十九章 不倒の影
「……ハッ」
無限の
夢の世界を
しかし
そう、瘴気だ。
室内アトラクションの
すぐさまその場を
「……ァ!」
すると、
先の
生き残る術は一つしかない。
〈
そして、瞬間的に
それを
粒子によって現出した
〈
その間に顎が閉じることはない。時が止まったように
「ッ!」
たたらを踏んで、
〈
〈
これが今の
いや、と警棒をかたく握りしめる。
胸の奥には、
〈
今ならばわかる。真実、光そのものに思えた、かつての茜音を憶えている。
あれが彼女の本性だ。そうでなかったなら、自分はこうしてここに立ってはいない。
日常の
ずっと忘れていたけれど。
ようやくあの
「俺は……」
未だに自分をヒーローだとは思えない。
犬を狩る異能に目覚めても。
それでも。
あの日、茜の空に希望を
今度は俺が、君を救う番だ……!
〈
横開きに生じた顎が、〈
ところが、背後にはすでにもう一つの牙。
能力を設置した〈
警棒を肩に。
先端へ三日月型の
鎌が、
ギンッ!
その一瞬が
眼前の顎が霧散すると同時。
踏みこむ。
進路を左へ。しかし傷ついた人の足では
衝突まで間もない。
〈
射出されるワイヤーフック。
〈
〈
その目が敵の
急制動をかけた今ならば、三つ首の足は持ちあがらない。背後からは〈
「ッ!」
案の定、襲いくる右頭部。
牙を
〈
まだ、ある。対抗策が。
化け物に目覚めたからこそ、化け物に対抗し
設置された牙が今、
「来い!」
〈
たちまち止まった時は動きだし、
「グラァオゥ!」
牙と牙が
〈
異形の首へと回りこむ。
「オオオォアァアァアアァアアアッギ!」
しかし殺意はいっそう
〈
眼前へ振りおろされる漆黒。
鼻先を衝撃がかすめる。
異形の
「……!」
それは重心の乱れを無視した、予想外の
タイムラグは残り一秒。
さすがに、こればかりは――!
万事休すか。
と、思われた、
その視野に。
漆黒の羽根が
ゴッと耳に
視界が天へ吸い寄せられ、胃の
〈
「
「〈
今、彼は〈
「助かった。増援は一人か?」
「いや、もう一人。
合流の
〈
「ジャアッゲァ!」
瞬間、
攻撃は失敗。
穂先は霧散することなく、むなしく地へ落ちた。
そこへ追撃の影が躍りでる。
穂先の描いた
〈
無論、そこに馬鹿正直に打ち合う〈
異形の外周を
あざやかで
しかし、結局は立ち位置が変化しただけだ。
〈
〈
だが、人手が増えれば、確実に
〈
そうして敵の攻撃軌道を
ふいに〈
意味は問うまでもなかった。
〈
虚しく地に落ちた穂先が、ふたたび黄金の
たちまち意思もつ矢のごとく異形へと
霧がさざめき、
すぐさま右側面へ回りこむ〈
地へ叩きつけられた穂先が霧散し、棍の先端で
異形の
そこに〈
左頭部が牙を
〈
「……ぬァ!」
鎌を振りかぶる。これで二つ目の首を
「ゴアアアアァアアアオオォォオォッゲッ!」
はずだった。
ところが〈
〈
それぞれ
しかし〈
〈
すでに開かれた顎が形をなしている!
攻撃の隙を
にもかかわらず、〈
〈
その
振りおろされる
粒子が蝟集し、漆黒の柱を
「ギィィッラ!」
柱が異形の左肢を受け止めた。巨体は
その時、尾がいっそう深く地をえぐった。触手が回転、タイルを
左肢が柱から鉄槌のごとく振り下ろされ、蜘蛛の巣状の
「アア、ア……ホシイ、ホシイホシイヨ……」
踏みとどまった。
燃えたつ体毛に
〈
対して〈
増援の二人はともかく、〈
これ以上の長期戦となれば、削りとられるのは目に見えている。
それでも〈
〈
その時だった。
『こちら〈
「……なに?」
〈
まさかこの状況で、
ところがその予想は、続く言葉によって、すぐさま
『そこで、ある作戦を考えた。聞いてくれ』
〈
〈
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます