一章 闇夜の狩人
夕焼けなどとっくに
その街には、霧が立ち込めていた。風に
『こちら〈
静寂を破ったしわがれた声は、
「こちら〈
黒ずくめの人物は、くぐもって抑揚ない声で〈
夜と街灯が織りなす
その光の下に、人型のシミは降りたった。
〈
「ターゲットのクラスは?」
『〈
「
『進路変更なし。接敵までおよそ十秒』
「……」
メットの中、〈
その時、〈
「……ターゲット確認」
〈
街灯が次々とわれ、光は
〈
「ガルゥアァァッ!」
次の瞬間、〈
〈
彼の視界はクリアでこそないものの、紫や橙の
それに
闇という闇をかき集めたかのような
体毛は絶えず蒸発し、爪も牙も
〈
人の憂鬱に宿り、
「……」
憐れな人のなれの果てを前に、しかし〈
〈
より単純なことだ。
〈
「……っ!」
向き直る異形をまえに、〈
「ボオガァ!」
粒子に形成された漆黒の爪が、闇さえ
〈
爪は頭上を通過する。メット頭頂とわずかに触れあい火花を散らしながら。
直後、〈
空中で鎌を振り下ろし、〈
「グルアァッグ!」
しかしその時、〈
もう一方の前肢が、すでに相手の脇腹を狙っている!
空中に逃げ場はない。〈
「……」
〈
ところが、傷口から迸ったのは、血ではなく
と同時。
〈
その雲は人の形をしていた。手には魂を刈り取る大鎌があった。
そこに、
〈
それは闇の満月をえがくように、周囲を
「グガアアァアアアァアァァアアアア!」
蒸発する
月の輪郭を赤黒い
〈
べちゃ。
その中から、
やがて獣じみた
「あああああぁァァぁあアぁあぁぁぁッ!」
人の絶叫だった。
〈
彼は〈
「こちら〈
『こちら〈
間もなくして霧も晴れだした。中に見てとれた黒い
それらが二人の力だった。
〈
〈
人ならざるコードによって名を交わし。
人ならざる力によって、異形を狩る。
彼らもまた、その胸のうちに憂鬱を飼う者たちだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます