第25話 ポルノグラフィティの語彙力
小学生の頃からずっと好きなミュージシャンは、ポルノグラフィティだった。
このエッセイ内でもポルノグラフィティの好きな所について話をしたいと思い、こういう話題で書こうと考えてみたら、三つのエピソードを書けそうな気がしてきた。連載ではなく単発で書いていこうと思っている。
まずは、ポルノグラフィティの歌詞に出てくる言葉のチョイスについて。
ちなみに、曲については全く分からないので、そこには触れずに進めていくのを了承してもらいたい。
ポルノグラフィティの曲を聞いていてよく思うのが、「語彙力すごくない?」という事である。
バリバリ超ド真ん中のJ-POPを奏でている中で、歌詞に出てくるのは「まほろば」「うたかた」「しじま」のような古語から、「ジョバイロ」「リバル」「メリッサ」のような外来語まで、本当に幅広い。
その一方で、「グーグル検索」「いいね」「アイドリング」のような現代用語も、「オニオンスープ」「コンビニ」「洗濯物」などのような日常的な単語も飛び出してくる。
私は作曲作詞の経験がないので想像なのだが、限られた文字数の中で、この曲にぴったりな単語はこれだ! というものを見つけることは非常に骨が折れる作業だと思う。
たくさんの言葉を知っているからと言って、それが可能になるとも言い切れないので、ポルノグラフィティの歌詞は、そのピンポイントについてくる感じがたまらない。
特に、悶えるほど好きなのは、「うたかた」という曲の以下の一節。
夜の海に光を灯す青い夜光虫
夜光虫! ここで夜光虫か!? と、反芻しては身悶えする。
邦楽どころか、小説でもなかなかお目に掛かれないワードチョイス。最高である。
また、曲の世界を表すための比喩にも目を惹かれる。
なかなか前進できないカップルの状況を野球の試合に例えた「ベアーズ」にも、印象的な比喩が現れる。
自慢じゃないけどそりゃ僕は他の誰かと比べて
特別なとこなんてないママチャリのような男だけど
自分を「ママチャリ」に例えてしまう「僕」の感覚にくすりとするけれど、その後に続く歌詞を見るとぐっとくる。
頑丈で壊れやしない愛をいつでも君へと
逆に言えば盗まれる心配さえないんだからその点は安心して
「○○のよう」と例えた後で、「つまり○○だから」と説明するのは遠回りのように思える。
しかし「ベアーズ」の中では、その事によって、「僕」の誠実さとユーモアが真っ直ぐに伝わってくるのだから、結果オーライである。
以上のように、一番に伝わる言葉を選んでいるポルノグラフィティの歌詞を見ていると、文字数をいくらでも使える小説の怠慢を感じてしまう。いや、小説というより、私の小説なのだが。
文字数制限を設けて、自分の語彙力を鍛える必要があるのかもしれないなと、ふと思った次第である。
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