第36話 ウパー・フィーバーの波に乗れ
一番好きなポケモンはウパーである。
つぶらな瞳、口角の上がった口、丸い顔の横の角のようなエラ、水色のボディ、ぽよっとしたしっぽ、短い足、おなかの模様、何もかもが可愛らしくってたまらない。
いつからウパーが好きなのか、どうして好きになったのか、その理由ははっきりと覚えていない。何せ小学生のころからなので。
ポケモン金銀はやっていなかったのだが、アニメに登場する前から射抜かれていたことは確かである。
そんな私のウパー愛は筋金入りなのだが、しかし、たった一つだけ不満があった。
それは、ウパーが全然公式に登場しないということである。
私はこれまでサファイアとムーンだけ、ポケモンのゲームソフトを買ってプレイしたことがあるのだが、そのどちらにも野生ポケモンとして登場しなかった。
それはたまたまなのかもしれないが、二〇一六年あたりは、ウパーのグッズも数少なくて、非常に歯がゆい思いをしてきた。
私が持っているウパーグッズは、金銀全盛期に買った、ウパーの指人形だけ……。
好きなものにはとことんお金を注ぐタイプの私は、大好きなウパーに何もしてやれなくて、申し訳なく思っていた。
そんな時に、二年前、ウパーのぬいぐるみがポケモンセンターに発売することになった。
私は財布を握りしめて、沖縄県内のポケモンセンターに走り、ウパーのぬいぐるみを手に入れた。
現在、このウパーのぬいぐるみは私の執筆定位置である居間に座っていて、私はパソコンをしながらウパーをなでたり抱きしめたりしている。執筆中の癒しとなっている。
ちなみに、ウパーの体の周りは毒の膜で覆われているので、実際に素手で触るのは危険である。それでも可愛いから、本当にいたら触ってしまうと思うが。
そんな風に、ウパーを可愛がり、ポケモンGOでは出てきたウパーを全部ゲットして博士には送らないという暮らしを続けていた私は、ある日友人と出かけたゲームセンターで、信じられないものを見た。
それは、UFOキャッチャーの商品として、大きなウパーのぬいぐるみが、グレイシアとゼニガメと一緒に入っている光景である。
「ウパーだ!」と興奮して写真を撮っている私の横で、友人は納得いかないような顔をしていた。
グレイシアはイーブイの進化系だからわかる、ゼニガメも最初のパートナーとして人気だ、しかしなぜ、ウパーなのだろうか、と。
それに対する、私の力強い返答は一つ。
「可愛いからだ!」
そんなウパーに盲目の私だが、ポケモン関係でウパーを見る機会が増えてきているような気がしてきた。
夏のポケモングッズには、ピカチュウやマリルのような人気ポケモンと一緒に、ウパーの女の子が頭にハイビスカスを飾って踊っていた。ちゃんと、エラの数が一本、女の子仕様になっている。
また、去年のポケモン映画、「みんなの物語」では、ウパーがメインキャラクターの手持ちではないものの、進化系のヌオーと一緒に何度も画面に登場していた。ちゃんとクライマックスでは、モブながらも見せ場があった。
極めつけは、ポケモンGOでロケット弾が登場した時の公式ツイッターで、ウパーが噴水で泳いでいる写真と、自転車に乗った団員に運ばれている写真が投稿されていたことだった。そのあとの、ポケモンGOの水タイプのイベントのニュースでも、登場ポケモンの一覧の中でウパーの名前があった。
ウパー・フィーバー、来ているんじゃない?
大ファンの贔屓目があるとはいえ、そう思ってしまう。
もちろん、ファンとしては大歓迎である。もっともっと、ウパーを色んなところで見て、愛でたい。
そして、こんな願望を抱いてしまう。
今度発売される、ソード・シールドに、ウパーが出てくるんじゃないのか?
もちろん、公式のソースはない。だが、ここまで来たら、期待してしまう。
ソード・シールドにウパーが出るのなら買って、野生のウパーを捕まえていこう。私は密かに、そう決意している。
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