ツイッターのタイムラインで、「ゴールドシップというキャラがボーボボみたい」という言葉を見かけたのが、最初に認識したウマ娘の情報だったと思う。それから、ニコニコ静画でライスシャワーを見た時、「何でこの子、短剣持ってるの!?」と気になって調べて、それから沼った。


 それまでの私の競馬の知識は、ディーブインパクトとハルウララ、『アメトーーク!』の競馬芸人で「北島三郎さんがオーナーの馬」と紹介されていたキタサンブラックを知っているくらいだった。

 オグリキャップも聞いたことあるけれど、「芦毛」という言葉も知らずに、何故か茶色い馬なんだと思い込んでいた。


 それなのに、ウマ娘を知り、そこそこ競馬のことを知るようになった。三冠馬の条件とか、脚質とか。ゲームの動画を見て「可愛いなぁ」と頬を緩めたり、モデルになった競走馬のレースを見て「かっこいいなぁ」と惚れたり、その引退後の様子を見て「可愛いなぁ」と癒されたり、アニメの一期と二期でべちゃべちゃに泣いたり、ウマ娘と馬中心の生活になっている。

 しかし、アプリゲームは一度もやっていない。それは、私がゲームがど下手過ぎるから。ゲーム適正G。初心者向けの初代「星のカービィ」ですらクリアできなかった。


 その為、主なウマ娘活動(?)は、ゲームの動画を見る以外に、二次創作を見ることが中心になっている。ウマ娘は、公式でエログロ系が禁止されているので、結構安心して見聞きすることが出来る。

 しかも、ハチャメチャなギャグから、史実を基にした熱いストーリーなど、層の分厚さが素晴らしいのが魅力的だ。今回は、私がよく見ているウマ娘の二次創作をご紹介。


 一つ目は、五分目悟さんのMMD動画。こちらは、CGキャラのウマ娘とモブキャラのやり取りが中心のコント作品。

 ウマ娘の台詞はゲームに存在するものを使っているが、ちゃんと会話を成立させる構成になっており、モブキャラは制作者さんがボイスチェンジャーで担当しているのだが、演技が上手くて、違和感がない。


 そうして描かれていく世界は、摩訶不思議で唯一無二だ。ガチャボタンを押したらウマ娘がやってくる、サポカと一緒に暮らせる、スペちゃんは猫になっている、キャラはボタンやネームプレートに干渉できるけれど、CM撮影はビックリするぐらいリアル。そして、一度聴いたら、絶対に頭から離れないエンディング曲と映像で止めを刺される。

 どの動画のカオス過ぎるのだが、始めての方には『【ウマ娘MMD】ホーム画面の備品を持ち帰ってしまったカレンチャン【4K】』がおすすめ。タイトルは意味不明だが、これ以外に説明しようがない。短いので、是非見てほしい。この続きもあるのでそちらもおすすめ。

 

 続いては、pixivにウマ娘の漫画を投稿しているmatchさん。この方の特徴は、ウマ娘のキャラの漫画の他に、ウマ娘に関わる仕事をしている人や一ファンなど、名前のないオリジナルのモブキャラを描いているところだろう。

 二次創作でオリキャラはちょっと……と懸念している方も、是非『ウマまんが「雨の日のレースが好きなモブの漫画」』を読んでほしい。あの世界で生きている人々の心を、立体的に描いており、そこがグッと来るのだ。


 もちろん、ウマ娘キャラの漫画だって粒揃いだ。特に、シンボリルドルフとマルゼンスキーという「強者」の心のうちを描いた『ウマまんが「誓約のしるし」』は、読みながら、いろんな感情で胸がぐちゃぐちゃになる。

 他にも、ウマ娘世界観の考察で、こちらの世界での有名な馬の歴史的なエピソード(例えば武田軍の騎馬隊など)はどうなっているのか? という話題があるのだが、その一つのアンサーとして『ウマまんが「ゴダイヴァ夫人とウマ娘」』という漫画がある。こちらも、戦争とか悲しい話ではないので、是非。


 最後に紹介するのは、pixivとニコニコ静画で連載されているほぅちぅさんの「リョテイさんストーリー捏造」。こちらは、アニメの一期で、台詞が一言も無かったながらも存在感を放っていたモブキャラ・キンイロリョテイが主人公の漫画である。

 このキンイロリョテイは、大人の事情で名前の出せなかった競走馬のステイゴールドがモデルらしい。96年から01年という長い現役時代の中で、数々の猛者たちに相手に挑み、惜敗を続けてきた。そのシルバーコレクターな所が競馬ファンに愛された一方で、種牡馬としてもウマ娘化しているゴールドシップとナカヤマフェスタ、他にも三冠馬のオルフェーヴルと障害競技の絶対王者・オジュウチョウサンを輩出して活躍した。


