十六章 絶望との対峙
戦況は絶望的だった。
むしろ、〈
奴は自らの濃霧が
「……」
〈
「ガァ……ッパ」
それと同時、〈
〈
一拍遅れて閉ざされる顎。幻のごとく
顎の出現から攻撃までにはタイムラグがある。
だが、この
〈
〈
ところがその時、粒子の霧の
『こちら〈
無茶を言う。無事を確認できたかと思えば、これだ。
次なる
「こちら〈
無論〈
『不可能だ。ターゲットから攻撃を受けている』
「……」
だろうな、という一言は
やはり、実質的には一対一の
このまま〈
「……パアアァッパッ!」
望みに
体高およそ四メートルの
「……!」
〈
「シャアッグ!」
それぞれ独立した三つ首が空間を圧する。
回避は
巨大な
にもかかわらず、〈
異形の背から振りおろされる車輪が。
縦横に襲いかかってくる!
「……ッ」
〈
かろうじて攻撃範囲を逃れた。
足許から
〈
ギンッ!
咬撃は一瞬。獲物を喰らいそこね霧散する。
その時、〈
見開かれる六つの暗黒の睥睨。
ふり返った〈
「アア、コナアアアアァアゴッ!」
突如、背から生じた二本の輪が上向きに打ち合わされた。
直後、触手の車輪が
濃霧をとりこみ回転をはじめた!
なんだ……!
四年前の戦いでは見られなかった
双輪の触手が大地と
血のごとく火花が散る。
異形の巨躯が、わずかに
……まさか。
〈
しかし、
「……!」
殺戮列車からは逃れられない!
間もなく、およそ十メートル離れた地点に
ガゴゴゴゴ!
双輪が大きく
タイルを
さらに正面、瘴気がわき立つ。
前後から迫りくる牙!
「……くっ!」
こめかみに伝う汗の感触が、
退路は側面。解りきっている。
だが、そこは死の軌条。〈
瞬時に牙を乗り
無理だ。
鎌で
〈
その瞬間、秒針が
〈
側転をうち、牙を躱す。
即座に鎌を
望みを
「ガッ!」
ところが鎌の向こう、烈火に燃えたつ双輪が、ふいに動きを止めた。
四本の足が地をふみ砕き。
触手が
ギャリッ!
車輪に小さな火花が
――
〈
〈
それよりも問題なのは、背部のコードを
「……」
地上を
横跳びに躱すも、
「……っ」
身体は
〈
「
パワーユニットごとヘッドギアを
牙を避けつづけるためには、ライフルもパワーユニットも邪魔だった。もはや長距離射撃に
メインウェポンを
〈
ターゲットはすでに肉眼で
ミラーハウス入口から湧きだした瘴気の牙を避け、〈
スナイパーライフルの弾丸を
弾数は六発。予備
〈
「ガアアァァァ……」
すると、亡霊じみた
〈
「……」
だから、これでいい。
奴が拳銃を警戒することで、触手による多段攻撃は
ターゲットとの間に、
〈
このまま奴の
そう
「ゴ、ゴゴ……ゴメン、ナサイ。カオ、カオ……」
ターゲットが
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