 「キンイロリョテイさんストーリー捏造」は、実力はあるものの、レースでやる気を出せない学園の問題児・キンイロリョテイが、名だたるウマ娘たちと重賞で戦いながら、自分は何故走るのかを追い求めるという話になっている。大まかな流れはアニメの一期と重なる部分が多いが、より史実に近い展開が起こり、また、キンイロリョテイ目線というのが興味深い。すごく楽しみな連載なのだが、途中で打ち切られる可能性もあるようなので、そういう意味でもハラハラしながら見守っている。

 さて、二次創作上のキンイロリョテイの漫画やイラストを見ると、アニメでは台詞のないモブだったのに、一人称が「俺」や「俺様」だったり、ゴルシとは別方向で暴力的で理不尽だったりと、キャラの傾向はなんとなく一致している。


 実際のステイゴールドについてのエピソードを見ると、そういうキャラ設定もさもありなんと思える。騎手を振り落とそうとしたり、レース中にスぺやオペラオーに酷い目を合わせたり、気性難で関係者は手を焼いていたとか。しかもそれが産駒にも、白目をむいてしまうディクタスアイは孫世代にも、遺伝してしまっているから恐ろしい。

 しかし、知れば知るほど、面白い馬で、好きになってしまう。ちゃんと実名でウマ娘化してほしいという声や、直木賞作家の馳星周さんがステイゴールドをモデルにした馬が出てくる小説の『黄金旅程』を書いたほどの魅力が分かる。オルフェーヴルも含めて、実装してほしいなぁ。


 こうして、ウマ娘について色々見聞きしていく中で、実際にモデルとなった競走馬に興味を持ってきた。そこで、競馬芸人の皆さんが、ウマ娘の勝負服を見て、モデルの競走馬を当てる月亭八光の八ちゃんねるの『ウマ娘クイズ』シリーズをよく見ている。

 四人の歴の異なる競馬芸人の皆さんが、自身の持てる全てを使って、ウマ娘の名前を当てる姿は、当たるかどうかハラハラさせられる。また、モデルの競走馬に関するエピソードもたくさん教えてくれるので、とても勉強になる。特に、自身が見聞きした競馬の歴史的瞬間をその話術によって再現してくれるので、当時の空気を感じることが出来る。


 最後に、より競馬の過去レースを知りたくて、カンテレ競馬の『麒麟川島の馬いい話』シリーズを見ている。こちらは、毎週水曜日にYouTubeにアップされる、麒麟の川島さんがMCの十分以内の競馬番組である。

 一頭の競走馬の伝説となったレースを一つ紹介してくれて、川島さんの語りと初心者にも分かりやすい構成のお陰で、とても見やすい番組だ。また、川島さんがジョッキーや調教師から聞いた話も話してくれるので、玄人にも楽しめるのではないだろうか。ウマ娘になった競走馬はもちろんだが、なっていない競走馬のレースも感動しながら見ているのだが、時間が経つと未公開になってしまうので、興味を持った方は早めに見ることをお勧めする。


 そんなこんなで、まあまあ競馬を見るようになってきてしまった。今のところ、YouTubeやニコニコ動画で競馬MADを見るのが大半なのだが、恐る恐る、秋華賞やエリザベス女王杯を生で見た。やはり、生は独特の緊張感があって、すごくドキドキした。それに慣れたら、もっと見たりするのかもしれない。

 ちなみに、気になっている現役競走馬はメロディーレーンとユーバーレーベン。それぞれ、オルフェーヴルとゴールドシップの娘で、ステゴ系が好きなんだなと思ってしまった。




・紹介作品URL

五分目悟→https://www.youtube.com/c/gobunmesatoru

『【ウマ娘MMD】ホーム画面の備品を持ち帰ってしまったカレンチャン【4K】』→https://www.youtube.com/watch?v=cdmAK96E5J4


match→https://www.pixiv.net/users/157342

『ウマまんが「雨の日のレースが好きなモブの漫画」』→https://www.pixiv.net/artworks/89479805

『ウマまんが「誓約のしるし」』→https://www.pixiv.net/artworks/90868191

『ウマまんが「ゴダイヴァ夫人とウマ娘」』→https://www.pixiv.net/artworks/90058434


ほぅちぅ→https://www.pixiv.net/users/8152463

『リョテイさんストーリー捏造』(ニコニコ静画版)→https://seiga.nicovideo.jp/comic/54689?track=verticalwatch_cminfo3


『【ウマ娘クイズ】競馬大好き芸人ならイラストだけでキャラ名当てられる?』→https://www.youtube.com/playlist?list=PL1RTxUD5wHyUQXGV7gSB-PrJpM-MYhLC_


『麒麟川島の馬いい話。』→https://www.youtube.com/playlist?list=PLTpoIJC6rgV9hL6T3cCWb4KVjI_AyjQAW



 

 

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